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【2025年本屋大賞を予想】今年の受賞作はこれだ!ノミネート10冊から2人が選ぶ「この1冊」

アットエス

静岡トピックスを勉強する時間「3時のドリル」。4月2日放送のテーマは「2025年本屋大賞の予想」。パーソナリティーの山田門努さんと静岡新聞社編集局の橋爪充論説委員が、4月9日発表の本屋大賞を予想しました。
(SBSラジオ・ゴゴボラケのコーナー「3時のドリル」 2025年4月2日放送。撮影協力/写真部・久保田竜平)

2月に発表されたノミネート10作は次の通りです。2人がそれぞれ5冊ずつ読み、その中から「これが大賞!」と思う作品を選びます。

【橋爪論説委員担当】
「アルプス席の母」早見和真/小学館
「カフネ」阿部暁子/講談社
「小説」野崎まど/講談社
「spring」恩田陸/筑摩書房
「生殖記」朝井リョウ/小学館

【山田門努さん担当】
「禁忌の子」山口未桜/東京創元社
「恋とか愛とかやさしさなら」一穂ミチ/小学館
「死んだ山田と教室」金子玲介/講談社
「成瀬は信じた道をいく」宮島未奈/新潮社
「人魚が逃げた」青山美智子/PHP研究所

それでは推薦の弁を聞いてみましょう。

橋爪論説委員推薦「カフネ」


泣かせる料理描写。「食べる」が記憶を引き出す

まずはあらすじです。八王子市の法務局に勤める野宮薫子(のみや・かおるこ)は、子どもを授からないまま40歳過ぎで離婚。さらに10歳以上年の離れた最愛の弟春彦が、突然亡くなってしまいます。春彦はなぜか遺言書を残していて、財産分与先には家族とともに、別れた恋人小野寺せつなの名前を入れていました。

薫子はコンタクトを取ります。しかし、せつなは「遺産は受け取れない」の一点張り。薫子は「なんだよこいつ」と思いつつも、ある出来事からせつなへの興味が湧き、彼女の勤め先の家事代行サービス会社「カフネ」のボランティア活動を手伝うことになります。

活動は毎週土曜日の2時間、さまざまな事情を抱えた家庭を訪れて、散らかった部屋を片付け、温かい食事を用意する、というもの。活動を通じて2人の距離は縮まっていき、薫子は自分が知らなかった弟の本当の姿を知ることになります。

この小説の最大の美点は「料理描写」です。せつなはぶっきらぼうな人ですが、その時その場にいる相手がどんな気持ちでいて、そんな人にはどんな料理を出せばいいかというのを瞬時に考え、それを手際よく形にする能力が異常に高いのです。

料理って大切な思い出と共にあるものですよね。誰かと一緒に食べたあの料理、あのお菓子。せつなは訪問先のキッチンの限られた設備で、その家庭に求められている献立をたった2時間で用意します。繰り返し出てくるその手際の良さが、読んでいてすがすがしい。

料理というのは人、特にこの場にいない人と、記憶の中で密接に関わっています。せつなの料理は記憶の喚起力が非常に強い。せつなが作った春彦との思い出の料理を、薫子が食べる場面は号泣必至です。共感力の高さが最強だと思ったのでこの本を一押しします。

 

山田門努さん推薦「恋とか愛とかやさしさなら」


一筋縄ではいかない恋愛小説

悩みに悩みましたが、一穂ミチさんの作品にしました。本当にいろんなことを考えさせられる恋愛小説なんです。

主人公は30歳の女性カメラマン、新夏(にいか)。彼女には5年付き合っている啓久(ひらく)という彼氏がいます。啓久、本当にいいヤツでいい会社に勤めてもいる。そしていい家庭に育っている。

ある夜、新夏は啓久からプロポーズされます。当然、答えはイエス。周囲の同世代も結婚し始めていたことで、焦りもあったんです。新夏、幸せ絶頂で眠りに就きます。

次の日の朝、新夏は啓久のお母さんからの電話で目覚めます。その内容が信じられないものでした。啓久が電車で女子高生を盗撮して捕まったというのです。え? どういうこと? 昨日の夜は幸せの絶頂だったのに。わたし、盗撮犯の妻になるの?

数分後、啓久の母から再び電話が入ります。新夏ちゃん、良かった。示談になるって。逮捕されないし、会社にも通報されないって。本当に良かったね。そう言われます。

でも、新夏からすると、ちょっと待って…という気持ちですよね。良かった? 盗撮した事実は変わらないよね…。なんでそんなことをしたの…。迷って迷って考えるけれど、彼がなぜそんなことをしたのか分からない。あんなに優しい人が、しかもプロポーズした日の翌朝に。

私は彼をどう許したらいいのか。どう愛したらいいのか。新夏は迷い続けます。一方の啓久も加害者として苦しみます。こんな二人がまわりを巻き込む形でお話になっていきます。恋愛小説ですが、性犯罪の問題、加害者被害者問題も含んでいて、最後まで着地点が見えない。読む人によって感じ方がかなり違うと思います。

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