『流山の史跡をあるく』を出版 郷土史家・田村哲三さん(流山市在住)
67歳で史跡に目覚めた田村さんは、今年6月に流山の歴史や史跡に関する本を出版。穏やかな表情に秘められた史跡への情熱を取材しました。
六十の手習いから史跡ガイドの会を創設
田村さんが史跡に目覚めたのは67歳の時。
勤めてきた出版社を定年退職後、どう過ごすか模索している最中に、公民館主催「史跡案内人研修講座」の募集記事が目に留まります。
歴史に興味はなかったものの、旅先でボランティアガイドに案内してもらったことを思い出して参加。
2007年、受講者5人で「流山史跡ガイドの会」を立ち上げました。
いざガイドを始めると「今まで見過ごしていた道端の石仏さえも気になり始め、知れば知るほど流山に愛着が湧きました」と田村さん。
出版社勤務の現役時代に「足で調べよ。資料は10倍集めよ」とたたき込まれた経験が生き、国会図書館にも何度も足を運んで調査。
「仮説を立てて調査し、実証するのが歴史の面白さであり大変さでもあります」と魅力を話します。
郷土愛を育て流山の歴史文化を守りたい
流山で進む再開発は歴史文化財消滅の危機でもあり、どうしたら守れるかと考えていた矢先、地元で発行する地域情報誌から、流山の歴史や史跡を紹介するコラムの執筆を依頼されます。
自身の経験から「流山の歴史文化に興味を持つ人が増えれば、文化財の保護につながるのでは」と引き受けて約8年わたって連載。
それを基に今年6月、『流山の史跡をあるく』を出版しました(図書出版みぎわ刊・A5判・並製・172ページ)。
市内約100カ所の史跡を写真付きで紹介し、10以上の歴史コラムも掲載しています。
9月16日(月・祝)には、コラムでも触れている「佐和山落城記」の講演&散策ツアーを行います(利根運河交流館主催)。
「自宅近くの道は、かつて日光東照宮を目指す大名が通った道。いつか大名行列をしたい」と夢を膨らませる田村さんです。
(取材・執筆/琉)