TISが北海道の大学で職業体験イベント開催 首都圏以外のITエンジニア希望学生との接点獲得へ
TIS(東京都新宿区)は10月2日、公立はこだて未来大学(北海道函館市)と共同で、学生向けの職業体験イベントを9月に開催したことを発表した。同社のエンジニアが現地を訪問して学生と直接接点を持ち、システム開発を体験する機会を設けた。
対面型インターンシップの回帰が見られる中、企業側が地方に出向き、首都圏以外の学生との接点をつくる取り組み。地方在住の学生のキャリア形成をサポートし、IT人材育成と地域貢献の両立をはかる。地方大学で対面型の職業体験イベントを実施するのは同社初の取り組みで、業界内でも前例が少ないという。
対面型回帰の波、企業は地方学生と接点拡大
ITエンジニアを志望する学生の就職活動は、企業拠点が多い首都圏に集中する傾向がある。首都圏以外の学生との接点獲得を課題としていた同社は、インターンシップや職業体験イベントが就職活動に占める重要性が高まっていても、移動費用などの負担から参加を諦めざるを得ない学生がいるという課題を解消したいはこだて未来大学と連携。社員との直接交流を通じて、学生が職業体験できる機会を設けた。
同社が実施するインターンシップなどへの参加者は、首都圏在住者が大半を占める。地方からイベントに参加した学生からは、首都圏以外での対面型イベント開催を求める声が多く寄せられていた。
同社は、コロナ禍でオンラインでのインターンシップが主流となり、参加機会の地域差がなくなりつつあったが、近年の対面型インターンシップの回帰によって再び情報格差が生まれつつあると指摘している。
学びの多様性とサポートの手厚さに、参加学生から高評価
イベント「開発体感セミナー(アプリケーション開発コース)」は、オンライン(4日間)と対面(1日)のハイブリッド形式で構成。両軸でチーム開発を経験し、その特性を理解してもらえるように工夫した。同大学に在学中の3、4年生12人が参加し、チームでアプリ開発における改善要件の定義から、設計・実装・テスト、品質報告を含む成果発表までを行い、フルスタック開発やAI支援ツールも体験した。
チームごとに現場エンジニアが1人付き、フォローアップとフィードバックを行った。同セミナーは、同社の技術特化型組織が人事部門と連携して10年以上主催しており、これまで1300人以上の学生が参加した実績がある。
参加後のアンケートでは、全員が、後輩や友人に参加を勧めたいと回答。「現場の開発プロセスを体験できたことで、学校生活であまり経験しない設計や、テストの重要性が学べた」「作業難易度は高かったが、サポートも手厚く楽しく作業でき、満足度がとても高かった」など、学びの多様さやサポート体制を評価する声が多く寄せられた。
的確なアプローチで双方に有意義なインターンシップに
三省合意の改正により2025年卒の学生から採用に直結するインターンシップが可能になった影響もあり、インターンシップを経験する学生が増えている。株式会社人材研究所の曽和利光氏は当メディア「総務の引き出し」で、インターンシップが特別な取り組みではなくなった今だからこそ、漫然と実施していては得られる効果も限定的になると指摘している。
また、自社の魅力を伝えるよりも、学生に普遍的な学びを提供する方が効果的だと言及。企業も学生も有意義となるインターンシッププログラムについて詳しく解説している。
なお、当メディアでは、就活会議(東京都新宿区)が発表した、学生から評価の高いインターンシップのランキングや評価ポイントを紹介している。
発表の詳細は同社公式リリースで確認できる。