ロッテ佐々木朗希ポスティングでメジャー挑戦へ「マイナー契約から這い上がって世界一の選手に」
25歳ルールでマイナー契約しか結べず「球団には感謝しかありません」
ロッテは9日、佐々木朗希投手(23)がポスティングシステムによるメジャー挑戦を目指すことになり、移籍に向けた手続きを開始すると発表した。
かねてよりメジャー希望が伝えられていた佐々木は昨オフ、契約更改交渉がもつれ、キャンプイン直前の1月26日にサイン。入団5年目のためFA権は取得しておらず、選手の権利ではないポスティングでの移籍希望に「わがまま」と批判する声もあった。
今季は18試合に登板して自身初の2桁となる10勝(5敗)を挙げ、防御率2.35とチームに貢献。ただ、毎年のように途中離脱し、1年間を通してローテーションを守ったことのないガラスのエースが、162試合を中4日で回すメジャーのタフな環境に適応できるのか不安視する見方も少なくない。
しかも、契約金や年俸総額が制限される「25歳ルール」によってマイナー契約しか結べないため、球団にとっては金銭的な旨みは少なく、戦力的、営業的なマイナスの方が大きいだろう。もう少し日本で実績を残し、肉体的にもタフになってから挑戦した方が誰もが納得する形で移籍できると考えるのが自然だ。
そんな事情は百も承知の佐々木は次のようにコメントしている。
「入団してからこれまで継続的に将来的なMLB挑戦について耳を傾けていただき、今回こうして正式にポスティングを許可していただいた球団には感謝しかありません。ロッテでの5年間はうまくいかなかったことも多かったですが、どんな時もチームメート、スタッフ、フロント、そしてファンの皆様に支えられながら、野球だけに集中してここまで来ることができました。一度しかない野球人生で後悔のないように、そして今回背中を押していただいた皆様の期待に応えられるように、マイナー契約から這い上がって世界一の選手になれるよう頑張ります」
吉井理人監督「チームとしては痛いが、気持ちはものすごくわかります」
1年目は登板しないにもかかわらず一軍に帯同させ、コーチとして目の届く範囲に置いて大切に育ててきた吉井理人監督も大志を抱く若者の背中を押す。
「チームとしてはもちろん、とても痛いです。ただ自分もアメリカでプレーをした事があるので気持ちはものすごくわかります。そして若い今、チャレンジしたいという気持ちも分かります。未完成な部分は正直、まだまだありますが、アメリカで自身を磨き、さらにレベルアップすることも出来るのではないかとも考えます。2020年、石垣島キャンプのブルペンで初めて目にした彼の投球は私にとって野茂英雄を初めて見た時以来の衝撃でした。それを向こうでぜひ証明して欲しいです。頑張ってください」
松本尚樹球団本部長も「入団した当初より本人からアメリカでプレーをしたいという夢を聞いておりました。今年までの5年間の総合的な判断として、彼の想いを尊重することにしました。日本の代表として頑張って欲しいと思っています。応援しています」とコメント。最後は佐々木の熱い思いが様々な壁を突き破った。
今季はドジャースの大谷翔平が史上初の「50-50」を達成し、チームメイトの山本由伸とともに世界一に輝いた。DeNAからポスティング移籍したカブスの今永昇太も15勝を挙げるなど、今やメジャーリーグは身近になった。
日本一のスピードボールを投げる若武者がどこまで通用するのか興味は尽きない。意思を尊重してくれた球団や吉井監督のためにも、佐々木は右腕を振る責任がある。雑音を封じ込めるような活躍が期待される。
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記事:SPAIA編集部