【雑学】「大根おろし」が辛い理由。切るだけでは発揮されない不思議な力
子どもを持つ親たちだけでなく、おじいちゃんやおばあちゃんにもぜひ読んでほしい「教養系雑学」。本書(KADOKAWA)は、子どもに今すぐ話したい、なるほど「知識」が満載の1冊です。子どもが「へー!」と興味を持つような、面白くてためになる知識が、教科別にわかりやすくまとめて掲載されています。ここで得た新しい知識は、孫との会話の「隠しネタ」になるはず! 今回はこの本の中から、子どもが思わず「すご~い!」と言ってしまう、おもしろ知識や生活の知恵をご紹介します。
※本記事は多湖 輝監修の書籍『頭のいい子が育つ! 子どもに話したい雑学』から一部抜粋・編集しました。
大根おろしはなぜ刻んだ大根より辛い?
大根おろしはピリリと辛いが、おでんの大根も大根サラダもそんなに辛くはなく、甘味さえ感じるほどだ。
これは大根をおろすことによって細胞が破壊され、「イソチオシアネート」という辛み成分が出てくるからだ。イソチオシアネートは、おろす前は糖と結合して配糖体(はいとうたい)という化合物になっているため、そのままでは辛くない。しかし、おろした時に出る酵素によって、糖との結合が切られると辛くなる。ただふつうに切っただけでは、さほど細胞が破壊されないので、あまり辛くはならないのだ。
自然の中で大根の細胞が破壊されるのは、虫や動物にかじられた時。辛み成分は、こうした事態に備えて大根が自分を守るための物質なのだが、人間はその辛み成分さえ好んでいる。細胞を壊せば壊すほど辛みが増すので、わざわざ大根をすりおろして細胞を細かく破壊し、大根おろしを作って食べているわけだ。辛みが十分に出るのは、糖との結合が切れた7〜8分後。ただし、辛み成分は揮発しやすいため、それ以上時間がたつとしまりのない味になってしまう。
ちなみに、大根おろしは使う部位によって味が違う。いちばん下の部分は、いちばん上の部分(葉に近い方)よりも10倍も辛み成分が強いのである。