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【西陣】雪玉のように“ころんとまあるい”口の中で優しく溶ける 「塩芳軒」の干菓子「雪まろげ」

デジスタイル京都

大正3年に現在の店構えが完成した御菓子司「塩芳軒(しおよしけん)」は、西陣にある聚楽第(じゅらくだい・じゅらくてい)跡の一画で、季節の移ろいや京都の良さが伝わる繊細な京菓子を作り続けています。その中から純和三盆製の干菓子「雪まろげ」をご紹介します。

1882年に西陣の地で誕生した御菓子司

豊臣秀吉が築城した壮大な邸宅・聚楽第の鉄門が面していたとされる、黒門通に店を構える「塩芳軒」。

創業は1882年。1341年に中国から来日し、日本で初めて饅頭を作ったと伝えられている林浄因(りんじょういん)の流れを汲むと言われる京の名店「塩路軒」から、初代・高家芳次郎さんが別家するかたちで誕生しました。

宮中御用達の流れを汲む上菓子屋仲間が、優れた伝統を守るため明治時代に再結成した「菓匠会」の会員でもある

1914年に完成した京町屋の建物は、景観重要建造物、京都市歴史的意匠建造物、京都市歴史的風致形成建造物にも指定されています。

威厳のある黒染めの長のれんをくぐって店内に入ると、経年で飴色に磨かれた棚や木製のショーケースなどすべてに風格が漂っていました。

お話を伺った江原さん。後ろには飴色に磨かれた棚が

入って左手のショーケースには、木箱に入った干菓子などが並んでいる

店内の奥は工場と座敷とお庭になっています。月に一度、座敷ではお茶とお菓子を楽しめる喫茶を運営しているそうです。お庭を眺めながら、京菓子で季節の移ろいを感じられる喫茶の日程はHP等でお知らせしているので、タイミングが合う方はぜひ。

初代から続く代表銘菓「聚楽」

黒染めの長のれんにも書かれている「聚楽」(195円)は、お店が聚楽第跡から近いことから命名されたそうです。

のれんの左から3番目に「聚楽饅頭」の文字が

聚楽第は1588年(天正14年)に着工され、その翌年に完成しましたが、わずか8年しか存在していません。その短さゆえ不明点も多く、偲ぶものがほとんどないと言われている聚楽第に、お菓子という形で出会えて何だか感慨深かったです。

和三盆の糖蜜を使用した甘くて香ばしいしっとりとした生地には、聚楽第が築かれた元号「天正(てんしょう)」の文字が。中には饅頭「聚楽」のためだけに炊き上げた、なめらかなこし餡がぎっしり入っています。

純和三盆の干菓子「雪まろげ」

“ころんとまあるい”こちらは、純和三盆の干菓子「雪まろげ」(972円)です。

雪遊びの古語「雪まろげ」は、風が吹いた時に雪がころころ転がる、雪を転がしながら丸めて、大きな塊にしていくという意味があります。まさに干菓子「雪まろげ」も雪のよう。

口に入れるとふわっと溶けて、優しい甘みがゆっくりと広がりました。和三盆ならではのきめ細やかな口あたりにするため、水分量の調整など工夫しているそうです。

元々は白色だけでしたが、後に紅白になり、抹茶(972円)も加わりました。

縁起の良い市松模様×紅白

紅白」の箱を開けると、白とピンクの優しい色合いの和三盆が市松模様に並んでいます。

市松模様は日本古来の伝統模様の一つで、その柄が途切れることなく続いていくということから、「繁栄」や「永遠」という意味が込められています。「子孫繁栄」や「事業拡大」などに繋がる縁起の良い柄なため、ご夫婦で来られて結婚式の引き出物に選ばれた方もいらっしゃるそうです。

原材料は和三盆と抹茶のみ

お豆のようなこちらは、抹茶が練り込んであります。

「紅白」同様、箱を開けた瞬間、思わず胸が踊るかわいさです。

持ち運びしやすく、お土産にぴったり

ラミエスの包装紙には「塩芳軒」の紋でもあり、戦国の世を駆け抜け、頂点を極めた秀吉の家紋・桐が描かれています。

うっすらと透ける包装紙をゆっくりはがすと、「紅白」には地面に降り積もった雪を思わせるデザインが。

「抹茶」は原材料の和三盆と抹茶のよう。

片手に乗るサイズなので持ち運びしやすく、お土産にもおすすめです。

※全て税込み価格

■スポット情報
店舗名:塩芳軒
住所:京都市上京区黒門通中立売上ル飛騨殿町180
電話番号:075-441-0803
営業時間:9:00~17:30
定休日:日曜・祝日、月1回水曜日(不定)

交通:市バス「大宮中立売バス停」から徒歩2分、地下鉄「今出川駅」から徒歩17分

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