【離乳食】卵の上手な進め方|インストラクターが答えるQ&A
離乳食で卵はいつから食べられる?
離乳食を生後5ヶ月から始めた場合、卵は生後6ヶ月頃から与えることができます。最初は卵黄からスタートし、卵黄に食べ慣れてきたら卵白を少しずつ加えて食べさせていきます。
卵白は、卵黄よりもアレルギーの原因となる物質を多く含んでおり、アレルギー症状が出やすいという特徴があります。そのため、乳児に与えるときは、卵黄→卵白→全卵というように、少しずつ段階を踏むことが重要です。
赤ちゃんに卵を与える時期
「卵黄」は生後6ヶ月を過ぎたあたりから
「卵白」は生後8ヶ月ごろから
「卵黄」は生後6ヶ月を過ぎたあたりから
卵黄は離乳食初期から食べることができます。おかゆや野菜を順調に食べ進み、豆腐や白身魚などのタンパク質にもチャレンジして、食べ慣れてきたら卵黄をスタートしましょう。
お子さまの離乳食の進み具合にもよりますが、目安としては生後6ヶ月を過ぎたあたりです。固ゆでしたゆで卵の卵黄を、裏ごししてペースト状にして与えます。「卵白」は生後8ヶ月ごろから
卵白は、1個分の卵黄を食べられるようになってから始めます。目安としては、生後8ヶ月くらいです。固ゆでしたゆで卵の卵白を、みじん切り程度の大きさに切るか潰して与えます。
ただし、いきなり卵白だけを与えるのはNGです。お子さまの離乳食の進み具合に合わせて、問題なく食べられる量の卵黄に少量の卵白を混ぜて与えましょう。
スケジュール表で確認!離乳食での卵の進め方
離乳食における卵の進め方を表にまとめました。前述した通り、卵の開始は生後6ヶ月ごろが目安です。ただし、月齢にかかわらずはじめて卵を与える場合は初期の進め方を参考にしてくださいね。
なお、写真は卵の形状を示したものです。分量については「1食分の目安量」を参考にしてください。
離乳食での卵の進め方
離乳食初期(生後5〜6ヶ月)……ゆでた卵黄を与え始める
離乳食中期(生後7~8ヶ月)……ゆでた卵白を与え始める
離乳食後期(生後9~11ヶ月)……ゆでた全卵を与えてよい
離乳完了期(生後12~18ヶ月)……薄焼き卵を与えてよい
離乳食初期(生後5〜6ヶ月)……ゆでた卵黄を与え始める
離乳食を開始して1ヶ月ほど経ち、食べ慣れてきた頃に卵黄を開始させるのが理想です。卵はアレルギーの原因となる物質が多く含まれているため開始を遅らせる方もいらっしゃいますが、開始時期の遅れはアレルギー発症のリスクを高めます。
ペースト状にしたゆで卵の卵黄を、初日は耳かき1杯の量からスタートしましょう。翌日から少しずつ量を増やし、1~2ヶ月かけて卵黄1個を食べられるようになるとよいですね。離乳食初期には、1食あたり卵黄1個弱(10~15g)までを限度として食べることができます。離乳食中期(生後7~8ヶ月)……ゆでた卵白を与え始める
卵黄1個分を問題なく食べられるようになったら、卵白を与え始めます。お子さまの食べ進み具合にもよりますが、生後8ヶ月くらいからが目安です。ゆで卵の卵白をみじん切り程度(2~3mm)の大きさに刻むか、潰して細かくします。
初日は、卵黄1/2~1個に耳かき1杯分の卵白を混ぜたものを少量与えましょう。問題がなければ、2日目から卵黄に混ぜる卵白の量を少しずつ増やしていきます。離乳中期には、1食あたり卵黄1/2〜1個、または全卵1/3個を限度として食べることができますよ。離乳食後期(生後9~11ヶ月)……ゆでた全卵を与えてよい
卵白を問題なく食べられるようになれば、離乳食後期には卵黄と卵白を分けずに全卵で与えられるようになります。その際も、固ゆでしたゆで卵を5~7mmくらいの大きさに刻んであげましょう。
全卵が問題なく食べられるようになれば、離乳後期の後半頃からほかの調理法を試すこともできます。ただし、どんな調理法の場合も必ず火は十分に通すことを心がけましょう。離乳後期には、1食あたり全卵1/2個までを限度として食べることができます。離乳完了期(生後12~18ヶ月)……薄焼き卵を与えてよい
この頃は、炒り卵や薄焼き卵を食べることができます。半熟の部分がなくなるまでしっかりと炒め、1cmほどの大きさに切ってあげましょう。離乳完了期には、1食あたり全卵1/2~2/3個までを限度として食べることができます。
また、マヨネーズが食べられるようになるのは完了期の後半頃です。マヨネーズは生の卵で作られているので、炒めものに使用するなど加熱して使うようにしましょう。風味付け程度に少量使うのであれば、問題ありません。
【Q&A】卵アレルギーが心配。離乳食で与える時期を遅らせてもいい?
A. アレルギーをおそれる余り、自己判断で卵の開始時期を遅らせるのはやめましょう。
アレルギーの原因となる食物の開始を遅らせても、アレルギー予防の効果はありません。逆にアレルギー発症のリスクを高める可能性があるため、適切な時期に食べることが推奨されています。
【Q&A】離乳食で卵ボーロはいつから与えてOK?
A. 砂糖を使用している卵ボーロもあるので、おやつが始まる離乳食完了期頃から、お楽しみとして少量与える程度にとどめましょう。
また卵ボーロは全卵を使用しているものが多く、離乳食として卵を始める練習に使うのはNGです。
【Q&A】離乳食で卵を与えるおすすめの時間帯は?
A. 卵に慣れるまでは、できるだけ平日の午前中から夕方頃までに食べさせましょう。万が一アレルギー症状が出た場合、夜だと病院が開いていないおそれがあるためです。
すぐに病院で受診できるようにするためにも、卵黄、卵白、全卵を始めるときは、その都度、平日の午前中に与えるようにしてくださいね。
【Q&A】離乳食で卵は毎日食べさせても平気?
A. 卵は毎日食べさせても問題ありません。とくにはじめて卵黄にチャレンジした日から3日間くらいは、連続で与え続けたほうがアレルギーのリスクを抑えられます。
以降は、卵に慣れるために与える期間はあけすぎないようにしたいですが、必ず毎日与える必要もありません。タンパク質は体に負担がかかるため、乳児が1日に摂取できるタンパク質の適正量は決められています。卵に偏らず、適正量の範囲内で肉や魚や豆腐といったさまざまな種類のタンパク質を摂るよう心がけてください。
離乳食用の卵料理の上手な作り方
離乳食用ゆで卵の作り方
離乳食用のゆで卵は、沸騰させた湯に卵を入れ20分間しっかりと火を通すことが大切です。そしてゆで上がったら卵を割り、黄身の中心まで完全に火が通っていることを必ず目で確認しましょう。
離乳食初期では卵黄の部分だけを食べるので、ゆであがったらすぐに卵黄と卵白を分けてください。分けずに放置すると、卵白の成分が卵黄に付着してしまいます。また、火を通す前に卵白を取り除く方法では、卵黄に付いている卵白を完全に取り除くことはできません。必ずゆで卵にしてから分けてくださいね。
離乳食用炒り卵や錦糸卵の作り方
炒り卵や錦糸卵を作る際も、完全に火を通すことを心がけましょう。卵の水分が抜けて、パサパサとするくらいが目安。大人からするとおいしそうに見えないかもしれませんが、離乳食としてはそれくらいが安心です。
卵を与えるときの注意点・ポイント
注意点・ポイント
耳かき1杯からチャレンジする
卵を食べてから30分は様子を見る
調理法を変えるときは体調の良い日を選ぶ
新鮮な卵を使う
耳かき1杯からチャレンジする
卵黄も卵白も、最初のひと口は耳かき1杯程度の少量から始めて様子を見ます。問題がなければ、翌日から少しずつ量を増やしていきましょう。
卵を食べてから30分は様子を見る
卵のアレルギー症状は食べてから30分以内に発症することが多いため、卵に慣れるまでは食べたあとにお子さまの様子をよく観察することが大切です。口のまわりや顔、体が赤くなっていないか、発疹が出ていないかなどを確認してください。
なんらかの異変が見られた場合は、すぐに病院へ連れていきましょう。病院で診察を受ける前に症状が引いてしまうこともあるので、医師に見せることができるよう、症状が出ている間にその部位を写真に撮っておくことをおすすめします。調理法を変えるときは体調の良い日を選ぶ
ゆで卵に食べ慣れて順調に離乳食が進んでいても、薄焼き卵や茶わん蒸しなど調理法を変えるとアレルギー症状が出てしまう子もいます。体調が悪いと症状が出やすくなることもあるため、調理法を変えるときは体調の良い日を選びましょう。
新鮮な卵を使う
離乳食には、新鮮な卵を使ってください。賞味期限内の卵なら問題はありませんが、できるだけ買ってすぐの卵を使うことをおすすめします。
保存するときは、ゆで卵であれば、卵黄と卵白を分けた状態でラップをして密封状態にします。保存期間は、冷蔵庫で2日が目安です。乳児は内臓機能が未発達なので、卵に限らず新鮮な食材を使うことが大切ですよ。
離乳食の卵は、ステップを踏んで上手に進めよう!
卵は、離乳食のなかでもとくに与え方に気を遣う食材だと感じる方も多いでしょう。確かに特定原材料のひとつである卵は気を付けたい食材ではありますが、正しく進めていけば心配しすぎることはありません。
卵は良質なタンパク質源であることはもちろん、ビタミン、カルシウム、鉄など、健康を維持するために必要な栄養素が豊富です。赤ちゃんの健やかな成長の一助として、卵を離乳食に上手に取り入れてくださいね。
取材・文/鎌上織愛
ライター:鎌上織愛(幼児食アドバイザー、グルメ旅ライター、お土産コンシュルジュ)
監修:中田 馨(一般社団法人 離乳食インストラクター協会代表理事・中田家庭保育所施設長)