特集・特別インタビュー 区長が語る「地域の防災」
港南区栗原敏也区長「協働による防災力向上」
――台風7号や10号が関東に接近しました。被害状況や区役所の対応を教えて下さい。
「避難所の開設や区民への情報発信など、区役所一丸となって迅速・的確な災害対応にあたり、区民の皆様の安全・安心に努めました。幸いどちらの台風においても港南区内では人的・物的被害はありませんでした」
――過去に港南区で起こった風水害の事例はありますか?
「ここ数年の大きな風水害は、2019年9月に発生した局地的な大雨で、時間最大86ミリの猛烈な雨が降り、住家の床上浸水や道路冠水などの被害が発生しました。
こうした大雨や台風は、発生や規模がある程度事前に把握することができますので、ハザードマップによる危険箇所の確認や、風水害時に開設される避難場所の状況などの情報を入手できる手段の確保など、事前に準備しておくことが重要になります」
――南海トラフ巨大地震が発生した際の、港南区での被害想定を教えて下さい。
「最大震度5強が想定されます。震度5強以上の地震が発生すると区民の皆さんと協働で区内全31カ所の地域防災拠点を開設します。
先月、南海トラフ地震臨時情報が発令された際、全拠点の防災倉庫を改めて点検し、防災拠点開設に支障が無いことを確認しました。その際、地域防災拠点運営委員の方も率先して、職員と一緒に確認をしていただきました。
自宅が倒壊した場合は、地域防災拠点が避難場所となりますが、ご自宅で安全を確保できる方は、ストレスの少ない自宅で過ごす『在宅避難』をお願いしています。在宅避難の備えをすすめつつ、地域防災拠点は情報や物資の拠点にもなりますので、日頃から最寄りの拠点を把握いただくことが大切です」
――区民の皆さんへ、防災に対するメッセージをお願いします。
「被害は一人ひとりが備えを進めることで、最小限に抑えることができます。区役所からはWEBサイト上で必要な情報を発信しています。区役所も公助の力を最大限発揮してまいりますので、皆さまも水や食料など日用品の多めの買い置き(ローリングストック)や、トイレパックの備蓄、地域防災拠点の訓練への積極的な参加などで自助・共助の取組みを進めて下さい。『オール港南』で地域防災力を向上させたいと思います」
栄区松永朋美区長「地域のつながり大切に」
――台風7号や10号が関東に接近しました。被害状況や区役所の対応を教えて下さい。
「幸いなことにどちらの台風においても、栄区では被害がありませんでした。強い雨が長く続いたこともあり、土砂災害警戒情報が発表されたことを受け、栄区では、土砂災害の危険のある地域に避難指示を発令し、区民へ広報車やホームページ、SNS等を利用した情報発信を行うとともに、区内で3カ所の避難場所を開設し、避難者の受入れを行いました」
――過去に栄区で起こった風水害の事例はありますか?
「風水害による大きな被害では、2019年の台風15号により、栄区内で人的・建物被害等合わせて344件の被害がありました。こういった被害を受け、河川氾濫による浸水対策を行うほか、防災スピーカーや電柱等に浸水深を標示した看板を設置するなど、水害に関する広報啓発を進めています。また、近年は、集中豪雨も増えており、洪水だけでなく、『内水氾濫』(※)による被害も想定されています。危険箇所や避難場所を把握できるハザードマップを栄役所で配布しているほか、栄区ホームページでご覧いただけますので、事前にご確認ください」
※雨の量が下水道などの排水能力を超えたときや、河川などの排水先の水位が高くなったときに雨水を排水できなくなり浸水すること。
――区民の皆さんへ、防災・減災に対するメッセージをお願いします。
「風水害・地震どちらにおいても、日ごろから各ご家庭や地域での対策が非常に重要になります。ご自分の避難場所を確認するとともに、自治会町内会や地域防災拠点の訓練にご参加いただき、避難経路や避難場所を事前に確かめておくと、いざというときに落ち着いて行動できます。また、災害時は地域で助け合う『共助』が必要不可欠です。改めてご近所の方とのつながりを大切にしてください。
また、近年横浜市では、住み慣れた自宅で安心して避難生活を送る『在宅避難』も呼びかけています。『在宅避難』をするために、家具の転倒防止の対策や、食料、水、トイレパックなどの備蓄を進めていただくようお願いします。災害の備えについて、チェックと書き込みができる『栄防災ノート』を栄区役所で配布・ホームページで紹介していますので、ぜひこちらをご活用ください」