北欧の人々のあかりの生かし方から学ぶ「ヒュッゲな暮らしをデザイン 北欧のあかり展」が3月5~24日、『日本橋髙島屋S.C.』本館8階ホールで開催
北欧からどのようにして質の高い照明器具が生まれたのか? 数多くの照明器具とそのデザイナーを紹介する「ヒュッゲな暮らしをデザイン 北欧のあかり展」が2025年3月5日(水)~24日(月)、東京都中央区の『日本橋髙島屋S.C.』本館8階ホールで開催される。
あかりを通して体感する“ヒュッゲな暮らし”
“ヒュッゲ”とはデンマーク語で“居心地のいい空間”や“楽しい時間”を意味する言葉。
緯度の高い位置にあるため、夏は暗くならない白夜になるのに対し、冬は暗い時間を長く過ごさねばならない北欧諸国。そのため北欧の人たちは、キャンドルや照明のあかりをうまく用いた暮らしを営んできた。適度な暗さの中での温かみのあるあかり、窓の外の美しいトワイライトの空と調和するあかり、あかりが闇に消えていくグラデーションの味わいなど、現地の人々の暮らしにみる、あかりの生かし方、その効果について紹介。北欧の“ヒュッゲな暮らし”の心地よさを感じられる内容となっている。
近代照明3巨匠の功績と照明器具に注目
北欧の近代照明の発展に大きく寄与した3人の巨匠、デンマークのポール・ヘニングセン、コーア・クリント、フィンランドのアルヴァ・アアルト。近代的な照明器具が生まれてから約100年、黎明期である1920年代当時から振り返りながら、巨匠たちの考え方、彼らが生み出した照明器具や協働したブランド・メーカーなどに着目する。
中でも、ポール・ヘニングセンの原点となる3枚シェードのPHランプは大きな見どころ。1925年のパリ万博に出品され、3枚シェードが誕生する契機となったパリランプが、デンマークから海を渡って展示される。翌1926年に完成した3枚シェードのPHランプをはじめ、のちにデザインされた多様なバリエーションのランプまでが展示され、やわらかな光に包まれる。
建築物とトータルにデザインされたあかり
北欧では建築をつくるときに、家具や照明など環境にあるもの全てをトータルにデザインする志向がある。パーヴォ・ティネルが照明デザインを手がけたヘルシンキ中央駅などの建築、デンマークの巨匠建築家アルネ・ヤコブセンやヴィルヘルム・ラウリッツェンによる今も残る名建築、「光と音の建築家」と称されるユハ・レイヴィスカの美しい教会建築など、建築物と調和するあかりを取り上げる。
また、北欧デザイン黄金期の1940〜60年代から近年までを対象に、北欧で生まれた名作照明の数々をデザイナーとともに紹介。ペンダントランプ・テーブルランプ・フロアランプなど、光の照らし方、光の質、器具の形など多様で、素材も金属、プラスチック、紙、木など、種類豊富なランプが並び、その魅力を感じられそうだ。
北欧のあかりに包まれた空間を体験
会場には名作照明と北欧家具をコーディネートし、実際にあかりを体験できる場“ヒュッゲの広場”が用意されている。優しい暗さに包まれながら、北欧のあかりの心地よさを体感できる空間が広がり、デンマークやフィンランドで撮影されたオリジナルの映像が流れる。まるで北欧を旅しているような気分を味わえそうだ。
開催概要
「ヒュッゲな暮らしをデザイン 北欧のあかり展」
開催期間:2025年3月5日(水)~24日(月)
開催時間:10:30~19:30(最終日は~18:00。入場は閉場の30分前まで)
休館日:無
会場:日本橋髙島屋S.C. 本館8階ホール(東京都中央区日本橋2-4-1)
アクセス:JR東京駅から徒歩5分、地下鉄銀座線・東西線日本橋駅直結、地下鉄浅草線日本橋駅から徒歩4分
入場料:前売り:一般1000円、大学・高校生800円 当日:一般1200円、大学・高校生1000円、中学生以下無料
※障害者手帳をお持ちの人と介護者1名無料
【問い合わせ先】
日本橋髙島屋S.C.☏03-3211-4111
公式HP https://www.takashimaya.co.jp/store/special/hokuou_akari/
取材・文=前田真紀 画像提供=髙島屋
前田真紀
ライター
『散歩の達人』『JR時刻表』ほか雑誌・Webで旅・グルメ・イベントなどさまざまなテーマで取材・執筆。10年以上住んだ栃木県那須塩原界隈のおいしいものや作家さんなどを紹介するブログ「那須・塩原いいとこ、みっけ」を運営。美術に興味があり、美術評論家で東京藝術大学教授・布施英利氏の「布施アカデミア」受講4年目に突入。