【2024年最新】世界GDPランキング なぜ日本は4位に転落したのか?
GDP(国内総生産)とは
「GDP」とは「国内総生産」のこと。英語の「Gross Domestic Product」の略だ。一定期間内に、各国で生産されたモノやサービスの付加価値の合計額を表す。この付加価値とは、わかりやすく言うと「儲け」のこと。つまりGDPは、各国でどのくらい景気がいいか、経済状況はどうなっているか示すことになる。
2024年最新の世界GDPランキング
IMF(国際通貨基金)が発表した2024年の世界各国のGDPをもとに、ランキングを紹介する。(※1)
2019年〜2023年のGDPランキング
過去のGDPランキングの結果はこちら。
◆2019年 世界GDPランキング
◆2021年 世界GDPランキング
◆2022年 世界GDPランキング
◆2023年 世界GDPランキング
GDPランキング上位国の動向
1位 アメリカ(GDP 27兆9665億ドル)
1位は例年どおりアメリカで、27兆9665億ドル。2023年のGDPは26兆8546億ドルだったので、1兆1209億ドルの増加となった。2023年、アメリカ経済は景気後退に陥るとみられていたが、結果として堅調さを維持。OECDは2024年のアメリカの経済成長を2.9%と予想している。2023年の3.1%からは鈍化するが、世界を牽引する経済大国であることに変わりはない。
2位 中国(GDP 18兆5600億ドル)
2位は、18兆5600億ドルの中国だった。2023年は19兆3735億ドルだったため、8135億ドルの減少となった。中国もアメリカと同様に、2024年と2025年は、2023年に比べて経済成長が鈍化すると見られている。しかし、世界のGDP上位2か国は、アメリカと中国であり、中国の2位の座は揺るぎない。
3位 ドイツ(GDP 4兆7008億ドル)
3位に入ったのはドイツだ。2023年の4兆3088億ドルから、3920億ドルの増加となった。ドイツは、メルセデスベンツやBMWなどの自動車をはじめとした製造業が盛んな国で、ドイツ国内での生産を重視するメーカーもある。ただ、エネルギー価格の高騰などの問題も抱えている。
2024年最新 一人あたりのGDPランキング
一人あたりのGDPランキングも紹介する。一人あたりのGDPは、各国のGDPを人口で割った数値のことで、国の平均的な豊かさの指標になる。(※2)
一人あたりのGDPランキング上位国の動向
1位 ルクセンブルク(140307ドル)
一人あたりのGDPランキングでトップに君臨するのが、ルクセンブルグ。人口約65.7万人の小さな国だが、世界屈指の富裕国として有名だ。これは、近隣の国からの越境労働者の影響が大きい。他国から人がルクセンブルクに働きに来た場合、ルクセンブルクのGDPは増えるが、人口はその母国でカウントされるため、ルクセンブルクの一人あたりのGDPは高くなる。
2位 アイルランド(117979ドル)
2位はアイルランドで、2023年のランキングから変動はない。出生率が高いため、若い労働人口が多く、国の生産性が高いため、一人あたりのGDPも高くなる。
3位 スイス(110246ドル)
3位はスイスで、2023年の4位からランキングをひとつ上げた。GDPは20位だが、一人あたりのGDPでは上位に名前を連ねる。
日本の動向 日本が4位に転落した理由は?
世界のGDPランキングで、これまで3位につけていた日本だが、2024年のランキングでは4位(4兆2861億ドル)となり、ドイツにその座を渡したこととなった。その理由は何だろう?
円安による影響
GDPランキングはドル換算したうえで順位が付けられる。2023年から円安ドル高の傾向が続いており、日本の総生産はドル換算するとどうしても減少してしまう。このことが影響のひとつとみられる。
生産性の低迷
ドイツでも、ロシアのウクライナ侵攻による物価上昇は起きているが、日本では物価上昇によって個人消費や企業への投資が伸び悩んだことも一因と考えられる。さらに、日本における生産性が低迷していることも考慮する必要があるだろう。近年は、「物価は上がっているのに、日本の賃金が上がらない」話題が多く取り上げられているが、賃上げによって人々の所得を増やし、それによって消費する“経済の循環”が求められている。
2025年にはインドに抜かれ5位になる可能性
2024年のランキングで5位につけたのは、4兆1053億ドルのインドだ。だが、日本との差はとても小さい。仮に、日本の経済低迷と円安傾向が続くなら、2025年のランキングでは、日本がインドに抜かれ5位まで落ちる可能性も指摘されている。
日本の一人あたりのGDPは37位に(34554ドル)
日本の一人あたりのGDPは34554ドルで37位だった。2023年は35390ドルで31位だったため、一人あたりのGDPもランキングも落とす結果となった。一人あたりのGDPランキングは、国民一人あたりの豊かさを示すものであり、日本は依然として世界のなかでは豊かな国にあてはまるが、ランキングは下降傾向にあると言えるだろう。
日本経済の低迷と存在感低下への懸念
GDPでも、一人あたりのGDPでも、2024年にランキングを落とすこととなった日本。円安の影響が大きいものの、日本経済の低迷と、国際社会における存在感低下に懸念する声がある。
かつての日本は、世界一の経済大国になるとも言われたことがある。だが、今回のランキング後退は、日本の先行きに不安を感じさせる結果となったと言わざるを得ない。
※1 GDP current prices|IMF
※2 GDP per capita current prices|IMF