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キレキレシュートで輝き増した巨人・田中瑛斗をデータ解析、割合もスピードも大幅アップ

SPAIA

巨人・田中瑛斗,ⒸSPAIA

阪神戦、無死満塁の大ピンチを無失点

会心の投球に雄叫びを上げた。巨人・田中瑛斗投手(25)が無死満塁で甲子園のマウンドに立ったのは5月22日の阪神戦。2-2で迎えた8回から登板した石川達也が1死も取れず、3人の走者を残して降板した直後だった。

3番・森下翔太を徹底的に内角シュートで攻め続ける。合わせるのが精一杯の森下が自打球を左ひざに当てて倒れるシーンもあった。

結局、最後までシュートで攻めてサードゴロを打たせ、本塁から一塁へ転送するダブルプレーで2死。4番・佐藤輝明を申告敬遠して再び満塁にし、続く5番・大山悠輔も内角シュートで追い込むと、最後は満を持してスライダーで空振り三振に斬って取った。

この回に投じた10球のうち9球がシュートで、最後の1球のみスライダー。見事に無死満塁の大ピンチを脱出したチームは延長11回に勝ち越し、今季初の阪神戦カード勝ち越しを決めた。

試合の流れから言っても、試合終盤に1点でも献上していたら負けていた可能性が高い。田中瑛斗の価値あるホールドだった。

阿部慎之助監督の助言でシュート多用

田中瑛斗は柳ヶ浦高から2017年ドラフト3位で日本ハムに入団。2019年にプロ初登板を果たしたものの、2020年に右肘を手術したこともあり、2022年に4試合に先発して18.2回を投げたのが自己最多だった。この年に挙げた1勝がプロ唯一の白星だ。

昨オフに現役ドラフトで巨人に移籍。元々はカットボール、スライダー、カーブ、フォーク、チェンジアップ、シュートなど多彩な変化球を駆使する右腕だったが、オープン戦で阿部慎之助監督から助言されてシュートを多用するようになり、今季ここまで19試合で1敗12ホールド、防御率2.76の好成績を残している。

実際、日本ハム時代と球種別の割合はどれくらい変化しているのだろうか。18.2回を投げた2022年と4回を投げた2024年、そして今季の3シーズンで、投球割合の多いストレート、シュート、スライダー、フォークの4球種を比較したのが下の表だ。

シュートの割合は9.8%から60.8%に激増

見ての通り、シュートの割合は2022年が15.2%、2024年が9.8%だったが、今季は60.8%に激増。空振り率も2022年の4.2%、2024年の0%から今季は11.4%に急上昇している。

一方、スライダーの割合は2022年が24.1%、2024年が25.6%で今季も23.5%とほぼ変化なし。逆にストレートは2022年の28.2%、2024年の37.8%から今季は6.9%に激減し、フォークも2022年が9.8%、2024年は20.7%だったが、今季は6.9%に減っている。

阿部監督の助言や甲斐拓也ら捕手のリードもあるだろうが、自信を持って腕を振れているからこそ内角にくい込むシュートがキレるのだろう。

平均6キロもスピードアップ

それは球速にも表れている。同じく2022年、2024年、2025年の3シーズンの球種別平均球速と最高球速の下の通りだ。


軒並み速くなっているが、中でもシュートは2022年が平均142.3キロ、最高148キロ、2024年が平均145.6キロ、最高147キロだったのに対し、今季はなんと平均148.5キロ、最高152キロと3年前に比べて平均6キロもスピードアップしている。

フォークも2022年の平均135.1キロから今季は141.3キロと約6キロアップ。ストレートとスライダーも速くなっており、今季はコンディションも良いことが分かる。その上、結果が出るから自信もついて、さらに腕が振れるという好循環だろう。

現役ドラフトの成功例また一人

最後に被打率と被本塁打も見てみよう。


2022年と2024年はサンプルとなる球数が少ないため一概には言えないが、シュートは2022年が.083、2024年が.500だったが、今季は.265と昨季よりは良化。フォークも2022年が.125、2024年が.500で、今季は.333と昨季より良化している。

スライダーも今季の被打率.111と優秀だが、ストレートは被打率10割。つまり投げると痛打されているわけだが、ほとんどストレートを使っていないため参考程度にしかならない。

やはり全体の6割を占めるシュートによって、田中瑛斗は輝きを増したのだ。阪神・大竹耕太郎や日本ハム・水谷瞬ら現役ドラフトで素質開花した例は少なくないが、このまま活躍を続ければ田中瑛斗も成功例の一人として数えられることになりそうだ。

※成績は2025年5月22日終了時点

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記事:SPAIA編集部

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