伝統工芸 駿河張下駄のお噺し
2024年7月28日放送の「静岡市歴史めぐりまち噺し」。今日は、伝統工芸 駿河張下駄のお噺しです。
語り:春風亭昇太
東海道を行き来する人や物の流れによって、各地の流行を取り入れた履物作りが盛んになった駿府。
明治時代に入ると、職人たちはその時代に合った下駄を作るようになり、2つの飾り下駄、駿河塗下駄と駿河張下駄が生まれました。
張下駄は木目の美しい桐の板をうすく削った「柾経木」を下駄の表面に張って作られ、張下駄が人気になっていくと、「張屋」という職業も成り立つようになっていきました。
戦後になると、張下駄に張る素材は増えていき、柾経木張りの技術を活かして、紙の糸を材料として作られる布や和紙、竹皮など、様々な素材を張るようになりました。
素材を張り分ける「張り分け」や型で抜いた柄を張る「型抜き」など様々な技法があり、技法を駆使して個性的なデザインの張下駄が作られるようになっていきます。
駿河張下駄には、数限りないデザインのバリエーションがあり、履き心地の良さも特徴です。
細かな細工を施した張下駄を作っているのは、全国で静岡だけとされ、価値ある郷土の工芸品としてその職人が静岡市伝統工芸技術秀士に指定されています。
登呂遺跡の田下駄に始まったとも言える静岡の下駄作り。駿河塗下駄、駿河張下駄の工芸品としての伝統が守り続けられている一方、時代の変化に合わせた履物産業の進化も続いています。
静岡市歴史めぐりまち噺し今日のお噺しはこれにて。<!-- tag:伝統工芸/area:静岡市葵区 -->