【妊娠初期】人気の産院はすぐ埋まる? 後悔しない「産院選び」とパートナーにも知ってほしい流産の話[妊娠2ヵ月]
妊活中から妊娠超初期の特徴を産婦人科医・柴田綾子先生に取材。妊娠2ヵ月(4~7週)のつわりと症状、初めての産婦人科受診と産院選びのポイント(全4回の2回目)。
【▶画像】妊娠1ヵ月(0~3週)のママと赤ちゃんの状態妊娠検査薬で妊娠の確認ができるようになる妊娠2ヵ月(4~7週)。陽性反応が出て、喜びと同時に、さまざまな疑問や不安が出てくることも。妊娠2ヵ月は、赤ちゃんの重要な器官が作られる大切な時期で、ママの体にも「つわり」などの大きな変化があらわれます。
ママの状態と、「病院はいつ行けばいい?」「産院はどうやって選ぶの?」といった疑問について、産婦人科医の柴田綾子先生に解説してもらいました。
妊娠2ヵ月のママと赤ちゃんの状態は?
妊娠2ヵ月は、妊娠4~7週までの時期を指します。一般的な妊娠検査薬で陽性反応が確認できるのは、妊娠5週(月経予定日の1週間後)からです。
7週目ごろの赤ちゃんは、ブルーベリーぐらいのサイズです。 イラスト/吉田いらこ
妊娠2ヵ月は、ママから酸素や栄養を受け取って、脳や心臓、肺、肝臓といった重要な器官の形成が始まる非常に大切な時期です。
つわりが本格化? 妊娠2ヵ月の主な症状
妊娠2ヵ月では、多くの方につわりの症状が出始めます。食欲の低下や吐き気、においへの過敏さなどが典型的な症状ですが、個人差が大きく、まったく症状が出ない方もいます。
つわり以外にも以下のような体調の変化がみられます。
【妊娠2ヵ月の体調の変化】
・強い眠気や体のだるさ、めまい
・便秘や胃の不快感
・胸の張りや痛み
・下腹の張りや腰の重だるさ
・頻尿
・鼻炎や鼻づまり
・微熱
子宮を支えるじん帯が引っ張られることで、下腹部や腰に違和感を覚えることがあります。
多くの場合は自然におさまりますが、性器出血を伴う場合や、痛みがある場合、もしくは強くなる場合には、流産(妊娠22週未満に胎児が亡くなる・流れてしまう状態)や異所性妊娠(子宮の外で受精卵が育っている状態)の可能性があるため、速やかに産婦人科を受診しましょう。
初めての産婦人科はいつ行く? 妊娠2カ月の過ごし方
早期から使用できる妊娠検査薬では、妊娠4週(月経予定日当日)で陽性が確認できることもあります。ただし、この時期に受診しても、赤ちゃんの入った袋(胎囊)がまだ小さく、赤ちゃんの心拍がエコー検査で確認できないこともあります。
受診は妊娠5週~6週ごろを目安にしましょう。
エコー検査で心拍が確認できれば、妊娠の診断が確定します。多胎妊娠の場合もこの時点でわかることが一般的です。
心拍が確認できたら、役所や保健センターに妊娠届を提出し、母子健康手帳を受け取りましょう。市区町村によっては、妊婦健診の費用を公費で負担してもらえる受診票も配付されます。次回の健診までに母子健康手帳をもらっておくのがよいでしょう。
受診先を選ぶときは、今後の健診で通いやすい距離やアクセスを確認しましょう。出産までお世話になる場合は、無痛分娩の有無、産後ケアや授乳支援の方針、費用などが自分の希望に合うかを確認することも大切です。
また、高年齢(一般的に35歳以上)や持病(高血圧や子宮筋腫など)がある方、または双子や三つ子を妊娠中の方は、新生児集中治療室(NICU)のある病院を選んでおくと安心です。人気のある産院は早くに分娩予約が埋まることもあるため、できるだけ早めに検討するとよいでしょう。
この時期は赤ちゃんの重要な器官が作られる時期でもあり、薬・アルコール・タバコは未熟な胎児に悪影響を与える可能性があります。
イラスト/吉田いらこ
アルコールは胎盤を通して赤ちゃんに届き、発達に影響を与える可能性があるため、禁酒を徹底しましょう。タバコも流産や低体重児のリスクを高めるため、禁煙が必要です。
お薬については、妊娠中に安全に使える薬もあります。妊娠が分かったときに産婦人科医や主治医に相談してください
東京都では2025年10月1日より無痛分娩の費用助成が始まりました。助成の対象医療施設は限られているため、事前に調べておくとよいでしょう。
また、この時期は赤ちゃんの重要な器官が作られる時期でもあり、薬・アルコール・タバコは未熟な胎児に悪影響を与える可能性があります。
アルコールは胎盤を通して赤ちゃんに届き、発達に影響を与える可能性があるため、禁酒を徹底しましょう。タバコも流産や低体重児のリスクを高めるため、禁煙が必要です。
薬については、妊娠中に安全に使える薬もあります。妊娠が分かったときに産婦人科医や主治医に相談してください。
腹痛や出血があったら? 知っておきたい危険なサイン
全妊娠の約15%で流産が起こるといわれており、特に妊娠12週までは流産が起こりやすい時期とされています。
その多くは胎児の染色体異常によるもので、どれだけ安静に過ごしていても流産してしまうことがあります。これは、ママの努力で防げるものでも、予想できるものでもありません。
また、妊娠初期に注意したいのが「子宮外妊娠(異所性妊娠)」です。本来、受精卵は子宮内膜(子宮の中)にたどり着いて着床しますが、卵管など子宮外の場所に着床して成長し始めてしまうことがあります。残念ながら、異所性妊娠では赤ちゃんは出産まで育つことができません。
さらに、卵管で受精卵が途中まで育っていると、細い管状の卵管はその大きさに耐えられず破裂し、お腹の中で大出血をおこすことになります。お母さんの命に関わるため、早期に医師に見つけてもらうことが大切です。
流産や異所性妊娠になる可能性は誰にでもあるため、産婦人科の受診が必要な危険な2つのサイン、①腹部の強い痛み、②多量の出血を知っておきましょう。
この2つの症状がある場合、流産や子宮外妊娠(異所性妊娠)の可能性があるため、早急な受診が必要になります。
一方、出血が少量で腹痛も軽く、心拍が確認できているなど正常な妊娠の判断がされている場合には、経過観察になることもあります。
妊娠検査薬で陽性が出たら、必ず医師の診断を受けましょう。妊娠5週~6週ごろに産婦人科を受診するのは、妊娠を確認するだけでなく、正常な位置で赤ちゃんが育っているかを確認するためにも重要となります。
月経が来ず、なんとなく不調が続く場合も、まず妊娠検査薬を使って妊娠の確認をしてみましょう。というのも、月経不順の方や忙しい方は妊娠に気づくのが遅れやすい傾向にあります。
早めに妊娠を知ることで、生活習慣の見直しや受診のタイミングを逃さずにすみます。
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妊娠2ヵ月は、妊娠検査薬やエコー検査によって妊娠がわかる時期。また、妊娠2ヵ月後半には、エコー検査で小さな心臓が動く様子が確認できるかもしれません。
自分の体に新しい命が宿っていることが確認できたら、体調の変化に注意しつつ、ママはゆっくり過ごせるといいですね。
取材・文/メディペン(広田沙織)