釣りライター視点で考える最新ニュース【ChatGPTがiPhoneに標準搭載】
ChatGPTがiPhoneに標準搭載されるようになる。ライバルGoogleを意識したAIライティングの先制攻撃だ。筆者もこれまで何度かAIを使って記事を書いてみたが、質は高い。その上さらにアップル社とのコラボでさらに向上するものと思われる。果たして我々釣りライターに未来はあるのだろうか?
ChatGPTのライティング精度
ChatGPTを使って釣行記を書くことは、筆者の試みとして半分成功している。魚種や時間帯を指定すれば、小説のような風景描写もつく。しかし細かい部分では粗があり、たとえばアジングではそもそもありえないタックルセッティングを述べたり、詳しい部分に踏み込むのは避けようとする。
2024年現状では、リアルな釣行記に使うには少なくとも使い物にはならないレベルとは言える。基本の部分をChatGPTに頼って、その上でリライトして使用することはできるだろう。というのもこのAIは著作権を譲渡しているので、学校の試験でもあるまいし、基本的に、どこかの編集部なんかに弾かれる筋合いはない……。
ちなみに最近では短編小説の創作まで可能となった。自信満々に「小説を書くので、設定を言ってください」などと言う。
ここでは冗長になるので避けるが、たとえば「タバコを吸っている美少女を描写して」といえば、次のような文章が書かれる。
「美少女は優雅にして謎めいた微笑みを浮かべながら、指先でタバコを持ち上げています。
煙草の煙が彼女の口から舞い上がり、その瞬間に彼女の目には深い思索が宿っています。
その一瞬の美しさと反比例するような危うさが、彼女を独特に魅力的に見せています。」
なかなか良い文章だ。どこか翻訳文体めいている。
釣りライターに未来はあるのか?
ライターから職を奪うかも知れないこの難敵だが、私は最初「まさか……」と楽観していたものの、今ではヤバイかもしれないと思いはじめた。
というのも最近、実際に私はAIに仕事をひとつ取られてしまったのだ。生活お役立ち記事を書いていたが「次からはAIにお願いしますので……」と気遣わしいお祈りメール的なものがきた。しかし芸は身を助けるというべきか、今その会社が釣りの仕事を持ってきてくれているのだから、釣りをしていてよかった。
現実体験を書くのは苦手?
AIの弱点として、現実に根差した体験を、リアルな感情と共に正確に書くことは無理だろう。そんなことを書くのは、そもそも人間でも簡単ではない(いや、そういうことはAIの方がうまいかもしれない)。下手にAIに書かせてしまうと、凝った心情描写をされてしまい、それを自分の感情と同一視するという、まさにAIに乗っ取られる新時代の言文一致も起こりかねない。
人間の記憶や心のように漠然とした空白がないのがAIの弱点で、模倣しようとしてもまあネカマ未満には誤差の小さいものまでしか書けないと思う。ただAIが事実このように心に近い「言葉」を持つようになったのだから、それ自体は優れた発展と言える。
難しい時代で、残念ながら職を奪われても仕方のない職種もあると私は思う。何よりも大きな課題は、それ以上の新しい雇用を生むことができない政治なのかもしれない。
これからのライターに求められるのは、まさしく専門的な知識と経験と、そして書く技術の高さなのだろう。そもそも、AIに危機意識を持たされずしても、そうあるべきだが。
<井上海生/TSURINEWSライター>