ウクライナから避難したサックス奏者 五十嵐健太が「DYNAMIC賢者の音Ⅲ」で10月6日に演奏
「DYNAMIC賢者の音Ⅲ~五十嵐健太とサックスの世界」が、10月6日(日)午後2時から、山口市民会館(山口市中央2)で開かれる。山口市文化振興財団(TEL083-901-2222)の主催。
「DYNAMIC賢者の音」は、世界の第一線で活躍する、これぞ”賢者”だとうならせる若手演奏家を招くクラシックコンサートシリーズ。企画した同財団の肥塚聡子さんは「質の高い演奏を低価格で、演奏家によるトークも交えながら、親しみやすく届ける演奏会」と説明する。地元の学生オーケストラや子どもたちとの触れ合いも大切にする”地域密着型”で開催しており、山口市では今回が3回目。1回目は2023年1月で、チェロ奏者の辻本玲氏をメインに、仲間の鈴木康浩氏(ビオラ)と津田裕也氏(ピアノ)の3人が出演した。2回目は亀井聖矢のピアノリサイタルで、同年12月17日に開かれた。
今回選ばれた”賢者”は、サックス奏者の五十嵐健太だ。2002年に群馬県伊勢崎市で日本人の父親とウクライナ人の母親の間に生まれたが、1歳になる前に父を亡くし、5歳の時に母と共にウクライナの首都・キーウへ移住。7歳でサクソフォンを始め、11歳で音楽学校へ。チャイコフスキー記念ウクライナ国立音楽アカデミー(キーウ音楽院)に進み、30以上の国際コンクールで入賞するなど活躍。だが、ロシアのウクライナへの侵攻により、2022年に日本へ避難、東京音楽大学に編入した。同年8月の第37回日本管打楽器コンクールで1位および内閣総理大臣賞&特別賞を受賞。2023年11月の第8回アドルフ・サックス国際コンクール(ベルギー)では5位入賞を果たした。
演奏会は2部構成。田中しのぶ(ピアノ)、足立雄大(サックス)、井出崎優(同)、彦坂優太(同)も出演する。
第1部は「五十嵐健太サックス・リサイタル」。「ヴァイオリン協奏曲第1番より」(バッハ)、「クラリネットソナタOp.167より」(サン=サーンス)、「プレリュード、カデンツァとフィナーレ」(デザンクロ)、「チャールダーシュ」(モンティ)が演奏される。
第2部は「サックス・カルテット&青春のステージ!!」。「カルメン・ファンタジー」(ビゼー)、「サクソフォン四重奏曲より」(ジャンジャン)、「聖者の行進」(ニーハウス)、「サマータイム」(ガーシュイン)、「Watermelon Man」(ハービー・ハンコック)が演奏。さらに、鴻南中学校吹奏楽部(72人)と「ニューヨークからの4つの絵」(モリネッリ)の第1、2楽章を共演する。
また、環境問題や9.11米国同時多発テロ事件、東日本大震災などをテーマとした企画にも長く関わってきた作曲家・久留智之による、平和への願いを込めて五十嵐のためにつくった楽曲が、世界初演。タイトルは「極東のドゥムカ」で、第1部で披露される。
前売り券は、一般3000円、学生1000円、ペア券5600円で、山口市文化振興財団チケットインフォメーション(YCAM内、TEL083-920-6111)、同館、山口井筒屋、KDDI維新ホール、コンビニエンスストア設置端末などで購入できる。当日券(ペア券の販売はなし)は各500円高。未就学児は入場不可だが、託児サービス(有料、9月29日までに要申し込み)が用意されている。
また、開演前の午後1時から30分間、同館エントランスホールでは、5歳から中学生までで構成される「児童合唱団山口」による「ロビーコンサート」も開催。ウクライナ民謡から耳なじんだ日本の楽曲まで、無料で聞くことができる。ウクライナの菓子などを購入できる「賢者カフェ」も設けられる。