猫の『ヒゲ』には役割がいっぱい!知っていると楽しい豆知識5選 ヒゲがない猫もいる!?
猫のヒゲは6種類
一括りに「猫のヒゲ」と呼んでいますが、実は6種類に分類され、すべて合わせると1匹の猫が生やしているヒゲの本数は50〜60本になります。では、それぞれの種類について見ていきましょう。
✔1.上毛
目の上に生えているヒゲ。片方約6本。
✔2.上唇毛
上唇のぷっくりしている部分に生えているヒゲ。片方約16本。毛穴は4段で、上2段と下2段を別々に動かせる。
✔3.口角毛
上唇毛よりも少し奥の方に生えているヒゲ。片方約1〜2本。
✔4.頬骨毛
口角毛より少し上側の奥に生えているヒゲ。片本約2本。頬骨毛が生えていない猫もいる。
✔5.下唇毛
短く、アゴの下に生えているヒゲ。
✔6.手根ヒゲ
前足首の皮膚の隆起部から生えているヒゲ。片方1〜5本。他のヒゲより短い。
猫のヒゲは高性能センサー
猫のヒゲは、被毛の約2倍の太さを持ち、約3倍深く埋まっています。ヒゲに触れたごくわずかな振動も逃さず、根元にたくさん集まっている神経を通して脳に伝えます。ヒゲは触毛とも呼ばれ、触覚を担う感覚器の中でも特に精度の高いセンサーとして働いています。
ただし、ヒゲは空気の流れや細かな振動は捉えられても、温度は捉えられません。ストーブの近くで寛ぎ、ヒゲが焦げることもあるので注意してあげましょう。
猫のヒゲセンサーの役割
外で暮らしているオス猫たちは、交尾相手のメスを争って激しい喧嘩をします。その際に鋭い爪などから目を守るために、上毛が活躍します。上毛が刺激を受けるとそれが周囲の筋肉に伝わり、素早くまぶたを閉ざします。
顔に生えている全てのヒゲの先端を結んでできる輪は、その猫が通り抜けられる幅と同じ大きさになります。そのため、猫は初めての場所を探るときにヒゲを使って隙間の距離を測定します。
猫は、捕まえた獲物を口に咥えたり前脚で抱え込んだりします。その際に、獲物にまだ抵抗する力が残っているかどうかなどを探るために活躍するのが、上唇毛や手根ヒゲです。
また手根ヒゲは、歩いている時の足元の様子を探るためにも活躍します。例えば、小さな飾りがびっしり並んでいる棚の上を何も落とさずにスイスイと歩けるのも、手根ヒゲのお陰です。
他にも、猫のヒゲは湿度の変化を察知したり、夜目が効かない真っ暗闇の中でもヒゲで周囲の状況を把握して行動するなど、触覚器官の中でもとても重要な役割を担っています。
猫の感情はヒゲに現れる
これはご存知の方も多いかもしれませんが、猫のヒゲは猫の感情によって変化します。例えば、だらんとやや下向きに垂れ下がっていればリラックスしているサイン、ヒゲが頬に沿ってピタッと張り付いている時は緊張や恐怖を感じているサインです。
また何か気になるものがある時は、耳や目やヒゲが対象物に向けられるため、ヒゲが前を向いているように見えます。このヒゲのサインは、猫同士や飼い主さんとのコミュニケーションにも役立つでしょう。
ヒゲがない猫もいる!?
スフィンクスは、ヘアレスキャットと呼ばれる品種の中でも特に有名な品種です。スフィンクスは、遺伝的に「毛は生えるがすぐに抜けてしまう」という特徴を持っているため、ヘアレス(無毛)というより、細くて短い毛に覆われた猫です。
ヘアレスキャットの中には、スフィンクスのように本当の意味では無毛ではない猫も、無毛の猫もいます。そのため、全くヒゲが生えない猫もいれば、細くて短いヒゲが生えている猫もいます。
これらの猫は、ヒゲの代わりに他の感覚器を活用するため、普通の生活を送れます。ただし、飼い主さんはヒゲがないことに対して、下記のようなサポートをする必要があります。
✔夜は常夜灯をつけておく
✔愛猫が挟まってしまうような行き止まりの場所を作らない
✔棚の上などには落とされたくない装飾品を飾らない
✔他の猫と接する時や初めての場所を探索する時には目を離さない
まとめ
猫のヒゲが、とても敏感で高性能な触覚器官だということをご紹介しました。興味本位でヒゲを触ると、猫に余計なストレスを与えかねませんので、控えましょう。
ただし猫のヒゲは、半年に1度程度の頻度で自然に生え変わります。床に猫のヒゲが落ちているのを見つけて、心配された経験を持つ飼い主さんも多いのではないでしょうか。
猫のヒゲを切ったり抜いたりすることは御法度ですが、自然に抜けた猫のヒゲは、縁起物だといわれています。ヨーロッパでは恋のお守り、日本では金運アップのお守りとして、ご利益があるといわれているのです。
もし抜け落ちた愛猫のヒゲを見つけたら、拾ってお財布の中に入れておいてはいかがでしょうか。いつの間にかお金が増えているかもしれません。