ダイエット前に!1日の摂取カロリーを知る方法を管理栄養士が徹底解説
ダイエット中の1日の摂取カロリーはどうしたらいい?
日本でダイエットというと、「食事の量や種類を制限する食事療法や、運動で減量して痩せること」を目的とする痩身を指します。消費するエネルギーよりも摂取するエネルギーを少なくして体重を減らすのが一般的です。
極端に摂取量を制限してしまうと健康を損なうおそれがあるため、自分の体に合わせて摂取カロリーを決めることが大切です。(※1)
1日の摂取カロリーの目安を知る4ステップ
1. 自分の体の状態を知る
まずは自身の体重が適正かどうかを判断します。肥満の判定をするのに用いられているのは国際的な標準指標である「BMI」で、以下の式で計算します。
BMI(Body Mass Index)=体重(kg)÷{身長(m)の2乗}
男女とも標準とされるBMIは22.0。25.0以上から肥満、35.0以上を高度肥満と乗定します。ただし、BMIだけでは筋肉質なのか脂肪過多なのか判断がつきません。
また、BMIが正常であっても体脂肪率が高い隠れ肥満の方も増えており、脂肪のつく場所によっても健康への影響は変わります。BMIだけでなく、体脂肪や腹囲などもひとつの目安として判断するようにしましょう。(※2)
2. 基礎代謝量を知る
基礎代謝量とは起きているときに必要となる最小限のエネルギーのことです。以下の表は参照体重における基礎代謝量を算出した値となります。(※23)
基礎代謝量は本来体重よりも徐脂肪量と強い相関がみられる値です。この表の算出方法の場合、肥満の場合は基礎代謝量が多くなり過ぎ、やせの場合は少なくなり過ぎることがあります。
例えば30歳女性で体重が55.0kgの方の場合、1日あたりの基礎代謝量は21.9×55.0=1205kcal/日となります。(※2)
3. 消費カロリー(推定エネルギー必要量)を知る
基礎代謝量をもとに日常生活でどの程度体を動かしているかという「活動量」を考慮して算出したのが、それぞれの人が1日に消費するカロリー(推定エネルギー必要量)です。
活動量の指標は「身体活動レベル」と言い、以下のように分けられます。(※23)
身体活動レベルの数字を基礎代謝量と掛け合わせると、1日に消費するカロリーの目安がわかります。
たとえば30歳女性で体重55.0kgの方で身体活動レベルが「低い」の場合の1日あたりの消費カロリーは、基礎代謝量1205kcal/日×1.50=1808kcal/日となります。(※3)
4. 摂取カロリーを知る
ご自身が1日にどのくらいカロリーを消費しているかがわかったところで、普段摂取しているカロリーと比較してみましょう。一般的なダイエットでは消費するカロリーより食事から摂取するカロリーを少なくすることで体重を減らします。
普段摂取しているカロリーが多い場合は、食事の内容を見直して摂取するカロリーを減らすか、運動量を増やして消費するカロリーを増やすことが必要です。ただし、カロリーだけに注目して食事を極端に制限すると必要な栄養素が不足するおそれがあるため、バランスには気をつけましょう。(※1)
カロリー制限のメリット・デメリット
カロリー制限のメリット
カロリー制限のメリットは特定の食品を制限するわけではないため、栄養バランスを崩さずに、食事の内容を調整できるという点です。
また、カロリー制限をすることで長寿遺伝子が活性化されたという研究も報告されています。最近では総菜や外食チェーン店でもカロリーが明記されているものが増えているため、自分で確認しやすいのも摂り入れやすい点だと言えるでしょう。(※4)
カロリー制限のデメリット
カロリー制限の場合は特定の食品を避けるのとは違い、全体的に食べる量を減らすため、場合によっては空腹感を感じやすくなることがあります。全体のバランスも考えなければならないため、組み合わせがむずかしいと感じる方もいらっしゃるかもしれません。
また、誰でもカロリーを制限すればいいというわけではなく、低栄養で体の抵抗力が低下してしまうこともあるため、特に高齢者はむやみにカロリー制限をしないように注意しましょう。(※4)
ダイエット中に一日の摂取カロリーを制限するポイント
カロリー制限のポイント
食事のバランスにも気をつける
運動もうまく組み合わせる
極端にカロリーを制限し過ぎない
食事のバランスにも気をつける
カロリー制限をする際にはカロリーだけに意識が向いてしまって、極端な制限にならないように気をつけましょう。特に若い女性の誤ったダイエットによる「やせ」や栄養不良が増えています。
食べない無理なダイエットはエネルギーを体脂肪として蓄えやすい体質になってしまうため、注意が必要です。特に不足しがちな鉄は意識して摂り入れましょう。(※5)運動もうまく組み合わせる
厚生労働省によると、食事と運動による肥満対策をする際、体重の3~5%程度の減量を達成し、維持することが重要とされています。減量や減量の維持をする場合は有酸素運動に取り組んで、エネルギーの消費を増やすのが目的です。
運動習慣をもつことで、身体活動量が多く、心肺持久力が高い方は長生きできるとされています。ダイエットをする際は上手に運動も組み合わせましょう。(※6)極端にカロリーを制限し過ぎない
カロリー制限をおこなう際にはまず、自分の体について知りましょう。特に若い女性では太っていると思っている方のうち、半数以上が標準体重以下との実態もあるようです。
カロリーを減らすために極端な食事制限をしてしまうと、長続きしないうえ、精神的にも悪影響を与えるとも言われています。まずは間食やお酒の量に注意し、欠食や食事時間を見直すことから始めましょう。(※2)
カロリー制限中におすすめレシピ5選
1. 低カロリーがうれしい!豆腐そぼろ
調理時間:10分
木綿豆腐 酒 みりん しょうゆ 砂糖 サラダ油
エネルギー:105kcal
タンパク質:5.6g
脂質:5.3g
炭水化物:6.5g
糖質:5.8g
食塩相当量:2g
ひき肉を使わないヘルシーなそぼろです。代わりに木綿豆腐を使うため、脂質が少なく、カロリーを抑えることにつながります。しっかり味つけするので、満足感も高い仕上がりです。(※78)
2. 食べ応えばっちり!高野豆腐グラタン
調理時間:30分
高野豆腐 ブロックベーコン 玉ねぎ ブロッコリー とろけるチーズ ホワイトソース 薄力粉 無調整豆乳 塩 黒こしょう コンソメ バター
エネルギー:446kcal
タンパク質:27.9g
脂質:33.2g
炭水化物:14.5g
糖質:11.6g
食塩相当量:2.6g
低カロリー・低糖質・低脂質な高野豆腐を使うことで、カロリーを抑えていても食べ応えのある仕上がりに。ホワイトソースも無調整豆乳を使うため、よりヘルシーなレシピです。ダイエット中にしっかり食べたいときに試してみるとよいでしょう。
3. ヘルシーでおいしい!しらたきチャプチェ
調理時間:20分
しらたき 牛こま肉 酒 焼肉のたれ にんじん 玉ねぎ しめじ ニラ 焼肉のたれ にんにく(すりおろし) ごま油 トッピング 糸唐辛子
エネルギー:207kcal
タンパク質:12.5g
脂質:11.2g
炭水化物:17.9g
糖質:12.8g
食塩相当量:2.4g
低糖質で低カロリーなしらたきを使うチャプチェは、ダイエット中でも罪悪感なく楽しめます。野菜もたっぷり食べられて満足感の高いおかずです。焼肉のたれを使うことで簡単に失敗なく作れます。
4. カリフラワーライスで。カルボナーラリゾット
調理時間:20分
カリフラワー ブロックベーコン 玉ねぎ 溶き卵 卵黄 牛乳 塩 コンソメ バター 粉チーズ 粗挽き黒こしょう
エネルギー:423kcal
タンパク質:20.7g
脂質:32.6g
炭水化物:19.1g
糖質:14g
食塩相当量:3.1g
ごはんの代わりにカリフラワーを使い、低糖質に仕上げるひと品です。カルボナーラはカロリーが気になる料理のひとつですが、このレシピならダイエット中でも気にせずカルボナーラを食べられておすすめです。(※910)
5. オーブンなし!簡単オートミールピザ
調理時間:20分
オートミール 水 塩 こしょう オリーブオイル 具材 ケチャップ とろけるチーズ アスパラガス ミニトマト ツナ缶
エネルギー:201kcal
タンパク質:9.5g
脂質:12g
炭水化物:16.9g
糖質:14.7g
食塩相当量:1.3g
ピザ生地をオートミールで作ることで、低糖質に仕上がるレシピです。オーブンではなくフライパンで調理するうえ、発酵の手間もなく手軽に作れます。オートミールのもっちりさが食べ応えのあるひと品です。(※1112)
1日の摂取カロリーを知ってダイエットに取り組もう
ダイエットを始める際はまずはご自身の現状を把握することが大切です。肥満に該当する場合でも普段どのくらいご自身がカロリーを消費できているのか、実際にどのくらいオーバーしているのかを具体的な数字として知ることで、ダイエットを効率的に進められます。
太っていないのに、無理にダイエットをして栄養不足にならないためにも、自分の体と向き合って、無理なく健康なダイエットを目指しましょう。
【参考文献】
(2023/11/27参照)