自閉症息子、放課後等デイサービス選びは年長6月から。ネットで検索、4ヶ所見学、決め手になったのは
監修:新美妙美
信州大学医学部子どものこころの発達医学教室 特任助教
まずは2つの放課後等デイサービスを見学
私はまちゃが年長の6月あたりから、インターネットで放課後等デイサービスを探して電話をかけてみました。
1社で何ヶ所も運営している大手の「A」には「早く連絡されても来年空きが出るかは分かりませんが、今利用者が増えてもう1つ新しく開く予定ですから1度見学に来てください」と言われました。
次に息子が入学しそうな小学校の近くにある「B」に連絡をすると、同じように「来年空きが出るか分からないけれど待機者の1番初めに入れておきます」と言われました。
見学すると「A」は新しいマンションの1階で、きれいだけれどまちゃが好きそうなおもちゃや絵本などは何も出ておらず、言語聴覚士が常駐しているとのことでしたが、個別でみてもらうには長い順番待ちになると言われました。
「B」には何度か連絡をしてやっと年末に見学に行けました。小学校近くの年季の入った一軒家で、入ってすぐまちゃの好きそうな大きなトランポリンや絵本がたくさんありましたが、天井が高く薄暗い気がしましたし、利用している方の年齢層も高くまちゃに合うのか心配でした。
年末にもう2つの放課後等デイサービスを見学
A、Bどちらの放課後等デイサービスも「空きが出るか分からない」と言われたのでどうしようかと考えていた12月に、同じ療育園に通うママ友が、ポストに入っていたという新しくできた放課後等デイサービス「C」のチラシを見せてくれました。早速電話をして見学の予約を取りました。
同じ頃、ほかのママ友がわが家のすぐ近くに放課後等デイサービス「D」ができたので良かったらと教えてくれました。こちらもすぐに見学の予約を取りました。
「C」は早い時期からしっかりと就労を目指していて、学校と同じように机と椅子が並べてあり、内容もパソコンでブラインドタッチの練習をさせたりしていて、正直まちゃには高度かなと思いました。
「D」は本当に家の近所で、できたばかりということで遊具も何もなく未知数でしたが、説明してくださった方が児童発達支援事業所や放課後等デイサービスで長く働いていて、まちゃの特性についてとても理解がある気がしました。
CもDもどちらもできたばかりで空きがあり、まちゃがすぐにでも通い出せるような反応でした。
2つに決定!現在通ってみて
家から近い位置にあり印象も良かったので、私は「D」が気になりました。「まずは週に1日だけいかがですか?」と言っていただいたので、契約して療育園の後に週1で通わせることにしました。
その頃、通うことに決まった小学校の近くにある「B」から「週1ですがある曜日だけ空いたのでいかがですか?」と連絡がきました。1つの放課後等デイサービスに週5で通わせて、もしそこがまちゃに合わなかったらどうしようと心配だった私は、そちらもお願いすることにしました。週1だけならと気軽に考えたのかもしれません。
現在、まちゃは「D」に週4で行き渋りなく通っていますし、入学してから初めて利用した「B」にも週1ですんなりと通うことができています。
「B」の職員さんからは「学校から近いので、初登室のとき手を繋いで連れて行きましたが、全く問題ありませんでした!」と驚かれました。室内がまちゃの好きそうな物だらけだったのが良かったのかなと思います。
年が明けてから、最初に見学した「A」から「空きができたので入れます」と言われましたが、もうBとDに決めようと考えていたのでお断りしました。
振り返って思うこと……1ヶ所に絞らなくてよかった!
今まちゃは2ヶ所の放課後等デイサービスを毎日機嫌良く利用しています。
年長時に通っていた療育園の先生から「複数の放課後等デイサービスに通わせるとどちらかを嫌って行き渋りが出るかもしれない」と言われ、1ヶ所に絞ったほうが良いのか迷いましたが今は2つで良いと感じています。
週1利用の「B」は一軒家なので遊具も大きくダイナミックに遊ぶことができます。老舗ですから遠くの公園も良くご存知で、あちこち連れて行ってくれます。見学した時には年齢層が高く合わないかもしれないと思いましたが、今は年上の子どもたちがいることを頼もしく感じています。まちゃはこちらではとてもマイペースに過ごしているそうで、まちゃの特性的には合っているのではないかと思います。
週4利用の「D」は新しい施設で見学した時は何もなかったのに、その後ハンモックなどまちゃの大好きな遊具が増えました。ビルの1フロアにまちゃと歳の近いお子さんがたくさん一緒にいるので、人気のあるおもちゃはタイマーをかけて順番で使ったりしているそうです。こちらのほうが人との刺激はありそうです。何よりも近いので助かっています。
2つ通っているのでそれぞれの違いも感じますが、私はどちらも良い放課後等デイサービスだなと感じています。
執筆/カタバミ
(監修:新美先生)
放課後等デイサービスは、数がとても増えており、タイプや力を入れていることも施設によってさまざまです。いざ選ぶとなると何を基準に選んでいいのか迷ってしまうことも多いですね。まちゃくんの場合は、年長の6月から動かれたとのこと。さすがのスピード感です。放課後等デイサービスは増えていると言われながら、かなり混んでいることも多く希望のところが空いているとは限りません。前の年度のうちから探して年度替わりの空きを待たないと選ぶ余地がないという地域も多いようです。
学校でそれなりに頑張った後に行く放課後等デイサービスなので、お子さんが無理なく安心して楽しく通える場所であることは大切です。保護者が見学してお子さんに合いそうか見極めたり、可能なら本人も一緒に行って活動を体験したりするなどして相性を探るのもいいですね。家庭でも学校でもない第三の居場所=サードプレイスとしての放課後等デイサービスで、安心して他者と関われたり、さまざまな活動を経験できたりするといいですね。
(コラム内の障害名表記について)
コラム内では、現在一般的に使用される障害名・疾患名で表記をしていますが、2013年に公開された米国精神医学会が作成する、精神疾患・精神障害の分類マニュアルDSM-5などをもとに、日本小児神経学会などでは「障害」という表記ではなく、「~症」と表現されるようになりました。現在は下記の表現になっています。
神経発達症
発達障害の名称で呼ばれていましたが、現在は神経発達症と呼ばれるようになりました。
知的障害(知的発達症)、ASD(自閉スペクトラム症)、ADHD(注意欠如多動症)、コミュニケーション症群、LD・SLD(限局性学習症)、チック症群、DCD(発達性協調運動症)、常同運動症が含まれます。
※発達障害者支援法において、発達障害の定義の中に知的発達症(知的能力障害)は含まれないため、神経発達症のほうが発達障害よりも広い概念になります。
知的発達症
知的障害の名称で呼ばれていましたが、現在は知的発達症と呼ばれるようになりました。論理的思考、問題解決、計画、抽象的思考、判断、などの知的能力の困難性、そのことによる生活面の適応困難によって特徴づけられます。程度に応じて軽度、中等度、重度に分類されます。
ASD(自閉スペクトラム症)
自閉症、高機能自閉症、広汎性発達障害、アスペルガー(Asperger)症候群などのいろいろな名称で呼ばれていたものがまとめて表現されるようになりました。ASDはAutism Spectrum Disorderの略。