J2第35節・清水エスパルスvsモンテディオ山形 試合後の両監督の記者会見を詳報
清水エスパルスは、勝てばJ1復帰が決まるJ2第35節モンテディオ山形戦で1−2の逆転負けを喫し、J1復帰決定は持ち越しとなりました。試合後の両監督の記者会見を詳報します。
清水エスパルス・秋葉忠宏監督
ー試合の感想を。
「まあ、やはりフットボールは甘くない、一筋縄ではいかないなと…。簡単に昇格はさせてもらえないんだなというのを痛感するゲームでした。ただ、我々は何も失っていないし、終わったわけではないので、また1週間どういうメンタリティで臨むか。
明日(21日)もトレーニングマッチが入ってるので、そこで各選手たちがどういうパフォーマンスを見せるのか、どういうメンタリティで、どういうプレーを見せてくれるのか、非常に今から楽しみにしている。
1週間、最高の準備をして、いつも通りの日常をしっかりと大事にして、強度が高い中で技術、判断、アイデアが出るような、そういう1週間をしっかり過ごしたい。
下を向く必要は全くないし、今日全て悪いものが出たと思う。ホームで初めて負けたし、先制した後に今季初めてひっくり返された。いろんなものが出たと思うので、ぜひここからまたしっかりとしたマインドを持って、アウエーになってしまうが、まずはしっかりと一つ勝って昇格を決めたいと思う」
ー公開練習を見る限り、緩さや重荷に感じているような部分はマスコミ側からは見えなかったが、監督は何か感じるような部分があったか。
「僕もそういう見立てだったし、むしろ全ての舞台が整った中で、選手はかなり闘志を燃やしていた。
実際に我々が先制するところまでは素晴らしいゲーム内容だった。ただ、そこからの5分以内だとか、失点してから10分以内にまた失点するというところは…。我々としては1年間それに気をつけようと言ってきた中で、やっぱり点を取られてしまったので、また一つネジを巻き直したい。
この痛みをしっかりとエネルギーに変える、この痛みからしっかり学ぶということを、またいつも通りやり続けて、必ず次の栃木戦に生かしたいなと思っている」
ー収穫をあえて挙げるとすれば。
「まずは1万8000人以上の、今季最多のサポーターファミリーが、我々とともに昇格するんだっていう雰囲気を作ってくれたし、そういう気運を高めてくれた。最後の最後まで、我々の絆みたいなものは揺るがないと思っている。全員で戦う姿勢は清水エスパルスの伝統と歴史だと思うし、素晴らしい部分なので、これはなくさずに、あと3試合、しっかりと戦っていきたいと思う」
ー山形に前半の半ばぐらいから後半の半ばぐらいまで押し込まれる時間が続いた。監督は想定内だったのか。そこから奪った後の攻撃でチャンスを作っていくためにどのようなところを高めていきたいか。
「ボールは持たれていたが、嫌なところで持たれているわけではなかった。実際に相手のシュートは7本ぐらいだったし、そんなに焦れずにしっかりと何度も追うことを嫌がらなければ、そんなに問題はないと思っていた。危険なところにボールが入ってるわけではなかったので、あまり怖さみたいなものはなく、神経をすり減らす必要はないなと思っていた。
ボールを奪った後、できれば対角や斜めに持っていけたら、もっと点を取れただろうと思う。同サイドで背後を取った後、そこをおとりにしながら、逆の対角に持っていけたらかなりいいチャンスになるだろうなと思っていた。カウンターや崩しの部分は対角を意識しながらやっていきたい」
ーラスト10分ぐらい、逆転ゴールを許した後、展開上仕方ないところはあるが、少し混乱状態になって選手があちこち動き回っているように見えた。
「混乱しているというよりは、選手たちの『ここで何とかするんだ、同点にするんだ』という思いの表れだったと思っている。特に健太(西沢)は幅広く動いてくれていたし、他の選手も何とか点を取りに行くんだと。
アタックは意外にバランスを崩すようなことが大事な時もある。どうやって局面で数的優位を作るか、そういうことも大事になる。アタックに関しては混乱というよりはむしろ、取りたい気持ちの表れで、ああいうふうになったんだろうなと思う。
実際にフィニッシュで低いシュートを打てれば、もっともっと際どいシーンになったんだろうなと思う。フィニッシュまでいってるからこそ、もう一度低く。そして2次攻撃が出るように、もう一度見直しをしっかりやりたい」
ーラストの質、アタッキングサードのちょっとした状況判断でゴールが入らなかったと思う。次の試合に向けて、今日出た課題をトレーニングにどう落とし込んでいくか。
「まさに最後どう点を取るかだと思う。まず単純に、ボックス周りの崩しとボックス内のシュートシーンをいかに増やすか。80%、90%がボックス内からのシュートになると思うので、ワンタッチのゴールを含めて、ボックス内でいかにその回数を増やせるか、再現性高くそういう崩しができるかだと思うので、1週間どう点を取るんだっていうところを突き詰めていく。もう一度、守備の部分を含めて、90分間やり続ける、一瞬の隙も見せないような準備をしたいなと思う」
モンテディオ山形・渡辺晋監督
ー試合の感想を。
「日本平に集まってくれた我々のサポーターが、もちろん数ではオレンジのサポーターには負けたが、彼らの思いとか熱量が苦しい時間帯でも選手の足を動かしてくれたと思う。
ゲームの方は清水対策として、ビルドアップでうまく前進したいと考えていた。前半そういったところで最初の矢印を外せたが、我々のポケットにボールが入ったところでちょっとバタついたり、もたついたりしたところがあった。
後半に入っても構図としてはそんなに変わらなかったが、ちょっとずつオープンな展開になってしまった。前半は我々の守備の部分で、意図的にボールを奪うシーンが多かったと思うが、ちょっとずつオープンになってしまったのは残念だった。
そうなると清水のうまさとかパワーを引き出してしまうので、そこで先制されたのが痛かった。ただ、そこから交代選手を含めて我々がさらにパワーを増して、逆転までいけたのは素晴らしかった。
この1勝は我々にとっては勝ち点3にしかすぎないが、今優勝争いをしている清水さんに対して、こういうような勝利ができたということは自信にしたいと思う。ただ、我々は今日の勝利で何かをつかめたわけではない。浮かれることなく引き締めて次の準備をしていきたい」
ー同点ゴールの場面では、エスパルスの、前に来るような圧力をひっくり返したように見えた。狙い通りの形だったのか。
「狙い通り」
ーこの後のプレーオフ争いで、チームとして高めていきたいところは。
「今日出た反省から紐解くとすれば、得点シーンのように、一発でひっくり返せるところはひっくり返せるので、相手の矢印をもう少ししっかりと見たい。今日は前半は清水の矢印があまり前に向かってこなかった。そういう中では我々から前進していこうという態勢をとるが、向こうから来てくれるのであれば、それだけスペースが生まれるということ。そういったところを上手に見ていければ。
あとは前半みたいな展開も覚悟はしてるので、もう少し1人1人がドライブをして相手に向かっていくこと、あるいはアタッキングサードに入ったところで我々から向かっていく矢印を相手にぶつけていくこと。そういうことができると、また相手にとって脅威になる」
ー6連勝の要因は。
「中断期間中に加入した選手たちの働きは、皆さんの思っているように素晴らしいものがある。ただ、チーム全体の構図としては何も変えていることはない。選手たちが早い判断、それに伴う実行の早さで、相手よりもポジショニングの部分で先手を取ることができている。
あとは守備の部分。今日も前半にいくつかショートカウンター気味に行けたことがあったが、あれが一番やりたい形。ただ90分それが全部できるとは限らない。我々がボックス付近で守らなきゃいけないこともあるので、そこでの振る舞いというものはものすごくしたたかになってきたかなと思う。
ただ、今日の失点の部分は大いに反省しなければいけない。あれだけ人が揃っているのに足を振られる。こぼれ球の反応も相手の方が早い。これはもう本当に見逃してはいけない。
我々の連勝を支えているのは守備の部分。攻守の両輪をこれからしっかり回していくこと。自分たちの理想、狙いみたいなものは毎試合表現したいが、終盤に来ると、そういったものを通り越した部分で勝負が決することもある。これからはそういったところに対しても、したたかに向かっていく作業が必要になる」