「相模湾キハダマグロ釣り絶好調で入門チャンス!」コマセ釣りで30kg級が船中9ヒット7キャッチ【神奈川・ちがさき丸】
相模湾キハダマグロが絶好調だ。今シーズンは開幕からエビングが好調。9月に入るとコマセ(まきエサ)に付きだし20~30kg級のキハダを主体に数があがり、10月に入ると50kg超のモンスターも顔を見せている。私も10月4日、茅ヶ崎港、ちがさき丸にてチャレンジ。私の朝の一本を皮切りに、合計7本の30kg前後のキハダマグロが仕留められ絶好調の今シーズンを象徴する釣行となった。
ちがさき丸でコマセマグロ釣り
数年前までは8月1日の開幕日から相模湾に出ていた私も、それなりにこの釣りを自分の目指すレベルまでやり尽くした感もあり、今期はモンスタークラスが釣れ出す頃合いを見計らって、10月4日が今期初の相模湾キハダマグロ釣行となった。
米山茂明船長(中央)と米山翔太若船長
事前釣り座予約を活用
ちがさき丸は全ての乗り合い船が事前にネットで釣り座予約ができるので、釣り座確保のために極端に早く宿にゆく必要もないので出船の1時間前に到着。平等でとても助かるシステムだ。
キハダの群れの状況
この56年は、9月の半ば過ぎから、相模湾・西の海域に50kg超のいわゆる小田原モンスター・オダモンの群れが入っていたが、今年はこの時期になっても相模湾東の広範囲に20~30kg級のキハダの群れが多数あり、その群れの中にモンスタークラスが混ざる形になっている。
基本の釣り方
片舷5人ずつ10人を乗せて午前6時に出港。私の釣り座は左ミヨシ1番。お隣には4年越しでキハダを狙うも未だ顔をみることができていない相模原の若者、樋口さん。当日は南西の風がやや強く、停滞する秋雨前線の影響で時折強い雨も混ざる曇天。
出発して25分で船長が江ノ島から南東に数km下がったあたりで感度を捉える。「ビシは軽いものでなく120号以上、ハリスは太くても喰ってくるから26号以上、また長くしなくても喰うから6~8m位でやって下さい。あたりが無くても、コマセをみんなで途絶えさせず撒いてマグロを寄せてね」と米山船長からアナウンス。
当日の仕掛け
いずれにしても朝イチは他の魚同様、マグロの活性も高い。いきなりのヒットもあるので、入念に各接続部、針の結びもチェック。船長のアナウンス通り、今年は10m以上のロングハリスで無くとも、概してキハダの活性が高く、コマセに突っ込んでくるようなので、私の仕掛けは26号7m。
今の時期スタンダードに釣れている30kg前後を想定し針はオキアミマグロ18号。オキアミは海中でズレたりはずれにくい大粒の一匹丸掛け。
タナは厳守
「タナは35mでやって下さい。ビシを40~41mまで降ろしたら止めて、そこからコマセを振って35mで構えてね。それ以上深くビシを降ろしちゃうとマグロが怖がって潜っちゃうからね。みんな絶対守って!」と鉄則をアナウンス。
2種のコマセワーク
7mの仕掛けでこのコマセワークを行うと、ビシをタナで構えてからすぐ自分の付け餌にコマセ煙幕がかかりはじめる。オキアミの沈降速度は潮流が無いときは30秒でおよそ1mなので、2分くらいでもうコマセ煙幕は付け餌より下に遠退いてしまう。(A)一度にビシのコマセを振り出すなら3分ほどで回収。(B)一度目のコマセワークで全てを振り出さず、ビシ内にコマセを残す場合は、一度目のシャクリを弱めたり、ビシ窓を少し締める。
その選択は、船長のアナウンスで「キハダが船の下に入ってきたよ!」や「深いところから上がって来たよ!」など”リーチ”アナウンスの投入なら一気にコマセを撒く(A)。船長のリーチアナウンスが無い間は、とりあえず船に寄せるためにコマセを途絶えさせず(B)で撒き、にわかにリーチアナウンスがあったときに、残りのコマセで同様のコマセワークで勝負する。そんな使い分けをしている。
釣り座の影響
潮上、潮下といった釣り座の影響を受けやすいコマセ釣りだが、マグロが多く、活性が高い今期は、潮上の釣り座でも、丁寧なコマセワークで、自分の撒いたコマセで十分ヒットは出せる(事実当日の私はもっとも潮上の釣座だった)。
また自分のビシ内のコマセが無くなっても、周囲、特に潮上の釣り人がコマセを撒いたりビシを回収するタイミングに、コマセが流れてきてヒットする場合も多々あるので、闇雲に仕掛けを回収せず、周囲の釣り人のコマセも含め海中のコマセと自分の付け餌の関係をイメージすることが肝要だ。
序盤にキハダマグロがヒット!
午前7時30分、「船にマグロが寄ってきてるよ」という船長のアナウンスにタイミング良く仕掛け投入。(B)パターンのコマセワークで多少ビシ内にコマセを残し指示タナで待って2分。すると「船の下に入ってきた!上がって来た45mにいるよ!」というリーチアナウンス。
ビシを40mまで降ろし、2度目のコマセワークで35mまで上げハリスが馴染んだところで、マッドバイパーのサオ先が「ぴくっ」と小さなあたりを感知。マグロが餌を加えた合図。すこし待つと今度はサオ先が大きく引き込まれる。走り出すタイミングだ。
この瞬間にアワセをしっかり2度入れる。「ヒット!!」操船室の船長と中乗りの坂蒔さん、大塚君に合図。今期発売のシーボーグG800MJはパワーもドラグも強く、道糸も12号、ハリスも26号、針結び、仕掛けの各接続部も万全で不安無くやりとりできる。
100mほどファーストラン
感覚的に現在レギュラーサイズ30kg前後と予測。ファーストランを無理矢理止め、強引に巻き上げようとしても、弱っていないマグロは暴れ、より強くなる。結果、針が外れたり、ハリスが切れたり、暴れる波動にサメも寄ってきてしまう。
緩めのドラグでマグロを自由に走らせても駄目。ドラグは道糸を手で強く引き出してようやく出る位の強め設定。それなりのテンションをマグロに掛けながらマグロを走らせ、止まった所で、更にドラグを多少締め、マグロに負荷をかけ弱らせる。このサイズだと100m位でストップ。
巻き上げスタート
マグロが落ち着き、頭がこちらに向いてきた様子を感じとり、マグロリングを投入。リングが降りたら、この時が攻守交代のタイミング。それまでがディフェンスならばここからはこちらが攻めのオフェンスタイム。
電動のパワーレバーを入れて巻き上げに。ただし強引なポンピングはせず、ドラグ、パワーレバーを操作しながら、ラインテンションを一定に保ちつつ、マグロが引き込むときは、自ずと道糸が出て、そうで無いときは引き寄せてくるような感じで、マグロを暴れさせず、じっくり巻き上げて行く。
丁寧に弱らせる
タックルパワーもあり、朝方はサメの気配も無く、比較的すんなりと5mラインまであがる。しかし、いよいよ道糸を手繰りだした中乗りの坂蒔さんが「先生まだ弱ってないよ、泳いでる」と糸を一旦放す。確かに時間も10分位しかたってないので、もう少し弱らせようと、ドラグを緩め30m位糸を出す。
すこしテンションをかけ弱らせたのち再チャレンジして引き寄せると、リングはかかっているもののマグロはまだ泳いでいる。それでも空気を吸わせて、最後は大塚君が見事にギャフ掛け成功。あがってきた針かかりをチェックすると、カンヌキではなく、上顎先の正中を貫通していた。
この掛かり方が、テンションを掛けても、最後までマグロが弱り難く、元気に泳いでいた理由だった。ただこの部位に針が掛かることは、偶然では無く、あたりを捉えしっかりとアワセを入れた証明でもある。
動画でコマセキハダ釣行を観る
ジャスト30kgキハダマグロ浮上
血抜き前検量でジャスト30kg。幸先良く船中1本目が開始早々にあがった。当日は船長の「船下にマグロ入ってきたよ!」というアナウンスがある度に、船中誰かにアタリが出て午前11時までに5ヒット4ゲット。そしていよいよお隣の樋口さんが、それまでキーパーに置いていたサオを船長のリーチアナウンスと同時に手に持った瞬間ヒット!
サオ先が入り込んだ瞬間を見ていた私が「あわせて!あわせて!」と叫ぶと、バシッと良いアワセが23度入る。「このアワセなら絶対獲れるよ!」と、その後は、私が横に付いて、樋口さんがマグロとやりとり。「凄い!重い!」と感動の悲鳴を上げながら、4年越の人生初キハダが見事に仕留められた。
その後は反対舷胴の間の方が、潮下となったのか連続して2度アタリを出し2本ゲット。残り30分で樋口さんの置きサオにアタリが出たが、アワセができず、針が飲まれて瞬殺となり、午後2時納竿となった。
船中9ヒット7ゲット
当日は9ヒット7ゲット。サイズは31.4kgを頭に、全て30kg前後で脂が乗った良い魚体だった。この日を含め10月に入ると、軒並み、相模湾コマセキハダは各船宿好調で10本以上のキハダを仕留める船宿も。30kg前後のレギュラーサイズに、50kg超のモンスターも混ざりはじめている。狙うなら”今”です!
竿は手持ちがオススメ!
前述した通り、置き竿でのヒットはバラしにつながりやすい。少しでもキャッチ率を上げたいのであれば、やはり手持ちがオススメだ。具体的なメリットを説明しよう。
メリット
1.タイミングを逃すこと無く、コマセワーク、誘いが掛けられること
2.うねりがあるときは、置き竿だと天秤ビシが落ちつかず、付け餌に不自然な動きが出てしまうと同時に、コマセが勝手に放出されてしまうこと
3.ビシ内のコマセの残り具合が重みでわかること
4.あたりが出た瞬間にアワセを入れられるので、針が飲まれハリス切れを防ぐこと
などが挙げられる。持ち方だが、特に電動タックルは重量も大きくなるので竿尻を腋に挟み、肘を腸骨部にあて、テコの原理を利用して、腕だけで無く重量を分割して手持ちにすれば疲れづらい。
遊導天秤でキャッチ率アップ
一昔前と違い、相模湾のキハダマグロでは各船長は誘導天秤を勧めている。
マグロ、特に大型がヒットした際、また、やりとりの際、固定天秤の場合は、その衝撃と力がハリスおよび結んだ針にダイレクトに加わるのに比較して、誘導天秤の場合は、マグロの力が天秤より先のハリスのみでなく道糸を含めたシステム全体かかるようになり、ハリスやハリの結紮部への負担が少なくなり、システムブレイクに伴う、バラシが少なくなるだ。
リーダーが必須
誘導天秤を使用する場合は、必ず道糸と天秤の間にリーダーが必要になる。私は50号3メーターのリーダーを入れている。
以前は固定天秤とクッションを使うことが多かった相模湾だが、クッションは確かに、ヒットした際の衝撃は緩衝するが、その後、マグロの自由度を高めて弱りにくくなり、取り込みの際も、トラブルを生じやすい。
結びも含め、強度が確実なシステムで、クッション無しで、直に勝負することがお勧めだ。
初心者/入門者にチャンス!
今シーズンは入門者を含めコマセキハダ釣りの経験が浅い人、そして今までチャレンジしても釣れなかった人が念願の1本を釣り上げるには絶好の機会だと言える。その理由は以下だ。
1.とにかくマグロの絶対数が多く、群れを追っかける形では無く、コマセで船にマグロを寄せる流し釣りスタイルなので、真鯛釣りのように釣り人は落ちついて自分のペースで仕掛けを投入・回収できる。
2.概してモンスタークラスの群れは深い処にいて警戒心も強く、なかなか浮いてこないのに対し、30kg前後主体の群れは比較的浮きやすく、一度スイッチが入れば、コマセに突っ込んでくる。そのため、例年後半のように10m以上にハリスを長くしたり、テーパーにする必要が無く、今期は5~10mのハリス長、シンプルな仕掛けであたりが出ている。この長さであれば自分のコマセと針・付け餌の関係も誰でもイメージしやすく、また丁寧なコマセワークを行っていれば、釣り座に関係なく、マグロが船下にいれば、かなりの確率であたりが出せる。
3.これに関連し、ハリスが極端に長くないことは、仕掛けの扱いが楽で手前マツリ、他者とのオマツリも起きにくい。またハリスを手繰りマグロを取り込む際のトラブルも少なくなる。
4.30kg級までであれば、やりとり、取り込みは、仮に多少もたつくことがあっても、それ以上のモンスタークラスに比べ、釣り人にとって多少なりとも楽にはなる。
針の選択のコツ
最後に、コマセキハダ釣りにおける針の選択のコツをお伝えしたい。まず、置きサオでヒットしても飲まれにくいのは、ひねりがある針。ただひねりが強すぎると、仕掛け落下中や速い誘いを入れた時、海中で刺し餌が回り、不自然な動きになるため、アタリが出にくくなる。一方、ひねりが無い針は落下中や刺し餌に速い誘いを入れても、不自然な動きをしないのであたりは出やすい。
ただし、サオを手に持ち、アタリが出た瞬間にアワセを入れないと、高確率で飲まれて、ハリス切れとなる。自分の釣りスタイルや好みで選ぼう!大物釣りとはいえ、この釣りはコマセ釣り。力勝負では無く、海中をイメージし、タイミングを逃さない的確なコマセワークが鍵となる。裏返せば、それができれば今なら誰にでもアタリが出せて、念願のキハダをゲット出来るはず。是非チャレンジしよう。
<ロンリー侍ドクター・近藤惣一郎/TSURINEWSライター>