【9/26(木)開催】倉敷市一斉地震対応訓練 ~ 「まず低く、頭を守り、動かない」地震発生時の安全確保行動を身につけ、想定外を減らす備えを
倉敷市に住んでいて「災害」と聞けば、平成30年7月豪雨で被災したこともあり「水害」を想像しがちです。
しかし、全国的に見れば、今後50年以内には発生する確率が高いといわれる「南海トラフ地震」など、「地震」のほうが切迫している災害といえるでしょう。
このため、倉敷市が企画したのが「倉敷市一斉地震対応訓練」です。
まず、「自分自身の安全は自分で守る」ことを身につけ、想定外を少しでも減らすことが必要不可欠なので、日頃の防災対策を確認するきっかけづくりとすることを目的としています。
詳しく紹介します。
「倉敷市一斉地震対応訓練」とは
「倉敷市一斉地震対応訓練」は2024年9月26日(木)午前9時から実施される、地震対応訓練です。市民全員を対象とした一斉防災行動訓練は倉敷市では初実施となります。
実施の目的は、地震が発生したとき「自分自身の安全は自分で守る」ことを身につけ、災害があっても「ケガ」をしないことを基本に、身近な人を助けるなど地域防災力の強化です。
「シェイクアウト訓練(ShakeOut)」と基本的には同じもの
「倉敷市一斉地震対応訓練」は、他の地方自治体では「シェイクアウト訓練」と称して実施されています。
シェイクアウト(ShakeOut)は、アメリカのカリフォルニアで地震研究機関などが2008年に提唱し、始まった新しい地震防災訓練の名称です。
地震の際の安全確保行動1-2-3を地域において日時を決めて、事前登録・事前学習をおこない、それぞれがいる場所で「一斉に」おこなうことを基本としています。
安全確保行動1-2-3とは以下のとおりです。
・まず低く(DROP)
・頭を守り(COVER)
・動かない(HOLD ON)
なおShakeOutの名称は発案者の造語です。
日本ではシェイクアウト、またはシェイクアウト訓練と表記するそうですが、「いっせい防災訓練」などの意訳も認めているそうで「倉敷市一斉地震対応訓練」は意訳で利用するケースとなります。
「倉敷市一斉地震対応訓練」の参加方法
参加方法は簡単です。
一般市民については、参加申込みなどは不要で、事前学習として「倉敷市一斉地震対応訓練」の説明ページ・チラシなどを読んで訓練の目的・内容を理解しておきましょう。
団体(事業所、自主防災組織、自治会、学校など)については、参加登録を推奨しているそうなので、倉敷市ホームページを確認し参加登録をしましょう。
参加登録方法
・Webページからの申込み(倉敷市電子申請サービス)
・申込書をFAXまたはメールで送信
※申込書はこちらを参照してください
緊急告知FMラジオ「こくっち」があれば動作することを確認し、スマートフォンに「Yahoo!防災アプリ」をインストールしておけば準備完了です。
あとは、当日(9月26日)の午前9時に訓練を実施しましょう。
訓練そのものは数分で終わるものです。
気軽に参加すると同時に、この機会について地震発生時の行動について見直しをしておきましょう。
初開催となる「倉敷市一斉地震対応訓練」。
企画・運営する倉敷市防災危機管理室 危機管理課の三好達也(みよし たつや)さん、平松良明(ひらまつ よしあき)さんにお話を聞きました。
倉敷市防災危機管理室 危機管理課の担当者インタビュー
──「倉敷市一斉地震対応訓練」を企画した背景を教えてください。
三好(敬称略)──
実は昨年度(2023年度)から検討がスタートしていたのですが、2024年1月1日 能登半島地震の発災を受けて、危機感が高まり実施が決まりました。
私と平松は能登半島地震の被災地支援で、能登半島に行きました。被災地の現状を知って、初動対応の部分は市役所としてあまり訓練ができていないと感じたので、一度ちゃんと意識して確認する意味で何かやろうと思ったんです。
地震は完全に予測できないため、初動という意味では「自助」が基本です。事業所単位でもちょっと弱いなと感じていまして、倉敷市民48万人が自助の備えを持っていれば、次のステージにいけるんじゃないか考えました。
このため、できるだけ対象者を増やす形での実施としました。
──初実施とのことですが、倉敷市独自の取り組みなのでしょうか。
三好──
倉敷市としては初めてですが、全国的に見れば「シェイクアウト訓練」として実施されています。
ただ、家庭内で訓練を実施することを考えたとき「シェイクアウト」という言葉は聞き慣れないので、より多くの人に分かりやすいネーミングにしようとなり「倉敷市一斉地震対応訓練」としました。
内容的には「シェイクアウト訓練」とほぼ同じものと思ってくれて問題ありません。あえていえばプラスワン訓練の実施内容を教えていただく仕組みも用意しているところが、倉敷市独自といえるかもしれません。
これは、倉敷市が思いつかないような訓練が眠っていると思うので、それを知りたいという目的で実施しています。
──訓練を通じて何を考えてほしいですか。
三好──
災害時に一番困るのは「想定外」が出てくることだと思います。
想定外が出てきたときにどう対応できるかも重要ですが、家族で話し合うなど想定外をできるだけ減らせるように考えてほしいなと思います。
これは行政職員についても同じです。
今回の訓練は平日午前中に実施するのですが、市民の皆さんが来庁中に地震が起こったとき、職員としてどう動くべきなのかを議論する必要があるでしょう。
とくに倉敷市は過去に大きな地震を経験していないため、耐震基準を満たしていない建物が多くあり、想定外が果てしなく広がるという予想もあります。
まずは自分の身を守って、次に進めることをこの訓練で確認して決めていきたいと思います。
──まず何を備えておくべきでしょうか。
平松(敬称略)──
一番は家具の固定です。
普段生活する部屋・寝室に家具が置いてあると、やはり家具が倒れてきて亡くなるかたがたくさんおられます。
自分を守る意味でも、家具の固定を一番にお願いします。
もう一つお願いするとすれば、備蓄ですね。
「ローリングストック」という言葉を最近よく聞きますが、最低3日分の食べ物を順番に使いながら備蓄していただければと思います。
ローリングストック
普段の食品を少し多めに買い置きしておき、賞味期限を考えて古いものから消費し、消費した分を買い足すことで、常に一定量の食品が家庭で備蓄されている状態を保つための方法です。
引用元:農林水産省 災害時に備えた食品ストックガイド(2)
──最後に市民に向けてメッセージをお願いします。
三好──
倉敷市一斉地震対応訓練は、今一度地震に対してみんなで見直していただく、良いきっかけになればと思い実施します。
今回の訓練は「自助」を見直すために実施しますが、ここがしっかりできることでその先にある共助・公助につなげられるはずです。
ぜひ参加をよろしくお願いします。
おわりに
筆者は平成30年7月豪雨時の災害ボランティア活動に関わったこともあり、「災害=水害」という印象が強くなっていました。
取材で話を聞いて驚くと同時に納得したのは、
倉敷市は過去に大きな地震を経験していないため、耐震基準を満たしていない建物が多くある
という話です。
倉敷美観地区は住民の努力で町並みを残す選択をしたエリアですが、地震がなかったから残せた側面もあったということは認識しておくべきなのかもしれません。
訓練そのものは、数分で終わります。
9月26日午前9時は「倉敷市一斉地震対応訓練」に参加し、防災について考える時間にしてみませんか。