【ザ・レース・オブ・ジェントルマン】 古き良き時代へタイムスリップ
毎年一度の週末、アメリカ、ニュージャージー州ワイルドウッドはヴィンテージ車の楽園に変わる。
textcharlie thomas
近年のモータースポーツはますます興味深い展開となっている。特にフォーミュラ1では、単独メーカーがずっとレースを支配するような状況から脱し、毎回4人以上のドライバーが優勝争いをするスリリングなシーズンが続いている。世界耐久選手権(WEC)でも、ポルシェ、トヨタ、フェラーリがハイパーカークラスで激しく競い合い、他のメーカーもポイント争いに加わっている。
その一方で、クラシックカーレースの魅力も衰えていない。英国の「グッドウッド リバイバル」がヴィンテージレースのメッカとして知られるが、他にも注目すべきイベントが数多くある。その中でも「ザ・レース・オブ・ジェントルマン」は特に見逃せないイベントである。
ザ・レース・オブ・ジェントルマンは毎年アメリカ、ニュージャージー州ワイルドウッドのビーチで開催され、戦前のホットロッドやオートバイが美しい海岸を背景に走行する。2024年も多くのファンが集まり、1930年代のフォード・モデルA、改造されたハーレーダビッドソン、V8エンジンのゴーカートなどが1/8マイルの仮設ドラッグコースを駆け抜けた。
このイベントは2012年にニュージャージー州アズベリーパークで始まり、今年で12年目を迎えた。ニュージャージーにはビーチレースの伝統があり、1905年のケープメイでの1マイルレースでは、ヘンリー・フォードやルイ・シボレーが最高時速94マイルで競い合った。こうした歴史と世界各地のレースイベントが「ザ・レース・オブ・ジェントルマン」の創設の原動力となった。
ワイルドウッドの新たな会場はフラットで広いビーチがレースに適しており、1950~60年代に建てられたモーテルやボードウォークもイベントのレトロな雰囲気を引き立てている。2024年にはドラッグレースに加えて、スワップミート、クラシックバイクショー、音楽パーティー、キャンプファイヤーが開催され、クラシックカーやアメリカンカルチャーの愛好者にとって必見のイベントとなっている。