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“海の京都”を走るレストラン列車は選べる3コース。「丹後くろまつ」号に乗ってきた!

さんたつ

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天橋立や西舞鶴、福知山、豊岡と京都北部を走る京都丹後鉄道。走行する車種もバラエティーに富み、その数の多さは鉄道に興味がなくても思わずワクワクします。そんななか、「“海の京都”を走るレストラン」をテーマにした「丹後くろまつ」号は、季節に沿った旬な食材を使った本格的な食事が楽しめる観光列車。列車内でこだわりの食事を堪能できる観光列車は近年、増加傾向にありますが、「丹後くろまつ」号の魅力は一体どんなものなのでしょうか。実乗レポートでお届けします!

「丹後くろまつ」号のルート

3種のコース。うれしいのは「モーニングコース」

シックな黒いボディの「丹後くろまつ」号。

まず、「丹後くろまつ」号の最大の特徴なのが、一日に3種類のコースが設定されており、それぞれ走行時間帯ごとにふさわしいメニューが提供されている点です。

一日の始まりに運行されるのは、福知山駅10時8分に出発する「モーニングコース」。食事を楽しむ観光列車はランチ・ディナーが多いなか、「丹後くろまつ」号はモーニングが設定されているのが特徴的です。

内装には天然木をふんだんに使用。デザインは、JR九州のD&S(デザイン&ストーリー)列車などを手がけた水戸岡鋭治氏によるもの。

モーニングのメニューのテーマは『~「森の京都」から「海の京都」へ移り変わりを味わう~』。

京都と聞くと、どこか歴史ある街並みや山の光景を想像しますが、京都丹後鉄道が走る京都は“海の京都”。モーニングコースでは内陸の福知山駅から海沿いの街、天橋立を目指し、食と車窓の両方で森から海への移り変わりを満喫できます。

朝食にはやや遅めの時間帯ですが、その分、関西圏はもちろん、実は東京からも「のぞみ3号」に乗車し、京都で「はしだて1号」に乗り継ぐことで、前泊をしなくても乗車が可能です。

アテンダントさんの笑顔もこの列車の宝物。
この日の季節のジュースは、地元産みかんを使用したみかんのじゅーす。

列車が発車するとドリンクオーダーを聞きに、アテンダントさんがワゴンとともに車内をめぐります。季節のジュースやとっておきの日の朝食にふさわしい、地ビールなどがラインナップ。

2025年の春・夏メニューは、メニュー全体のテーマでもある森と海をモチーフにした2種類のトルティーヤ。

「森のトルティーヤ」は新鮮な野菜と丹波鶏をBBQソース、ワカモレと合わせたもの。「海のトルティーヤ」は宮津ちくわに丹後のイワシ、コールスローを合わせた一品。加えて、トマトベースのサルサソースに舞鶴発祥の万願寺唐辛子をプラスした「森のソース」、宮津のアカモクを使用した「海のソース」とともにいただきます。

モーニングコースの食事。
香り高い「丹鉄珈琲」は朝のひとときを素敵に演出してくれる。

途中、大江駅では約35分の停車時間が。駅舎内の売店をはじめ、駅前にある全国の鬼を愛する人たちの手で造られた鬼瓦公園を散策できます。

元伊勢外宮 豊受大神社の鳥居が見えるところでは一時停車。車内から参拝できる。
乗車中はアテンダントさんが見どころをこまめに案内してくれる。

食事のあとの「アシェットデーセル」では、丹波茶と丹波大納言小豆を使用したモンブラン、紅まどんなのシャーベットなどが提供されるほか、産地・品質に徹底的にこだわったスペシャルティコーヒー「丹鉄珈琲」が味わえます。

「モーニングコース」でも、しっかりとしたデザートが提供されるのはちょっとうれしい!

終点の天橋立駅には11時48分の到着。「朝食をお楽しみにいただきながら、天橋立観光への交通手段としてご利用される方も多いです」とアテンダントさんが教えてくれました。まさに観光に適したちょうどいい時間に到着できるので、“海の京都”観光のプロローグにも最適です。

森を抜けて海の車窓になったら天橋立はすぐそこ。
下車後はぜひ散策しよう。

絶景に大興奮の「ランチコース」

続いて運行されるのは「丹後くろまつ」の中でも最も人気の高い、「ランチコース」。天橋立駅を13時5分に出発し、西舞鶴駅を目指します。

途中には海沿いを走る区間も多く、京都丹後鉄道最大のビュースポットでもある、絶景鉄橋を通過するのもこの「ランチコース」の魅力です。

各コース乗車の合図は鐘の音。
「ランチコース」では、沿線ゆかりのお酒も忘れずに。

「ランチコース」のメニューは、沿線にゆかりをもつ浦島伝説をテーマにした「丹後乙姫御膳~浦嶋の海を偲ぶ~」。

京丹後の海の幸、山の幸を贅沢に使用した、まさにとっておきの「ランチコース」。「モーニングコース」同様に出発後、ドリンクオーダーのワゴンが車内をめぐりますが、ここで合わせたいのはやっぱり地域の個性豊かなお酒。

与謝野フレッシュポップを使った地ビール「ASOBI」、赤・白・ロゼがそろう「天橋立ワイン」、京丹後の名産・梨を使った「梨酒スパークリング」や地酒も豊富に取りそろえています。

一品目はその名も「玉手箱」! 浦島伝説をイメージした玉手箱には丹後の旬がぎゅっと詰まっています。

二品目は新鮮な旬のお造里の三種盛り。“海の京都”の魅力をそのままに堪能できるこちらに合わせるのは、このコースを監修した『セントラーレ・ホテル京丹後』の特製醬油。提供される食器類も同ホテルのものが使用され、見た目にも美しい品々が続きます。

ランチはコース仕立て。アテンダントさんがタイミングを見て提供してくれる。
車内とは思えない鮮度のお造里は、さすが海の京都!

強肴(しいざかな)は「京の肉「琥珀和牛」ステーキ ~九条葱と山椒のソース~ 低温調理にて」。

「琥珀和牛」を炭火で炙ったものを、京丹後産の九条葱をベースにし、山椒のアクセントが楽しい特製ソースでいただきます。ジューシーさは言うまでもありませんが、こちらのお肉、ビール粕を飼料に使った京都府で初となる循環型のブランド和牛なのです。

地産品にこだわるだけでなく、食の未来をも感じられる、少し特別なひと皿です。

ランチコースの品々。
車内のキッチンスペースでていねいに仕上げられる。

食事もさることながら、車窓も美しい「ランチコース」。栗田駅を通過すると、車窓一面に海が広がります。

途中の奈具海岸のビュースポットでは約15分の一時停車。そして、そのあとに渡るのが、京都丹後鉄道を代表するスポット・由良川橋梁です!

地域の海を眺めながら、地域の食材をいただく至福のとき。
まるで水面をゆくように走る由良川橋梁では、徐行運転のサービスも。

いよいよコースも終盤になってきました。ここで登場するのは、なにやら黄色い器。蓋を開けるとなんと湯気がもくもく! まるで玉手箱を開けた、あの瞬間のような光景が目の前に。

中に入っているのは「真鯛の若布蒸し ~赤米酒粕醤油ソース~」。昨今、食に重きをおいた観光列車が多く、味や鮮度、温度などはもちろんですが、こうした特殊な演出にも力を入れる列車がどんどん増えてきました。

ご飯には小さな「丹後ばら寿司」。水物は「京きな粉を使用したパンナコッタ 季節の果物」と、コース全体で京丹後を味わいつくす、まさにプレミアムなランチのコース。
各コースとも食後にはオリジナルグッズの販売タイムがあり、こだわりの「丹鉄珈琲」のドリップパックも購入できる。
「ランチコース」では、お土産に浦嶋神社 特別限定御朱印がもらえる。

旅の締めくくりに「スイーツコース」

これまで紹介してきた2つのコースは、比較的しっかりめに食事を味わうコースでしたが、3つめのコースは夕方に運行される「スイーツコース」。観光地などで食事や散策を楽しんだあと、一日を締めくくるのにちょうどいい内容になっています。

運行ルートは「ランチコース」と同じく天橋立駅から。同駅を16時5分に出発し、西舞鶴を目指します。料金も3コースの中で最もリーズナブルに設定されています。

四角い陶器に入っているのは、先の2コース同様に京丹後の食材にこだわったスイーツセット。

ちょっとおもしろいのが「舞鶴抹茶のムース」と地元産牛乳を使用した「ヒラヤミルクの練乳」で、ムースはそのまま食べてもよし、混ぜて、一緒に入っているおだんごやレモンシューにつけて味変してみるのもよし。

そしてこれらスイーツに合わせるのは、やっぱりこだわりの「丹鉄珈琲」ですね。

見た目にも楽しい「スイーツコース」。
抹茶のムースで味の変化も楽しんで。

3つのコースそれぞれで違った楽しみ方ができる「丹後くろまつ」号。

これから京丹後は緑があふれ、海の青さはよりいっそう深まる季節に「丹後くろまつ」号で、とっておきな列車旅をしてみませんか。

列車でのひとときは、観光からの帰り道を特別なものにしてくれるはず。

「丹後くろまつ」号 列車infomation

●運転日/基本は金~日・祝日
●運転区間/[モーニングコース]福知山→天橋立 [ランチコース]天橋立→西舞鶴 [スイーツコース]天橋立→西舞鶴
●ねだん/[モーニングコース]7000円 [ランチコース]1万4500円 [スイーツコース]5500円(各コースとも丹鉄珈琲付き。ジュース・アルコール類は別料金)
●予約/公式WEBサイト(https://travel.willer.co.jp/train/tantetsu/)で、乗車希望日3カ月前の10時から3日前まで受付。
各コースとも人気が高く、すでに完売日もあるので予約はお早めに。
※現在のメニューとコースは2025年9月30日までの内容。

取材・文・撮影=村上悠太

村上悠太(ユータアニキ)
鉄道写真家
1987年に鉄道発祥の地、新橋で生まれ、JRグループと同い年。鉄道業界の役に立ちたい!をモットーに活動中。交通新聞社刊『鉄道ダイヤ情報』では「ユータアニキ」として日々、鉄道を支える「鉄道HERO」たちの取材を続ける。下町住まいの2児の父。

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