甲斐拓也は巨人でレギュラーを獲れるのか?低下した盗塁阻止率は岸田行倫、大城卓三より下
2022年は盗塁阻止率.343
ソフトバンクからFA宣言していた甲斐拓也捕手(32)の巨人移籍が決まった。活発だった今オフFA戦線の中でも注目度の高かった一人。育成入団から這い上がり、推定年俸2億1000万円を稼ぐ大物捕手は新天地で活躍するだろうか。
甲斐の最大の武器は「甲斐キャノン」と呼ばれる強肩だ。レギュラーを獲って2年目の2018年はリーグトップの盗塁阻止率.447、2021年もトップの.452をマークするなど、リードや打撃以外でも投手を助けてきた。
ただ、プロ14年目を終えて32歳となり、これからは衰えに抗う時期に差し掛かる。リード面など数字に表れない部分は経験がものを言うことも多いが、自慢の強肩もいつまで球界トップクラスを保てるか分からない。
そこで守備イニング100回以上の捕手を対象に、最近3年間の盗塁阻止率をランキングにしてみた。2022年は下の通りとなっている。
2022年の甲斐は、許した盗塁が44、阻止した盗塁が23で盗塁阻止率は.343だった。決して悪い数字ではないが、ポジションを争うことになる大城卓三は阻止率.349と甲斐より上だ。
守備イニングが少ないとはいえ、1位・長坂拳弥(阪神)の.667、2位・柘植世那(西武)の.447、3位・若月健矢(オリックス)の.442、4位・坂本誠志郎(阪神)の.423などと比べると、それほど目立った成績ではない。
2023年は盗塁阻止率.329
続いて2023年を見てみよう。
2023年の甲斐は、1096.2イニングで許した盗塁が51、阻止した盗塁が25で盗塁阻止率は.329。巨人の岸田行倫は151.1イニングと少ないものの阻止率.444、大城卓三は甲斐とほとんど差はない1060イニングで阻止率.373と甲斐を上回っている。
同年の甲斐の打撃成績は打率.202、10本塁打、44打点。大城は打率.281、16本塁打、55打点と打撃成績でも上回る。2024年はファーストでの起用も多かった大城だが、2023年はほとんどが捕手。リードや投手との相性など他の要素もあるとはいえ、単純に数字だけで比較すると、打撃でも肩でも大城の方が上だ。
2024年は盗塁阻止率.284
最後に2024年を見てみよう。
2024年の甲斐は、924.2イニングで許した盗塁が63、阻止した盗塁が25で盗塁阻止率は.284。レギュラー奪取した2017年以降でワーストの数字だった。
巨人の岸田行倫は、645イニングで許した盗塁が21、阻止した盗塁が19で盗塁阻止率は.475。なんと石原貴規(広島)に次いで2位に入っている。
ファーストが増えた大城卓三は捕手としては331イニングだったが、許した盗塁が7、阻止した盗塁が4で盗塁阻止率.364。やはり甲斐より高い。
捕手は数字に表れない仕事も多いため、一度ついたイメージは剝がれにくい。実績がある捕手ほど、投げる投手や守る野手へ与える安心感も違うだろう。
ただ、過去の実績や先入観だけで獲得すると、衰えに気付かないリスクもある。衰えなのか、他に原因があるのか分からないが、この3年で徐々に盗塁阻止率が下がっているのは紛れもない事実だ。
甲斐は巨人でもレギュラーを獲れるだろうか。捕手の大先輩でもある阿部慎之助監督の起用法が注目される。
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記事:SPAIA編集部