読者にとって心に残る作品に仕上げることができるテーマの決め方とは!?【テクニックでセンスを超える!プロが教えるマンガネーム】
テーマの決め方
テーマが決まると、どんなストーリーにするか、どんなキャラクターを登場させるかが見えてくるものです。
どの作品にも「作者の伝えたいこと=テーマ」が必ず存在します。これがあることで物語の方向性が決まり、読者にとって心に残る作品に仕上げることができるのです。
テーマは、自分が好きだ、描きたいと感じるものを主体とし、そこに時代性を加えて読者に受け入れてもらいやすくする。
【好きなもの】好きな作品をいくつかピックアップし、それらをまとめた集合体、大まかな傾向を見つける。
【メッセージ性】今を生きる人々が抱える悩みや社会の傾向を取り上げる。
では、いったいどのようにテーマを決めていけばいいのか。一番には、自分の好きなものを追求していくことです。これまで見たり読んだりした作品で好きだと思うものを集めてみると、描きたいと思う方向性や届けたいメッセージが共通する要素のなかから見えてくるかもしれません。そうして見つけた好きなテーマをもとに、ストーリーを練ってゆくのです。
また、なぜ好きなものからテーマを考えるのかというと、そのほうが根気強く作品の制作に取り組めるからです。あまり好きではない、描きたくないテーマの作品を完成させようとしても、なかなか気力が持ちません。はじめてマンガのストーリーを描くならなおさら、無理せず描けるテーマにするのが鉄則です。
実際にテーマを考えてみる
【好きなもの】切なくて儚い恋愛もの
【メッセージ性】性の多様性
【テーマ】性別を超えたひと夏の恋
テーマは複数決める
【好きなもの】学生の日常もの・冒険
【メッセージ性】すれ違いや分断・親子の絆
ここで、好きなものにプラスしてテーマに取り入れるとよいのがメッセージ性です。現代に生きる人々が抱える悩みや、社会の傾向に調和したメッセージをテーマに盛り込むことでマンガに描かれたキャラクターたちを身近に感じやすくなり、読者の共感や感動を引き出すことができます。たとえば「異なるものの受容」や「分断」などのテーマを世界観が壊れない程度に加えることで、読者の没入感は深まるでしょう。
メッセージ性を知っておくためには、社会に関心を向け、また実際に今売れている作品を調べてどんなテーマを扱っているのか把握しておくのが有効です。
あくまでも好きなものをベースに、今だからこそ取り入れたいメッセージを考慮し、テーマを設定してください。
【出典】『テクニックでセンスを超える! プロが教えるマンガネーム』著:佐藤ヒロシ