大阪在住の陸っぱりルアー釣り愛好家が「釣りはしない」北海道旅行をしてみた
「釣り人が、釣らない旅」がある。函館、ぜひ釣りたかったのだが、仕事の道中で時間を作ることができなかった。せめて釣らなかった釣行記を、函館の海を見ながら紹介したい。
春の函館で海を見る
季節は春だった。用事ができて、大阪から飛行機に乗った。北海道にいくのは、二度目のことだ。10年以上前、一度目は札幌から洞爺湖に向かった。ちなみに洞爺湖は不凍湖で、凍らない。年中行事の湖畔での花火が美しかった。今はどうなっているのだろう?ちなみに洞爺湖は夏と冬に遊漁期間があり、マスが狙えるらしい。
仕事の道すがら、海に惹かれていた。かつて札幌の港で、おばあちゃんが、「チコって魚を釣ってるよ」と言っていたのを覚えている。この時期はどうなのか。北海道は本州とかなり海の魚種が違うらしい。筆者にとってもっとも身近な魚のアジも、何年か前までは北上してこなかったそうだ。今では函館の一部で釣れるらしい。
朝市で海鮮丼を
朝市を見て回った。ざるに盛られたどぎつい色彩が腰元の高さにあふれている。鮮魚市の雰囲気的な勢いには、いつも軽く呑まれるものがある。
何も鮮魚を買うわけではない、目当てはツーリスト向けの海鮮丼だ。小さな店に入った。金銀綾錦のどんぶりが出てくる。食味は最高級で、朝からこれを食うのは人生の幸福だ。私はおととし交通事故で死にかけたが、それから生きていてよかったと思う瞬間がみずみずしく、端々にある。函館の海鮮丼もそのひとつだ。
やはり朝市の鮮魚には、なじみのない名前が多かった。そもそも筆者は釣り人で、あまり釣魚とはならない魚に知識も何もないので、まあこれは別にどこにいってもそうだろう。まさかオヒョウでもいれば、おっひょーとオヤジギャグを叫ぶところだが。
釣り物は何?
さてこの時期の北海道の釣り物は何か?今回の旅では海辺にいくこともできなかったので情報を見るしかないが、釣り動画を見る限りではガヤメバルがLTターゲットとして有名だ。根っからのメバル・アングラーの私としては、いつかコンプリートしたい魚種の一種である。昼行性でもあるらしく、昼もメタルジグを中層でただ巻きすれば釣れると聞く。またシロメバルなどと違って、夜も表層に浮きにくいらしい。
ちなみに「ガヤメバル」の呼称は、ガヤガヤと釣れるからだと言う。要するにたくさん釣れるわけだ。「闇金ウシジマくん」でいうニギニギというところか。
これまた聞いた話だが、北海道のシーバスは半端ない力を持つらしい。PEライン2号フロロカーボンライン50lbのリーダーできてください、と言う船頭もいるそうだ。天敵がいないシーバス、北海道では釣り人口密度上あまり釣られていないので、体力を有り余らせているのだろう。
「ミステリと言う勿れ」の舞台にも
この旅の目的が何だったかというと、実はライターの仕事で、「ミステリと言う勿れ」の舞台を取材することだった。私自身は作品の内容をチラとも見ていないのだからまったくライター職なんて信用できたものではない。無関心に撮った写真を一部のせておこう。
北海道は大陸であり、海であるといってもいい。大地と海、海と大地という大きな自然を一体に感じられると、スケールの大きな街を高いところから撮るだけでも実感できた。だが私は作られた夜景よりも、山水に富む風景よりも、まったく涯てのない眺めの方がずっと好きだ。平城京跡のように何もない方がずっといい。もちろんそれは広い海を見ている気分とも同期する。釣らなければ意味がなかった、とまで感じた。
次こそはもっぱら自分の目的で北海道を釣り旅行したいのだが、あいにく出不精なのだ。編集部から釣り依頼でも出てくれたらと思うのだけれど。
<井上海生/TSURINEWSライター>