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映画ファンから熱狂的な支持!“サスペンスの名手”リチャード・フランクリン監督の最高傑作『ロードゲーム』日本上陸

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映画ファンから熱狂的な支持!“サスペンスの名手”リチャード・フランクリン監督の最高傑作『ロードゲーム』日本上陸

<オーストラリアのヒッチコック><ヒッチコックの継承者>といわれた“サスペンスの名手”リチャード・フランクリン監督の最高傑作にして、クエンティン・タランティーノが選ぶ好きなオーストラリア映画ナンバーワン、1982年サターン賞・最優秀外国映画賞ノミネート、にもかかわらず、日本では未公開だった映画『ロードゲーム』が、10月31日(金)より公開される。このたび、公式パンフレットへの寄稿者、セルジオ石熊(映画研究家)、森直人(映画評論家)、渡部幻(映画評論/編集者)より、本作の面白さを簡潔に解説してもらった。

すべての孤独者に捧ぐ、独り言サスペンス

サイキック・ホラー『パトリック』(78)で「アボリアッツ・ファンタスティック映画祭」グランプリに輝いたオーストラリアの鬼才、リチャード・フランクリン。そんなフランクリン監督が、敬愛するアルフレッド・ヒッチコック監督の名作『裏窓』(54)にオマージュを捧げ、オーストラリアの広大な土地を舞台にしてつくりあげたサスペンス・ロードムービーが『ロードゲーム』(81)だ。公開当時はサターン賞・最優秀外国映画賞ノミネート、批評家からも高く評価されるも、日本では完全に無視され劇場未公開に。だが『荒野の千鳥足』(71)、『ピクニックatハンギングロック』(75)、『ピアノ・レッスン』(93)それから「マッドマックス」シリーズまで、個性あふれるオーストラリア映画の中でも一際フランクリン監督の独特なセンスが光る作品として、映画ファンからは熱狂的な支持を得ている本作がついに劇場初公開。

『裏窓』とスティーヴン・スピルバーグの『激突!』(71)を融合させたような車内での心理戦、誰も自分のことを信じてくれない恐怖、延々に続く執拗な追跡。車内で大量にぶら下がる豚の肉塊や、誰もいない荒野のロケーションも魅力だ。クエンティン・タランティーノは、“好きなオーストラリア映画ナンバーワン”に本作を挙げており、「『ロードゲーム』はたとえ明日リメイクしても、台詞を一切変えなくても、誰もが恐怖で震え上がるだろう。これは素晴らしい映画だ」と絶賛している。

何もないオーストラリアの荒野。たった一人で冷凍した豚の死体を運ぶ長距離トラック運転手クイッドは、ある日女性ヒッチハイカーを乗せた緑色のバンを目撃する。だがその後、その女性がバラバラ殺人の被害者として発見されたとき、犯人を確信したクイッドはバンの追跡を開始、孤独な車内で膨らませた妄想に憑りつかれ、幻覚を見るようになり、癖である独り言に拍車がかかった。そしてあろうことか、その行動によりクイッドは疑いの目を向けられるようになり、信じがたい状況に追い込まれていく—。

<コメント>

セルジオ石熊(映画研究家)
アルフレッド・ヒッチコックにはオーストラリアを舞台にした作品『山羊座のもとに』がある。自ら失敗作を認め、スリラーとユーモア要素がなかった事がその原因だとするヒッチコックは「次にオーストラリアを舞台にした映画を撮るとしたら、警官がカンガルーの袋に入って犯人を追いかけるシーンを入れるよ」と語っている。ヒッチコックの弟子リチャード・フランクリンは、その言葉を思い出したようで、『ロードゲーム』は自身の前作『パトリック』に欠けていたユーモアの要素が豊富なうえ、同時にヒッチコック映画への言及(めくばせ)が加えられていて映画ファンにはたまらない。

森直人(映画評論家)
この映画を加速する幻視——パラノイア(妄想狂)の男が悪夢のような迷宮を彷徨う“独り相撲”のゲームとして捉えるならば、もはやデイヴィッド・リンチ作品にも通じるような(!)眩惑的で深みのある味わいが一層際立ってくるように思えるのだがいかがだろう。

渡部幻(映画評論/編集者)
文学的な内省とオフビートなコミカルさを共存させ、ダークなインディペンデント映画での主演から、メジャー映画でのシュールでクレイジーな脇役まで、変幻自在、縦横無尽に行き来したステイシー・キーチの才能を『ロードゲーム』初公開を機会に、改めて評価してもいいだろうと思うのだ。

『ロードゲーム』© 1981 STUDIOCANAL – Quest Films Pty Ltd. All Rights Reserved.

『ロードゲーム』は10月31日(金)よりシネマート新宿ほか全国公開

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