大日堂仁王門 90年ぶり大規模修繕 修復中の二王像返還前に
蓑毛大日堂(秦野市蓑毛字上川原721ほか)の仁王門で現在、修復作業が行われている。大日堂を管理する蓑毛山宝蓮寺(東島礼美住職)と、大日堂の維持・保全活動を行うNPO法人はだの大日堂保存会(水野功理事長)が行っている事業で、先に修復作業が行われている二王像の返還前の完成を目指している。
蓑毛大日堂は2017年に国登録有形文化財となった大日堂、不動堂、地蔵堂、仁王門をはじめ、その内部に県・市指定重要文化財の仏像群を有している。宝蓮寺が管理し地域住民有志が組織する「はだの大日堂保存会」が維持・保全活動を行っているが、20年11月に専門家を招き行った調査では、二王像をはじめそのほとんどが「修復に急を要する」という結果が出ていた。
これを踏まえ、最も劣化が激しかった二王像の修復に着手。寄付や補助金を活用し、23年5月に仏像修復士・明珍素也氏の株式会社明古堂(東京都世田谷区)に搬出された。
屋根など損傷激しく
二王像は搬出から4年後の27年度に返還が予定されているが、ここで新たな課題が浮上した。二王像を設置する仁王門も損傷・劣化が激しく、修復した二王像が再び風雨でダメージを受けてしまう懸念があった。そのため宝蓮寺と大日堂保存会は、二王像搬出後に門の修復を検討。昨年、国の補助金申請が通り修復に取りかかった。
修復作業中に見つかった棟札には「昭和十一年七月竣成」と書かれている。東島住職によるとその後、細かい修繕は行われているが、「大規模なものはこの時が最後ではないか」と話す。そのため二王像を納める場所の足元が腐っていたり、屋根が腐食し二王像の真上に空が見える穴が開くなど、かなりの損傷が出ているという。
また、これに合わせ大日堂も一部建具の修繕が行われている。
一般に寄付募る
仁王門は現状最も損傷の激しい箇所の修復が行われているが、その他の部分も同様に修繕が急務。そのため、大日堂保存会は広く寄付金を募っている。寄付額に応じて屋根の鉄板や鬼瓦に願い事などを刻むことができ、見学者からも少しずつ集まっているという。
「古くから残る貴重な文化財を後世に長く受け継いでいきたい。まずは、二王像が戻る場所を確保したいです」と東島住職は話す。
寄付の問い合わせは同保存会事務局(宝蓮寺)【電話】0463・81・3528へ。