松茸から牛乳瓶うにまで! 岩手県『全日食チェーン こしど普代店(マルコシ商店)』の豪華すぎる北三陸の地元食
岩手県にある小さな村・普代村にあるスーパー、通称『マルコシ商店』は、松茸から生うに、秋鮭、あわびまで、四季折々の豪華すぎる三陸の地元食を扱うお宝店。この秋は、運よく松茸に出会いたい!
今回のゴー!ゴー!
『全日食チェーン こしど普代(ふだい)店(マルコシ商店)』(岩手県普代村)
10月の平均気温は18.6度。紺碧(こんぺき)の太平洋、海岸線の多くは断崖絶壁。そんな北三陸で、人口2300人ほどの小さな村・普代村中心部に位置する魚自慢のスーパー『全日食チェーン こしど普代店』、通称『マルコシ商店』がお宝級なんです。
店舗横の別棟で、大きな荷物を持ってやってくる近隣の方々に笑顔で対応するのは、店長の越戸秀子(しゅうこ)さん。
海から突き出る山々は、松の木だらけという普代村。秋は松茸シーズン真っただ中で、店では松茸を買い取り選別したあと、首都圏の市場へ出荷しています。
風味高く高品質な普代産の松茸は、市場に出れば高級品。『マルコシ商店』では、小さかったり形がよくなかったりして出荷できないものをまとめ、店頭で1パック1000円ほどで販売しています。
でも、村民にとって松茸は物々交換でもらうもので、買うものではないのだとか。この「超お買い得松茸」は遠方から来て、たまたま立ち寄った運のよいお客さんだけが買っていくのだそう。
この店の魅力は、松茸だけではありません。昭和43年(1968)に鮮魚店で創業し、やがて北三陸の魚介を加工・販売する会社「越戸商店」となり拡大。その小売部門『マルコシ商店』には四季折々、自社加工品が並びます。
普代が活気づく秋は、同社の代名詞「秋鮭といくら」のシーズン。冬はあわびと新巻鮭、春はわかめと昆布。そして6月、“口開け” と呼ぶ生うに漁が始まります。
岩手の生うには、牛乳瓶入りが定番。漁師が朝、船上からタモですくい採ったウニは、すぐに濃度管理された殺菌塩水と一緒に瓶詰めに。自然のままの極上な味わいが絶品です。
近年はウニの餌となる海藻が枯れる磯焼けにより価格が急騰していますが、かつては一瓶1500円程度(現在の4分の1)の地元食だったと越戸店長。松茸のシーズンも年々短くなっているそうで、豪華すぎる四季折々の普代の地元食は、もはや貴重な宝物です。
製造・直販! 地元の新鮮魚介
北三陸の海の恵みを加工、卸、小売もする会社だからこその魅惑の品ぞろえ。四季折々に旬を迎える魚介類を一番いい状態で加工。ただし、いずれも販売期間や価格は天候など自然に左右されます。
常温保存OK! 北三陸の地元食
魚介類は持ち帰るのが大変そう。そんなときは、お土産にもちょうどいい常温保存可能な地元食を。自社開発商品のほか、地域で人気の地元定番商品もそろい、高級品だけじゃない素顔の普代を感じられます。
「豆腐田楽」のブースに注目!
店先で炭焼きしているのは、名物の「豆腐田楽」。地元でおいしいと評判の豆腐をじっくり焼き、ニンニクの効いた自家製味噌を塗ってまた焼きます。香ばしいパンチのある味噌で、ご飯もビールも進む味!
全日食チェーン こしど普代店(マルコシ商店)
住所:岩手県普代村第13地割140-4/営業時間:8:00~19:30(日は〜19:00)/定休日:無/アクセス:三陸鉄道普代駅から徒歩11分
取材・文・撮影=菅原佳己
『旅の手帖』2024年10月号より
菅原佳己
スーパーマーケット研究家
執筆やテレビ出演、講演活動をこなしながら、全国のご当地スーパーを行脚。埋もれた日常食の発掘とその魅力を伝えている。著書に『47都道府県 日本全国地元食図鑑』(平凡社)など。