宇宙に飛ばして撮影 ブラックモンブランのパッケージには様々な想いが!
九州地方で長年愛されているアイス「ブラックモンブラン」。このパッケージに驚きの事実が書かれていることに気がついたのは、X(Twitter)ユーザーの木林きききさん。
7月5日に投稿された写真にあるのは、「スペシャルブラックモンブラン」のパッケージ。ブラックモンブランが宇宙でただよう様子を表したものなのですが……、注釈に「この画像は実際に宇宙に飛ばして撮影したものです」と書かれています。マジか!
そもそもこのパッケージは「普段」売られているデザインと異なります。一体、なぜこのパッケージは生まれたのでしょう?竹下製菓にも取材しました。
■ 気づいてテンション爆上がり、いつもと違うパッケージ
現在は宮崎県で牛農家をいとなんでいる、投稿者の木林さん。育ちは大阪府とのことですが、生まれは母親の実家がある宮崎県だったことから、帰省のたびに「ブラックモンブラン」に触れる機会があり、子どもの頃から慣れ親しんで来たそうです。
このため、初めて見る「実際に宇宙に飛ばして撮影した」という注釈を発見した時は、最初は意味が分からなかったものの理解した瞬間テンション爆上がり。一緒に買い物をしていた弟さんにも見せて、2人で盛り上がったそうです。
この件についてまわりに聞いても知っている人はおらず、今回のパッケージと通常パッケージが一緒に陳列されていたので、「おそらく、かなり早い段階で発見したと思う」と予想していました。
実際この「ブラックモンブランが宇宙でただよう」パッケージは7月上旬からの登場。木林さんが気づいたのは、発売ほぼ同時期だったようです。
■ スペースモンブランプロジェクト
そもそも、「ブラックモンブランが宇宙でただよう」パッケージは、「スペースモンブランプロジェクト」という企画から生まれたもの。
ちなみに通常版のパッケージはアルプス山脈の最高峰「モンブラン」が描かれたデザインです。
竹下製菓のホームページでは、宇宙でどう撮影したかが詳しく紹介されています。撮影に使用したのは、「スペースバルーン」という、高度気球によって成層圏や中間圏から映像を撮影できるバルーン。大きな風船を使用した手法で、宇宙と環境が同じ高度20~50km(成層圏)まで飛翔するとのこと。
ちなみに国際航空連盟の定義によると、高度100km以上を宇宙空間と定義しています。ただし、このプロジェクトは宇宙空間と青い地球を見る(映す)ことが目的のため、スペースプロジェクトと名乗っているのだとか。
■ 全国の子どもたちがプロジェクトに協力!
まさかバルーンを飛ばして撮影していたとは……。夢がありすぎる!今回は、竹下製菓の代表取締役社長・竹下真由さんから詳しい話をうかがっています。
―― ブラックモンブランを宇宙に飛ばそうと思ったきっかけを教えてください。
私には、いつか自身が「宇宙へ行ってみたい」「地球が青くて丸いのか、自身の目で見てみたい」という強い思いがありました。
自分が宇宙へ行けるようになるのはまだもう少し先の話でしょうけど、ブラックモンブランなら私の代わりに先に宇宙へ行ってくれるのではないかなと思いました。
―― ブラックモンブランを宇宙に飛ばすまでには、どういった経緯があったのでしょうか?
e-kagaku国際科学教育協会と東京女子学園・芝国際中学校・高等学校の共同プロジェクトとして最終的に実行したのですが、この企画に参加した子どもたちも全国から集まり、皆で協力してくれました。
アイスも実は科学の結晶なんです。子どもたちが大好きで身近なアイスが、科学の力で宇宙を目指す。プロジェクトに参加してくれた皆が、どうやって撮影するか、宇宙へ行って戻ってくる間、アイスが溶けないように保つにはどうすればいいかなど、話し合って頑張ってくれました。
■ コロナ禍でプロジェクトがストップするハプニングも
―― 子どもたちも頑張って協力していたんですね。打ち上げまでに大変だったことを教えてください。
やはり一番大変だったことと言えば「コロナ禍」です。そこでプロジェクトの進行が3年ほど止まってしまい、実施までに足掛け4年もかかってしまいました。
―― こんなところにもコロナの影響が……。その苦労を経て打ち上げに成功し、写真を見た時の感想を教えてください。
宇宙から戻ってきたブラックモンブランを回収して、すぐにカメラから取り出したSDカードをパソコンにつないで映像を確認すると、想像していた以上にあまりにもきれいな映像が映しだされ、すごく感動しました。「感嘆の息が自然と漏れる」というのはこういうことなんだなと思いました。
―― 宇宙から戻ってきたブラックモンブランに、味や形など変化はありましたか?
5時間は溶けないように対策していたつもりでしたが、やはり柔らかくなってしまっていたのと、落下の衝撃なのか多少は変形もありましたが、なんとか形を保ってくれていました。
味は「宇宙の味がしました」なんて言いたいところではありますが、いつもと変わらないブラックモンブランの味でしたね。
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竹下社長は最後さらっと、おっしゃっていますが、カメラ等と一緒に飛ばした容器の中に入れていたブラックモンブランを、その後破棄せず自らおいしく食べたそうです。食べられたことに驚きしかありませんし、宇宙レベルで「スタッフがこの後おいしくいただきました」をしたのは初めて聞きました。もしかすると初?
それにしても、あの宇宙のパッケージの中にはブラックモンブランだけでなく、竹下社長と子どもたちの夢や希望、努力など、たくさんの想いがいっぱい詰まっていたんですね。
※初出時、「あのパッケージのブラックモンブランはその後破棄せずに自ら美味しく食べたそうです」と紹介しておりましたが、パッケージのアイスは模型で竹下社長が食べたのは「カメラ等と一緒に飛ばした容器の中に入れていたブラックモンブラン」が正しい情報でした。訂正しお詫びいたします。
<記事化協力>
木林きききさん(@hageourzee)
竹下製菓株式会社「スペースモンブランプロジェクト」
(佐藤圭亮)
Publisher By おたくま経済新聞 | Edited By 佐藤圭亮 | 記事元URL https://otakuma.net/archives/2024071605.html