清水エスパルスユースの矢田龍之介がプリンスリーグ東海で先発復帰!世代屈指のボランチはチームをプレミア昇格に導けるか
プリンスリーグ東海で苦戦が続く清水エスパルスユースに頼もしい司令塔が戻ってきた。故障で戦列を離れていた背番号10、矢田龍之介だ。
矢田は3月に股関節を痛めてリーグ開幕から戦線離脱していたが、第5節の静岡学園セカンド戦で途中出場を果たすと、6月15日の浜松開誠館戦は先発フル出場。チームを勝利に導くことはできなかったが、ピッチの中央で躍動していた。
卓越したゲームメーク
矢田の持ち味は視野の広さを生かしたゲームメーク。安定感たっぷりの下半身と、ピンと伸びた背筋が目を引くプレーヤーだ。
常に首を振ってピッチ全体の状況を把握。近くの味方にワンタッチではたいたり、逆サイドに正確なロングパスを通したり。長短のパスで攻撃をコントロールしていく。
守備については「全然まだまだ」と自己評価は低いものの、相手に腰をぶつけてボールを懐に収める力強いプレーも目立つ。
各クラブ争奪戦の中で清水を選んだ理由
矢田は北海道出身。親の仕事の関係で小学5年時に埼玉県に移り、強豪の1FC川越水上公園U-15でプレーしていた。中学3年から世代別日本代表の常連に。飛び級で、一つ上の後藤啓介(ベルギー1部アンデルレヒト、磐田ユース出身)や神田奏真(川崎フロンターレ、静岡学園高出身)と一緒に戦っていた。
街クラブから全国に名を轟かせ始めた矢田をめぐり、当然のように各Jリーグ下部組織は争奪戦を繰り広げた。
「自分が中学3年の時に、清水ユースの3年生が千葉寛汰選手(現清水エスパルス)たちでした。強いチームで魅力的だなと思って」
清水ユースの門をたたくと、1年時からボランチの定位置を確保。順調に力を伸ばし、昨年はルヴァンカップでトップチームデビューも果たした。
6月には日の丸を背負ってU-17アジアカップ優勝に貢献。11月のU-17ワールドカップはベスト16で敗れたが、世界の舞台で大きな経験を積んだ。
「自分の成長だけにフォーカスしたい」
清水ユースの同期には、すでにプロ契約を結んだサイドアタッカーの西原源樹がいる。先を越された状況にはなったが、矢田の心は整理されている様子。焦りらしきものは見当たらなかった。
「悔しい気持ちはありますけど、西原がどうこうってことにフォーカスしても意味はないのかなと思っています。西原は西原、自分は自分のやるべきことをしっかりやるだけ。今は西原のように注目されていなくても、今の状況は5年後は関係ない。未来や自分の成長にフォーカスしてやっていけたらいいと思っています」
けが人続出中のチームは現在、プリンスリーグ東海で3勝3敗の6位。まだ12試合残っているとはいえ、これ以上引き離されるとプレミアリーグ昇格は遠のく。
「自分の価値を高めるためにも。プリンスリーグでしっかり覚悟を持って戦って、1試合1試合の積み重ねで成長していきたいと思っています」
国際経験豊富な世代屈指のボランチは、若きオレンジ軍団をプレミア復帰に導くことができるか。