出汁とスパイスが織りなすカレーの新境地 岩国市「(仮)コウタのカレー 錦帯橋店」
岩国の観光名所である錦帯橋。
その橋から歩いて5分ほどの場所に、地元で話題を呼んでいるユニークなカレー店があります。
その店の名前は「(仮)コウタのカレー 錦帯橋店」です。
一見控えめに思える店名ですが、提供しているカレーは非常に個性的です。
そして、このお店の最大の特徴は、店主が演奏するパーカッションとカレーが融合しているという点にあります。
香りと味、そして音楽が共鳴する空間で、これまでにないカレー体験を味わうことができます。
音楽とカレーを融合させた空間で過ごす特別な時間
お店に一歩足を踏み入れると、まずスパイスの香りが食欲をそそります。
店内の壁には、太鼓やジャンベなどの打楽器が並んでいます。
これらは単なるインテリアではなく、実際に店主の植野好太さんが演奏することもあるそうです。
ドラマー&パーカッショニストとして活動していた好太さんは、関西からUターンを機にカレー店を始め、2年前に岩国駅近くに1号店を開業。今年3月には、出汁カレーを主力とした2号店を新たにオープンしました。
看板メニューは「いりこ出汁のチキンカレー」
定番メニューは、「いりこ出汁のチキンカレー」です。
・いりこ出汁のチキンカレー 1,200円
和とスパイスの魅力が詰まっている一品です。
スパイスの香りと和風出汁の旨味が溶け合う味わいが、多くの人を引きつけています。
調理は玉ねぎをじっくり炒めるところから始まり、クミンシードやコリアンダーなど約10種類のスパイスが加わります。
炒め具合は色と香りの立ちかたで見極めているそうです。
同時に、イリコと昆布から出汁をとります。旨味がスパイスに負けないよう、しっかりとイリコのうまみをだすことが特徴です。
炒めた玉ねぎと香ばしく炒めた鶏肉を合わせ、丁寧に煮込んでいきます。
最後にガラムマサラで香りを加え、サラリとしたスープが完成します。
副菜も自家製、香りと彩りにこだわる一皿
カレーの横には、色鮮やかなターメリックライスとともに、手作りの副菜が添えられます。
ニンジンや小松菜、マッシュポテト、タマネギの甘酢付け、どれも素材の味を活かした優しい味付けになっています。
中でも印象的だったのが、煮干しから抽出した自家製の煮干しオイルです。
このオイルを仕上げにかけることで、香りが一気に引き立ちます。
さらに、オイルをとった後の煮干しもトッピングとして使用していて、食感のアクセントにもなっています。
口に運ぶと、まず出汁の香りがふわりと広がり、後からスパイスがじんわりと追いかけてきます。
スパイスが主張しすぎず、和風出汁と絶妙なバランスを保っている点が、このカレーの大きな魅力となっています。
週替わりカレーで、毎回異なる楽しみを味わえる
このお店では定番のチキンカレーに加えて、週替わりのカレーも提供しています。
取材日には「ナスとポークキーマの出汁カレー」が登場していました。
・ナスとポークキーマの出汁カレー 1,200円
この日の出汁は、カツオ・昆布・しいたけの3種を使った特製ブレンド。
ナスにも出汁がしっかりと染み込んでおり、スパイスは控えめに使われています。
出汁と素材本来の美味しさを主役に据えた、滋味深い味わいに仕上がっていました。
「出汁カレーって粗挽き肉と相性が良いと思ったんですけど、ないことが多いので自分で塊の肉を挽いています」と語る店主の言葉からは、カレー作りへの熱意が伝わってきます。
ここでしか味わえない、心に残るカレー体験を
中学生の頃に太鼓の楽しさに目覚めた好太さんは、インディーズグループのサポートやイベントなどで演奏していました。今もその腕前は健在で、店内には観る人を唸らせる力強く繊細な音が響き渡ります。
打楽器とカレーというふたつの個性を武器に、地域をもっと面白くしたいと日々考えているそうです。
カレーとパーカッションを掛け合わせた独自の世界観は、店主自身の経験とセンスが光る唯一無二のスタイルです。
食と音楽とまちづくりが交差するこの店で、五感を使った新しい食体験をぜひ楽しんでみてください。
★今回の内容は、2025年7月8日放送、yab山口朝日放送『You!どきっ』のコーナーを記事化したものです。