「第2クールも刮目せよ!」スーパースペクタクル×家電あれこれ×にゃんコメディ『宇宙人ムームー』小桜エツコさん、春海百乃さん、梶原岳人さん、日比優理香さん座談会
2025年7月より、第2クールが絶賛放送中のTVアニメ『宇宙人ムームー』。猫型異星人と女子大生の不思議な同居生活を描いた、“にゃんとも”言えない魅力にあふれる本作。主演・梅屋敷桜子役には、アニメ初主演となる春海百乃(はるみもも)さん。そして、宇宙人ムームー役は、数々の名キャラクターで知られる小桜エツコさんが務めます。
アニメイトタイムズでは第1期に続き、ムームー役・小桜エツコさん、梅屋敷桜子役・春海百乃(はるみもも)さん、さらに鶴見アキヒロ役・梶原岳人さん、鮫洲美輪役・日比優理香さんにインタビュー。作品やキャラクターの変化、現場の空気、そして第2期への想いを語り合っていただきました。収録の裏話など、にぎやかな座談会をお届けします。
【写真】『宇宙人ムームー』小桜エツコ×春海百乃×梶原岳人×日比優理香 座談会
“桜子を演じているのが私でよかった”と思ってもらえるように
──春海さんにとっては初主演となる現場でした。1クールを終えた率直な気持ちを聞かせてください。
梅屋敷桜子役・春海百乃さん(以下、春海):……ちょっといろいろありすぎて……頼りないところだらけでご迷惑おかけしたと思います(苦笑)。最初は本当に不安で、「ちゃんと声、出てるかな」とか、「私で大丈夫かな」とか、いろんなことを考えていました。でも、アニメの第1話を見て、すごく素敵に仕上げてくださっていて。
先輩方のお芝居を見ていると、「この役がこの人で良かった」としみじみと思うことがあるんです。なので、私も“桜子を演じているのが私でよかった”と皆さんに思ってもらえるように、2クール目もより一層頑張って、フレッシュさのアピールもしていけたらと思っています(笑)。もっともっと成長していきたいです。
ムームー役・小桜エツコさん(以下、小桜):前回のインタビューのお話とかぶってしまうのですが、そのフレッシュさがすごく良くて。春海さんって本当に等身大の桜子なんですよね。高校卒業したての、ちょっと不安もあるけど真っ直ぐな女の子。その“いま”にしか出せない空気を、役に乗せられていると思います。こういう巡り合わせって、なかなかないですよね。
鶴見アキヒロ役・梶原岳人さん(以下、梶原):そう思います。
春海:桜子と同じ年だったことは本当に幸運だったと思います。すごく“奇跡”で。皆さんにも、そう思っていただけるように、2クール目も頑張りました。
──前回のインタビューで、小桜さん、春海さんにはうかがっているのですが、改めてご自身が演じられるキャラクターについて、日比さん、梶原さんも教えていただけますか。
鮫洲美輪役・日比優理香さん(以下、日比):鮫洲はアキヒロにゾッコンの女の子です。飾らないアキヒロの姿にほぼ一目惚れしてますね。ずっと「薄暗いところに行こう」「薄暗いところに行こう」って何度もアタックしています(笑)。
一同:(笑)
日比:“薄暗いところ星人”なんですよ(笑)。見た目はインフルエンサーっぽく、いかにも女子大生してるけど、流行を追ってるだけじゃなくて、プライドが高いなりにちゃんと努力してるタイプ。最初の印象はだいぶ悪いかもしれないですけど(苦笑)、意外と面倒見がよくて、内面的には結構大人っぽいところもある子だと思っています。なんだかんだで桜子のことを放っておけない、音は優しい子という印象です。
梶原:僕が演じている鶴見アキヒロは、本当に、なんて言うんでしょうか……僕は共感できる部分が多くて。興味あることにはすごく興味があるけど、興味ないことには本当に興味がない、みたいな。
小桜:あ、でも分かる気がする。現場でもそんな感じですよね(笑)。
梶原:あ、そうですか(笑)?
小桜:なんというか、あまりお喋りなタイプじゃない気がする。というか、加瀬康之くん(デシマル役)、木内秀信さん(天空橋わたる役)、男性陣がめっちゃ喋ってるから。
女子トークには入りづらかったりします?
梶原:いやいや、そういうわけじゃないんです。アフレコのときって、僕の席が女性陣からちょっと距離的に離れていて。だから、スタジオ内で自然に会話に入りづらいっていうのがあったんですよね。別に避けてたとかじゃなくて(笑)。
小桜:ああ、確かにそうだね。
梶原:話したくないとかじゃないんですからね!(笑) それとアキヒロは猫が好きで、デシマルのことも溺愛してて。猫に関しては本当にわかりやすくて、表情もしゃべり方も変わるくらい気持ちが出てくるんですよね。他のことにはからきしだめなんですけど、自分の興味あること、こと猫に関してはすごく素敵な顔を見せてくれます。で、最近は僕も猫派の気持ちがすごく分かるようになってきたんです。もちろんどっちも好きなんですけども。
小桜:現場で「犬派ですか? 猫派ですか?」みたいな話題がよく出てるよね(笑)。
梶原:出てますね。僕自身はずっと犬を飼っていて、今も実家にいるんですけど、最近まわりの友だちが飼っている猫に触れる機会もあって。『ムームー』に出演させてもらったのもきっかけになって、猫の存在がより愛おしく感じるようになりました。あの、そっけないんだけど、ふとした瞬間にグルグル言いながらすり寄ってきてくれる感じ……あれがたまらないですね。アキヒロの気持ちがすごく分かる。
小桜:じゃあ、猫にまつわるシーンはリアルに演じているんですね。
梶原:そうなんですよ。解像度高く演じていました。そういう意味でも、アキヒロは演じていて楽しいキャラクターですね。
小桜:ちょっと変わったキャラクターですよね。他の作品ではあまり見ないというか。ツンデレというわけでも、無気力というわけでもない。なにを考えているかまではわからないけど、優しいところもあるんだよね。
梶原:嘘がないというか、いいことも嫌なことも隠さずに、興味がないことには本当に興味がないし、嫌なことがあったらちゃんと「嫌だ」って言える。たとえ相手が「は?」って思っても、そこは別に気にしないっていう。
小桜:もしかしたらアキヒロの育ちも関係しているのかもしれないね。
梶原:そうかもしれないですね。家庭環境的にも、言いたいことが言いやすかったのかもしれません。
──アキヒロは猫に気持ちが傾いているけど、猫たちはちょっとつれないというか(笑)。逆に鮫洲は猫と絡む機会も多いですよね。
日比:そうですね。でも鮫洲自身は猫にそんなに興味がない(笑)。「なんでこいつら体温計買ってんの?」みたいな。でもちょっと人間として扱ってるというか。ツンケンしてるけど、根は悪くないというか。ただ、私自身は猫が大好きで、一日中猫のYouTubeを見てます(笑)。ただ、今は自宅がペット不可で飼えないので、その反動もあるのかもしれないです。
──ちなみに、猫のお話がたくさん出ましたが、おふたりは家電事情は詳しいほうですか。
梶原:家電、好きですね。家電量販店に行くといろいろと見ちゃいます。もちろん見てるだけでも楽しいんですけど、実際にわりと買っちゃうタイプです(笑)。第2話で掃除機が出てきましたけど、僕はちゃんとサイクロン式を使ってますよ。
一同:おお……!
小桜:サイクロン式ってどうなんですか? うちは猫がいるので毛の問題で掃除機は切実なんです。オススメがあったら教えてほしい。
梶原:今のは本当に優秀ですよ。僕はシャークの掃除機を愛用していて。たとえば、掃除機本体をスタンドにセットすると、スタンドが自動でゴミを吸い取ってくれるタイプがあって。中のケースがパカッと開くようになっていて、それをそのままゴミ箱に捨てるだけ。月に一度くらい手入れすればOKです。
小桜:へええ! メモさせていただきました(笑)。アキヒロは機械音痴ですけど、(梶原さんは)好きなんですね。
梶原:そうなんですよ。僕自身はめっちゃ家電が好きです。音楽が好きなので、家電屋に行くとイヤホンやヘッドホンもよく見ますね。
日比:私は逆で、家電にはもともとあまり詳しくなかったんです。でも『ムームー』に関わるようになってから、原作を読んでちょっとずつ知識をつけてます。しかも実家に住んでいるということもあって、「掃除機が吸いにくくなったな」くらいが分かるくらいです(苦笑)。でも、最近は家電量販店を見て回るのも好きになってきて、ちょこちょこ見に行っています。
小桜:そしたらこのメンバーの中で、いちばん家電に詳しいのは間違いなく梶原さんですね(笑)。原作や台本を読んでいると、やっぱり「おお、なるほどな」ってなる?
梶原:めっちゃなります! 好きではあるけれど仕組みに詳しいわけではなかったんです。だから冷蔵庫や5Gの話など、すごく学びになりますね。アルカリやマンガンの違いもすごく興味深くて。楽器もアルカリ、マンガンどちらを入れるかで音に違いが出ると聞いたことがあったので、なるほどなと思っていました。
日比:私は掃除機のお話がすごく興味深くて。
小桜:やっぱり掃除機! 健康にも密接に関わってくるものだからやっぱり気になるよね。
──そうですよね。春海さんはどうでしょう? と言っても春海さんはまだ揃っていない家電が多いとは思うのですが。
梶原:引っ越したばかりなんですか?
春海:そうなんです。(取材時には)引っ越したばかりで、まだ電子レンジもないんです(笑)。今はまだ冷蔵庫と洗濯機だけで……。
小桜:しかもスタッフさんに「密着企画があるからまだ買っちゃダメ!」って言われてて……。
梶原:えっ、それは早く行ってあげてくださいよ!(笑)
※その後、無事に購入してもらっています。
【宇宙人ムームー】春海さんのターン!!小桜エツコ&春海百乃が家電買い物ロケに挑戦!!in ビックカメラ有楽町【第2弾】
春海:でも私、優柔不断な性格なのでひとりだと選べないんです。ネットで口コミや性能を見ていると無限に情報が出てきてしまって…。だから個人的にこういうロケのお話はありがたいです(笑)。
小桜:でもできるだけ早く行ってあげてほしいね(笑)。人間らしい部屋にしよう!
春海:お友だちを呼ぶと「えっここで生活してるの?」と驚かれます(笑)。
──今のところは無機質なお部屋なんですね(笑)。その一方で、家電に詳しいキャスト陣で盛り上がることもあるんでしょうか?
梶原:家電とはちょっと違うかもしれませんが、男性陣は車の話をして盛り上がることが多いですね。「どこの駐車場が安い」とか(笑)。
小桜:確かに男子は車の話で盛り上がっているイメージがある(笑)。男子だけでご飯会もしてたよね?
梶原:そうなんですよ。僕と熊谷くん、加瀬さん、さらに阿座上洋平さんと加瀬さんを慕う会みたいなのをやりました。というか、熊谷くんとよく話していたんですけど、『ムームー』のあとでみんなでご飯とか行けないんですかね?って。
日比:実は私もその話をしていたんですよ。
小桜:わ、いいね! ただ私、夜が苦手で(笑)。朝方に起きて行動するタイプなんです。なのでぜひランチ会を(笑)。
春海:ぜひ!
日比:楽しみ〜!
前回話題になった春海さんのフレッシュさ。実は日比さんも……
──ところで、インタビュー前編では、春海さんのフレッシュさが話題になったんです。
梶原:というか……めちゃくちゃフレッシュでありながらも、「本当に始めたばかりなの!?」って思うくらい堂々としているんですよね。ディレクションにも真摯に向き合っていて、迷いがないし、物おじしない。
小桜:上手だよね!
春海:えっ!めちゃくちゃ嬉しいです、やったーー!
小桜:喜んでる(笑)。そういうところがフレッシュでいいよね。でもその一方でうまいし、堂々としてる。これがZ世代か?って思ってしまうくらい。
梶原:まさにそう思います。僕なんて、デビュー時は手を震わせながらやっていたので、なのですごいなって思っていました。
春海:養成所の時はそうでした。プルプル期がそこにきていたのかもしれないですね……。
梶原:そこで終わったのがすごいよ(笑)。音響監督の 郷田(ほづみ)さんにも、全然ひるまなくて。「今の子たちはどこまで叱っていいのか迷う時代だ」って話してたなあ。
春海:郷田さんがすごく優しくしてくださったので、のびのびとやらせていただくことができました。
日比:私にとってはありがたい環境ですよ。むしろ、ももりんが堂々としてるから、私も勇気もらってます。実は私もデビュー2年目で、この作品がレギュラーの2作目なんです。だから緊張することが多くって。
小桜:えっそんなにフレッシュだったの!? 大人っぽいから気づかなかったよ。
日比:ありがとうございます。実はそうなんです。鮫洲はなかなかエネルギーのいる子なので(笑)。本当、ももりんがそう言ってくれるのがすごく励みになってます。私、そんなに自分からガツガツいけるタイプじゃなくて、鮫洲とは正反対なんですよ。
小桜:確かに、そういうタイプではないもんね。鮫洲は原作よりも登場が増えているイメージがあります。
日比:そうですね。アニメオリジナルで、「今回も“薄暗い”入れるか」みたいな感じで登場させていただいています。だいぶエネルギーを使いました! その分やりがいはあります。
春海:私は日比さんの演技、大好きです! 鮫洲がすごくツボで、毎回笑っちゃうくらい。だから(声入れから)戻ってくると「超面白かったです!」っていつも伝えていました。
日比:嬉しい〜!
──ところで、今おっしゃっていた“ももりん”というのは、春海さんのあだ名ですか?
春海:はい(笑)。第2話のアフタートークの時にあだ名をつけあって。そのとき、私はお腹が空いていたので……油淋鶏(ユーリンチー)にかけて“ユリンチー”と(笑)。(収録の)席が隣で、たくさんお話をさせていただいたりもして。一回、会わないときがあって寂しくなってしまったくらい。
日比:私もです。
──絆も深まっているのですね。日比さんは1クール目を終えて、どのような手応えを感じられましたか?
日比:すごく和やかな雰囲気の現場なんですよね。当初はもっと“家電を真面目に学んでいく”ようなテイストになるのかなって思ってたんです。でも、実際に出来上がったものを観たら、思っていたよりも癒し系アニメでした。ちゃんと家電を学びつつも、キャラクターたちの関係性も、だんだん丸みを帯びてきたというか。現場の空気感もそれを後押ししてくれてた感じがしますね。
小桜:特に鮫洲はどんどん変化していくよね。最初の頃と比べて、「この人、実はピュア?」って驚く場面が何度もあるんです。家電については面倒見が良かったり、優しい一面も見えたり。
日比:でも私からすると桜子も相当変わっている気がします。
春海:そうですね。第1話で飲み会から逃げちゃうような子だったのに、ムームーのために走ったり、頑張ったり。その姿を見ていると応援したくなりますよね。もうちょっとリラックスして良いんだよと言ってあげたくなるような感じもありつつ。1クール目はお腹を抱えて笑うシーンもあったのですが、2クール目ではムームーの過去も明らかになって。いろいろな感情が動くんだろうなって。
小桜:うんうん。ここまでは家電や日常が中心で、ちょっとシリアスなシーンもありつつ基本はほのぼのしてたけど、たぶんこれから変わっていくんじゃないかなと思ってます。原作通りに進んでるなら、いろいろなキャラがもっと出てくるし、ちょっとサスペンスっぽい展開も……。“つぎはぎムームー”の過去なども、掘り下げられていきそうだなと思っています。個人的にはデシマルのうんちのお話が好きで、(第20話『アキヒロとタンクレストイレ』)。皆さんにもぜひ観てもらいたい。
梶原:僕も好きです。ちょっと胸がぎゅっとなるんですよね。
──梶原さんは1クール目の収録を終えての手応えはいかがですか?
梶原:僕はいつも木内さんに「省エネが」って言われています(笑)。鮫洲とは逆に、アキヒロはぼそっとリアクションをするタイプなんですよね。割と淡々としてるんですけど、その一方でデシマルの話になると突然饒舌になったり。僕は特にデシマルが猫じゃらしを「ちょい」っとする場面が好きで(第6話『ムームーと炊飯器』)。あれはすごくイメージしやすかったです。
小桜:「よいよいよい」ってところだよね!(笑)。
梶原:そうですそうです。あのシーンは、実はひとりで抜き録りだったんですよね。自分としては「分かる」という感じでした。まわりに猫を飼っている人が結構いるんですけど、僕は嫌がられてもめげずに寄っていくタイプで……。
小桜:ああ、でも猫ってそういうの嫌がらない?
梶原:そうなんです! でも、それも良い! 抱っこしたときに(脚で)突っ張られるのも好きです(笑)。
小桜:あはははは、それが良いんだ!
梶原:そうなんです(笑)。だから、あの場面はめちゃくちゃ解像度高く演じられたと思います。ボールペンを持って「よいよいよい」ってやってましたね。すごく楽しい収録が続いています。
──さきほど日比さんからも和やかな現場というお話がありましたね。
春海:木内さんがきゅうりを食べながら収録されていたこともありましたよね。
小桜:あったね!(笑) 天空橋がきゅうりを食べながら喋るシーンがあって、スタジオにもきゅうりがあったんですよ。というのも、木内さんがきゅうりを買ってきていたんですね。夏でしたし、特に不思議に思わず「味噌つけて食べると美味しいですよね」「いやいや、食べながら喋るから」って。内心「役者ならできるだろ!」なんて思っていたんですけども(笑)、実際にきゅうり食べてアフレコしたら、次の台詞までに飲み込めず、結局きゅうりNGになったという。
一同:(笑)
小桜:その後、スタジオの隅にお供え物みたいに置かれてました(笑)。でもその後、みんなできゅうりをおいしくいただきました。木内さんが買ってこられたのかわからないのですが、お味噌もおいてあったんですよね。それが美味しくて。きゅうり祭りが開催されていましたよ。
春海:美味しかったです(笑)。
梶原:お味噌汁を飲んだこともありましたよね。収録がはじまったのは(昨年の)暑い時期だったんです。2クール目はきっと寒い時期に入るかと思うのですが、先日のアフレコで、ちょっと寒い日があって。
小桜:あったあった(笑)。で、寒いからって味噌汁を飲みすぎて、その翌週はお白湯をみんなで飲むっていう……。
春海:ありましたね(笑)。お味噌汁、美味しかったです。
──健康的(笑)。めちゃくちゃ良い現場ですね。自由といいますか。
小桜:そうなんですよ。それと、やっぱり作品的に、猫のお菓子もよく差し入れで見ましたね。クッキーとか、猫の最中とか。
梶原:この作品の収録が始まってから、猫グッズがやたら目に入るようになりました。「これ『ムームー』の現場に持っていこう!」って思って猫のお菓子を買ったんですよ。……でも、毎回スタジオに持ってくるのを忘れちゃって(苦笑)。
小桜:当日になると忘れちゃうことってあるよねえ。賞味期限がちょっと過ぎてても大丈夫ですよ(笑)。
梶原:いや、過ぎてないのを持ってきます!(笑)
今だからこそ明かせるアフレコ秘話
──他にもこのタイミングだからこそ話せる、第1期の現場エピソードがあれば、ぜひ教えて下さい。
小桜:木内さんが、ついにメガネをかけるようになりました!
梶原:ああ、セリフ量が多いですもんね。
小桜:そうそう、私は木内さんとほぼ同じ歳なのであれなんですが、“ろうの、がん”が入っているんですよ。まあ、つまりは老眼なんですけども(笑)。きっと他の作品だと問題なく読めるんでしょうけど、天空橋のセリフは量が多い上に、難しい漢字も多くて。ある日「もう無理だ!」って言って、100均で老眼用のめがねを買ってきたんですよ。それで「読める! 俺、読める!!」って感動してて(笑)。それでNGも減ってましたよね。あんなにメガネってすごいんだなと……(笑)。あと私事なんですけど……収録中に背が伸びました!
梶原:えっ、そうだったんですか。
小桜:気づいてないでしょ?(笑) 『ムームー』の収録スタジオって、靴を脱いでマイク前に立つじゃないですか。サンダル見て「あれ?」って思って(笑)。私は148cmくらいで小さいので、そのせいで、わたし専用のマイクが出来てしまって。男性陣は背の高い人が多いんですよね。見るに見かねた女性スタッフさんから「小桜さん用です」と、プレゼントしてくれて。
梶原:へえええ〜! すごくいい話、プレゼントだったんですね。
小桜:それで、どのマイクにも入れるようになったんですよね。履いてみると「わ、景色が違う!」って。木内さんのメガネと、私のサンダルは同じくらい革命的でした(笑)。どうでもいい話ですけど……ってこんな話で大丈夫ですか。
──いやいや、嬉しいです。小桜さんのお人柄も伝わってきます。
春海:私、本当にそういう温かな小桜さんのお人柄が大好きで。第10話の収録で、小桜さんがお休みだったんです。
小桜:ああ。そうそう、体調崩しちゃって。
春海:ずっとふたりだけでマイクに立つシーンが多かったので、その日、寂しかったんです。小桜さんがいないだけで、マイク前が広く感じてしまって。もうまるで太陽がいないみたいな……。ムームーの映像を見ているだけでも、小桜さんの声が聴こえてくるんですよね。
小桜:精神的支柱になってたんだ、うれしい。ありがとうございます……!
梶原:それで言うと僕は、ムームーのアドリブが本当に好きで。変な動きとか「うー」「なーっ」っていう声とか、かわいくて(笑)。
小桜:わあ、ありがとう。嬉しい(笑)。あ、あとそういえば私、モノマネをするシーンがあって……!
春海:ありましたね!
小桜:全然似ていないんですけども、「こんな感じで〜」ってモノマネでディレクションをいただいたんですね。それである方のモノマネを……でもうまく行かなくて、加瀬くんが見本をやってくれたりしたんです。男性陣はやりたがるんですよ。
梶原:分かります(笑)。
小桜:もうあちこちでそのモノマネをみんながやりだして。で、何回かやってたんですけど、私はできなくて……もう最後のほうは自分のほうが笑ってしまいました(笑)。まあ、使われたかは分からないですけども……。
──日比さんもお気に入りのシーンはありましたか?
日比:文化祭で鮫洲が部長と大喧嘩するシーンが大好きなんです。(第13話『桜子と文化祭』)原作読んだときから「あ、ここやりたい!」って思ってて。いざアニメで演じられたときは、「やっと天空橋と対マン張れるんだ!」って気合いが入りました(笑)。
一同:(笑)
小桜:あの回は日比さんの“ミュージカル”もありますからね。“鮫洲ミュージカル”。
日比:そうなんです! 思いっきりやらせてもらいました! 収録の2日前に「こんな感じでアカペラでお願いします」って資料が届いて……。
梶原:あれ、資料があったんですね(笑)。
日比:それを軽く譜面起こしをして……。
小桜:そこまでやっていたとは(笑)。すごい!
日比:でも結局、本番では男性パート、女性パートでキーが変わってしまったんですけど。でもすっごく楽しかったです。
春海:すごい! 私もあのシーンが大好きで。監督に「もう1回やってもらえますか?」とディレクションがあったときに、「もう一回聴けるんだ!」と思って嬉しくて(笑)。つい「アンコール!」って。
日比:(笑)。「薄暗い」発言の追加やディレクションが入ると、だいたい後ろで、加瀬さんと木内さんが後ろで「また言ってるよ(笑)」「情緒大丈夫?」とコソコソ言ってるんですよ(笑)。もう恥ずかしくって。でもそれもまた楽しかったです。
春海さんの回答に「人生2周目?」と梶原さん
──せっかくの機会なので、お互いに聞いてみたいことはありますか?
春海:私はもっとできることを増やして、役の幅も広げたいなと思っているんです。どうしたらよりいろいろな表現ができるようになるんだろうって。
小桜:ああ、なるほど。私の場合、明確に転機になった作品があって。それが『妖怪ウォッチ』なんです。あの作品では、ひとりの役者が何役も兼ねていて。私自身、ジバニャン以外にもいろいろな役を演じていたんです。ただ、同じ人なのでやっぱり声が似てきてしまう。どうしようと思ったときに、それこそ「モノマネだ!」と思って。それでモノマネ芸人さんの、山本高広さんを意識して……。
梶原:実は僕も山本さんが好きで、よく見ています(笑)。
小桜:アニメのキャラクターに活かすこともあるの?
梶原:いや、好きなだけなので、それを見て(ネタを)溜めています。
小桜:そうだったのか(笑)。でもモノマネってすごく良いなって思うんだよね。そこから派生させてキャラが作れるから、意外と引き出しになるんです。このキャリアでこんなこと言うのもお恥ずかしいんですけども“声を作る”って私はよくわからないところがあったんです。でも、その時にちょっと掴めた感じがしました。
意外と作ってみたキャラクターにも、そこに魂や気持ちがついていくことがあるんだなって気づいて。だから春海さんも、「遊ぶ気持ち」でいろいろ試してみると、自然と引き出しが広がるかもしれません。ただ、今はまだそこを意識しなくてもいいかもしれないけども。
春海:ありがとうございます! やってみたいと思います!
日比:私もうかがいたいです! 私自身新人かつあまりにも人見知りすぎて、自分から話しかけられなかったり、空気に溶け込みすぎて何も話せなかったりすることがあるんです。自分から話しかけていくメンタリティって何かありますか?
小桜:それはもしかしたら春海さんが答えられるかもしれないね。
春海:なんだろう……人間って何十億人もいるし、声優さんもいろいろな現場で人と毎日会っていると思うので、きっと私のことなんて忘れてしまうだろうなって。そういうことを考えると、おどおどしていると忘れられちゃうのかもしれないし、話しかけて「調子に乗ってるな」って思うような人はいないだろうし。だったら堂々としてた方がいいって思っています。それで覚えてもらったらラッキーかな?って。
梶原:すごい考え方だ。人生2周目……?
日比:すごく良いことを聞いた。
小桜:そうか、堂々としているのはそういう理由からなんだね。男性陣もやっぱりそういうことは意識するの?
梶原:どうなんでしょう……僕も空気を読みすぎちゃったり、周りを見すぎてしまったりで話しかけたいのに話しかけられないタイプです。知ってる人がいると一気に話せるんですけど、初対面だと「今話していいのかな……」って考えちゃって。自分が出しゃばって嫌な空気になってしまったらどうしようとか。どちらかと言ったら、嫌な記憶に残りたくないって思ってしまうタイプなんですよね。だから物怖じしてしまうかもしれません。
小桜:ああ、なるほど。
梶原:ただ、『ムームー』の現場は木内さん、加瀬さん、熊谷くんなど、いつも喋ってくださる方がいるので話しやすく、すごく居心地がいいです。
小桜:うんうん。木内さんが周りを見るタイプだし、みんな優しいしね。
春海:そうなんです! さらに、小桜さんもいてくださり、本当に温かな現場で。
小桜:いやいや。私、体力が本当になくて……。前半は頑張れるけど、後半はもうヘトヘト。私は男の人をやっているイメージで、(ムームーを)演じているので、お腹から声を出しているんですね。つまり結構な力がいるんです。腹筋もないので途中から体力温存という形になっています。そういう時に、春海さんがユーモアあふれる発言をしてくれたり、木内さんが盛り上げてくれたりするので、みんなに助けてもらっています。すっごくいい現場だと思います。バランスがいいんですよね。
梶原:分かります。
──では最後に、視聴者に向けてメッセージをお願いします。
日比:1期で鮫洲が突然たこ焼きパーティに乱入してきた回(第8話「ムームーとコンセント」)もありましたけど、結局すぐに鮫洲は帰ってしまったんですよね。2期以降は、人類再生研究会のメンバーと仲良くなれるといいな、って鮫洲目線では期待しています。
春海:1期の前半だと桜子はムームーに翻弄されてる部分も多かったんですけど、お話が進んでいくにつれて「このふたりはお互いのいちばんの味方になってるな」って感じる瞬間がたくさんあって。
猫……いや、宇宙人?と人間の関係性というか、そういう“親密度”がどんどん上がっていく変化がすごく良いなと思っていたんです。一方で、アキヒロも最初は省エネ系で何にも興味なさそうだったのに、だんだん桜子に対しても変化が。
梶原:そうですね、ほっぺたを赤くしていましたから(笑)。
春海:そういった一面も見えてきて。そして、さらに桜子は鮫洲とも友だちになっていって。そういった変化を楽しみにしていただきたいです。
小桜:刮目せよ、と。
梶原:ですね!
【インタビュー・逆井マリ 撮影・編集:鳥谷部宏平】
『宇宙人ムームー』音楽フェスティバル開催!
ムームー役の小桜エツコさん、桜子役の春海百乃さんに加え、音楽で作品を彩った「栗コーダーカルテット」から栗原正己さん、川口義之さんが登場!
ここでしか聴けないスペシャルな音楽演奏や歌唱、そして制作秘話トークをお楽しみいただけます。さらにイベントの最後には、ムームーとの写真撮影タイムも用意!
『宇宙人ムームー』の聖地・町田市 ぽっぽ町田で開催!
【開催日時】
2025年9月21日(日) 1回目 14:00開演 / 2回目 16:00開演
【開催場所】
〒194-0013
東京都町田市原町田4丁目10−20 ぽっぽ町田屋外広場
【出演】
小桜エツコ、春海百乃
栗原正巳(栗コーダーカルテット)、川口義之(栗コーダーカルテット)
詳細は公式サイトをチェック!