2024-25年 冬のおすすめ展覧会 ベスト10 ― 全国版 ― [12月・1月・2月]
秋の訪れとともに、心を彩る芸術の季節がやってきました。今年も全国各地で、多彩な展覧会が開催され、アートファンの期待を集めています。芸術の秋を満喫しに出かけましょう。東京版はこちらです。
クレーの世界を再発見
愛知県美術館では、「パウル・クレー展」を開催。パウル・クレー(1879-1940)は、詩的で物語性のある抽象画を描いたスイスの画家。表現主義やシュルレアリスムなどの同時代の運動とどう関わったのか、クレーと交流のあった作家たちの作品と比較しながら、創造の軌跡をたどります
愛知県美術館「パウル・クレー展 ── 創造をめぐる星座」
横浜美術館が帰ってくる
2025年2月8日、横浜美術館は全館オープンを迎えます。「横浜美術館リニューアルオープン記念展 おかえり、ヨコハマ」では、セザンヌ、ピカソ、マグリットや奈良美智などの名品が久しぶりに勢揃い。また、「横浜」をキーワードに絵画や写真、工芸、映像などの作品を深掘りしていきます。会場内には、子どもも一緒に作品を楽しめる展示も展開される予定です。
江戸っ子アートのラスボス・国芳
大阪中之島美術館では、斬新でユーモア溢れる作品で浮世絵の歴史を塗り替え、現代にも通じるデザインセンスで国内外に人気の歌川国芳(1797–1861)の大規模な展覧会を開催。武者絵や戯画を含む約400点の浮世絵版画や貴重な肉筆画から、国芳の魅力を幅広く紹介。「歌川国芳展 ―奇才絵師の魔力」は12月21日から。
大阪中之島美術館「歌川国芳展 ―奇才絵師の魔力」
福岡に押し寄せる、日本各地の「はにわ」
開館20周年を迎える九州国立博物館では、特別展「はにわ」を開催。今から約1750年前に始まった古墳時代。大きなお墓をにぎやかに飾った人や動物、船や家などはにわ。東京、千葉、奈良、群馬、シアトルから博多に5体〈挂甲の武人〉も集まります。
九州国立博物館 特別展「はにわ」
19世紀フランスに誘うロートレックの作品世界
長野県の松本市美術館では、「ロートレック展 時をつかむ線」が巡回します。パリのモンマルトルで歌手や芸人、娼婦を描いて一世を風靡したアンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック(1864-1901)。ポスターを中心に、雑誌や書籍の挿絵など、フィロス・コレクションから約240点が初来日します。
松本市美術館「ロートレック展 時をつかむ線」
さまざまな“名刀”集めました
「名刀」の言葉から、どんな刀を連想しますか?静岡県・佐野美術館では、主役級の名刀から、脇役になることが多い刀装具まで、魅力的な作品をズラリと並べてご紹介。刀剣愛好家も刀剣を初めて見る方も楽しむことができる「名刀ズラリ」は1月7日から。
佐野美術館「名刀ズラリ」
蜷川実花、関西初の大規模展
写真家・映画監督として活躍する蜷川実花。日常の中にある儚い美しさを永遠の存在として昇華した蜷川の作品の数々が、京都市京セラ美術館を埋め尽くします。蜷川実花展 with EiM:彼岸の光、此岸の影は1月11日から。
京都市京セラ美術館「蜷川実花展 with EiM:彼岸の光、此岸の影」
黒田辰秋による美、技の極み
京都を拠点に活躍した漆芸家、木工家の黒田辰秋(1904-1982)。図案制作、素地作りから加飾までを一貫して自身で行い、独自の創作世界を切り開いた黒田。初期から晩年までの代表作を紹介する「生誕120年 人間国宝 黒田辰秋―木と漆と螺鈿の旅―」が12月17日から、京都国立近代美術館にて開催されます。
京都国立近代美術館「生誕120年 人間国宝 黒田辰秋―木と漆と螺鈿の旅―」
メキシコ美術を再発見
戦後、1950年代に展覧会や雑誌を通じて盛んに紹介されたメキシコ美術。埼玉県立近代美術館で開催される「メキシコへのまなざし」では、鮮やかな色彩や古代文明や革命の歴史と結びついた力強い造形を表現した作品が並びます。
玉山拓郎が生み出す未知なる領域
立体的な造形や光、映像、音を組み合わせたインスタレーションを展開し、現在最も注目を集める作家の一人、玉山拓郎。2025年1月18日から開催される「玉山拓郎」展での作品は、ただ1つのインスタレーションのみ。豊田市美術館の展示空間に、建築とも構造物とも立体作品ともつかない巨大な物体を貫入させ、未知なる領域(territory)を作り出します。