「高2のころから大麻…」20歳 男性被告 〝日常で手に入る〟薬物の浸透の怖さ
この夏に開廷された刑事裁判。
夏休みということもあり、子ども達や学生で傍聴席は埋まっていた。ニュースにはおそらく取り上げられていない事件。20歳の男が交際相手と大麻を使用するために所持していたというものだ。
20歳の被告 時折笑顔も…事実については争わない姿勢
被告は20歳というだけあってとても若々しい。黒のTシャツと黒のスエット。髪はツーブロックのマッシュでTシャツの左腕からは和柄のタトゥーがのぞいている。
すでに保釈されていて、証人席で母と笑顔を見せる場面もあった。
検察の起訴内容について、事実と認め、弁護人も公訴事実を争わないと話した。
被告は交際相手から「違法薬物を使用したい」と言われ、同日、売人と会い、大麻を入手。交際相手の姉の自宅で大麻を使用し、警察による捜索差押えで大麻風たばこが押収されたという。
検察:被告は交際相手から「LSDを摂取して映画を見たい」と言われ「LSDはやめよう」「大麻とお酒」と言って買えるところを探し、4000円で買えることになった
若者にとってカジュアルに手に入るものなのか…薬物の若年齢化
…買いたいと思ったら当日に買えてしまう大麻。札幌で若者たちに蔓延しているのだろうか。おそろしさを少しずつ感じてきた。
弁護:大麻を吸うようになったのは
被告:高校2年生くらいです
弁護:きっかけは?
被告:周りの友達です
弁護:どんなときに吸うのですか?
被告:友達と遊ぶ時です
弁護:今年は頻繁に使っていましたか?
被告:月1回くらいです
弁護:大麻を吸うとどんな気持ちになりますか?
被告:楽しくなります
弁護:一人で使うことは?
被告:いままで1回もないです
…高校生時代から身近な存在だった大麻。しかし、一人で楽しむというよりは友人や恋人と一緒に遊ぶためのものだったと話す。
そして検察が入手相手について聞くが…
検察:(大麻の)売人は友達?
被告:はい
検察:入手した友達と連絡は?
被告:もともと連絡もそのとき(大麻を購入するとき)しか連絡とらないので
検察:友人だけど買うときだけ?
被告:連絡手段がないので
友人なのに、自分からは連絡が取れない…それは友人と言えるのだろうか。
続いて裁判官が質問した
裁判官:彼女とは?
被告:もう別れています
裁判官:仕事は何をしていますか?
被告:荷下ろしです
裁判官:収入はどれくらいですか?
被告:10万ちょっとくらいじゃないですか
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被告人質問が終わり、検察からの求刑は懲役6か月。
一方、弁護側は真摯な反省をしていて、初めての逮捕ということを考慮して執行猶予付きの判決を求めた。
裁判官からの「最後に言っておきたいことは?」の問いかけに被告は「今回反省しました 今回はすみませんでした」と頭を下げた。
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そしておよそ2週間に迎えた判決の日。
被告は同じく黒のTシャツと黒のスエット。髪は少し分けてさっぱりとした様子で座っていた。
裁判官「懲役6か月 執行猶予2年」
裁判官は判決言い渡しの後、執行猶予の制度について丁寧に説明していた。本来であれば服役してもらうべき犯罪なんですよ、これから2年間犯罪を犯すようなことをしてはいけないんですよ…と。
常習化しやすいともいわれる薬物犯罪。若者たちが再び罪を犯すことがないよう、執行猶予について説明することはよくあることなのかもしれない。
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被告は大きくのびをしながら、弁護人ともに裁判所の建物を出た。
そして、正門を出たところで2人は互いに会釈をして別れた。被告は別れてすぐに煙草に火をつけて、スマートフォンで何かメッセージを書いていた。
その数分後、裁判所を背に道路を横断し、オータムフェストが開催されているにぎやかな大通公園に消えていった。