ピックアッププレーヤー サッカー女子 柳ケ浦の司令塔・田淵聖那(2年)、新チームをけん引する覚悟 【大分県】
昨年は高校女子サッカーの主要大会となる全国高校総体、国民スポーツ大会、全日本高校選手権に出場した柳ケ浦の田淵聖那(2年)。新チームではキャプテンを担う。ポジションは試合をコントロールするボランチ。中盤の底から長短のパスを織り交ぜて試合を組み立てる役割を果たしている。
林和志監督は「田淵にはボールを失わない能力があり、攻撃のスイッチを入れる重要な役割がある。今年のチームは彼女を中心に構築していく予定だ。ただ、もっと積極的にボールに関わり、コーチングを通してチーム全体を引っ張ってほしい」と期待を寄せる。
新チームの船出となった県高校新人大会では、7年連続優勝を手にしたものの、内容としては不完全燃焼に終わった。年末年始の全日本高校選手権に出場した影響でチーム結成が1月初旬と遅れ、準備不足が浮き彫りとなった。「短い準備期間で攻撃の組み立て(ビルドアップ)に取り組んできたが、プレーの連続性が途切れることが多く、思うように成果を発揮できなかった」と田淵は試合を振り返る。その言葉には、自らの責任を重く受け止める姿勢が見える。
それでも、後半は前線からの守備でリズムをつくり出した。田淵も運動量を増やし、セカンドボールを拾い、相手の守備ラインを切り裂く縦パスやサイド展開を駆使して、攻守両面で存在感を発揮した。「すべてのボールに関わるプレーを目指している。逆サイドへの展開や縦パスを通して得点につなげたい」と力強く語る。
新チームのキャプテンとなった田淵聖那
今年の柳ケ浦はスピード、突破力、高さとパワー、そして高い技術力を備えた個性豊かな選手たちが集まる。「いろいろなタイプの選手がいて、とても楽しいチーム」と田淵は語る。その個性を生かし、束ねる役割を担うのがキャプテンである田淵だ。言葉ではなくプレーで、背中を見せて引っ張る田淵に対し、林監督は「全力を尽くしてチーム全体を引っ張ってほしい」とさらなる飛躍を期待する。
柳ケ浦は、2023年末から24年にかけて開かれた第32回全日本高校選手権と、昨年の全国高校総体でいずれも過去最高の3位という成績を残した。しかし、田淵の目はさらに高みを見据えている。「今年はそれ以上の成績を目指す」と、日本一への思いは揺るがない。
15日から始まる九州高校新人大会では、強豪校との対戦を心待ちにしている。「今のままでは勝てない。個人としてもチームとしても技術のレベルを上げ、一戦必勝で戦う」と、田淵の瞳には闘志が宿る。キャプテンとして、プレーヤーとして、田淵聖那は仲間と共に新たな歴史を築くべく挑戦を続ける。
日本一への思いは揺るがない
(柚野真也)