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マイケルの次はオレだ!プリンス「パープル・レイン」全米アルバムチャート24週連続1位!

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1984年06月26日 プリンスのアルバム「パープル・レイン」発売日

リリース40周年!プリンスの大出世作「パープル・レイン」


1980年代に台頭した3大スーパースターといえば、マイケル・ジャクソン、マドンナ、そしてプリンスということで異論をはさむ余地はないだろう。まあ1970年代からスターの階段を上っていたマイケル・ジャクソンを除外するならば、そこにホィットニー・ヒューストンが入ってくるのかな。いずれにしろマドンナとプリンスが、1980年代前半から世界に台頭した男女スーパースターの双璧であることは間違いない。このふたりによる1980年代におけるヒットソングの数は驚くほど多いし、いわゆる “80年代洋楽” の象徴的・印象的なヒット作品を多数残しているといえよう。

今年2024年はプリンスにとっての大出世作にして最大セールスを記録したアルバム『パープル・レイン』リリースからちょうど40周年の年となる。1978年デビューのプリンスは5枚目のアルバム『1999』(1982年)が一般層に訴求した出世作ではあったが、世界の万人が知るメガヒットを複数輩出し、プリンス史上最大セールスとなった『パープル・レイン』こそが彼の生涯における代表作であることは間違いない。

自伝的映画「パープル・レイン」のサントラ盤という意味でも歴史的名作


プリンス自らが主演した自伝的映画『パープル・レイン』の同名サントラの意味合いを含んではいるが、もちろんプリンス(&ザ・レヴォリューション)のアルバム=6枚目のオリジナルアルバムという立ち位置にある作品。米ビルボードのアルバムチャート24週1位を筆頭に、ヨーロッパ各国でも軒並みトップ10入りを記録、1980年代を通して本国アメリカだけで1000万枚超、ワールドワイドでおよそ2000万超のセールスを叩き出した。

4大レジェンドの中では(1億枚超という突出セールスを記録した)マイケル・ジャクソン『スリラー』(1982年)を除けば、ホィットニー・ヒューストン『Ⅰ』(そよ風の贈りもの / 1985年)及び『Ⅱ』(ホイットニーⅡ〜すてきなSomebody / 1987年)にも匹敵する、歴史に残る超メガセールスとなった『パープル・レイン』。サントラという括りでも1970年代以降の作品では、『ボディガード』(1992年)、『サタデー・ナイト・フィーバー』(1977年)、『グリース』(1978年)、『ダーティ・ダンシング』(1987年)、『タイタニック』(1997年)等に次ぐセールス。アーティスト単体のサントラという意味ではピンク・フロイド『ザ・ウォール』(1980年)とも並び評される歴史的名作となっている。

認知度、共感度は限りなく100%に近いシングルヒット


『パープル・レイン』から生まれたシングルヒットは計5曲、同時期のメガセールス・アルバム、マイケル・ジャクソン『スリラー』(7曲すべてトップ10入り)やブルース・スプリングスティーン『ボーン・イン・ザ・U.S.A.』(1984年 / 同じく7曲すべてトップ10入り)と比べるとシングル数は少ないが、1980年代を象徴するようなヒット濃度はいずれも高かった作品がずらりと並ぶ。

彼のルーツたる1960~1970年代ファンクを踏襲した哲学的クールチューン「ビートに抱かれて」(When Doves Cry)(全米シングルチャート1位)、ソウルミュージック以前のロックンロールをマジメに継承した「レッツ・ゴー・クレイジー」(同1位)、ローリングストーン誌の各アンケートランキングで常に上位をキープ、プリンス歴代レパートリーの中でも1、2を争う人気曲「パープル・レイン」(同2位)、サイケファンクを換骨奪胎したスペイシーなポップソウル「ダイ・フォー・ユー」(同8位)、アポロニアを迎えた万人向け態勢なミネアポリス・ファンク「テイク・ミー・ウィズ・ユー」(同25位)…

特に頭3曲においては、当時青春時代を過ごした50代からアラカン世代以外でさえも、認知度、共感度は限りなく100%に近いのではないだろうか。

連綿と継承されるソウルミュージック~ファンクを基盤としたプリンスの音楽性


アルバム『パープル・レイン』がプリンスにとって、世界に轟くスーパースターの座につく直接的なきっかけとなった作品になったのは紛れもない事実だ。前作『1999』のブレイクが、プリンス本人に “次作こそはスーパースターへの足掛かりになるターニングポイントになる” という確信を抱かせたのは間違いないだろう。1980年代に入ってマイケル・ジャクソンが『オフ・ザ・ウォール』で、さらには『スリラー』で超スーパースターへの階段を駆け上っていくのを目の当たりにして、自分の才能に確たる自信を持つプリンスが “次はオレだ!” とばかりに取り組んだのが『パープル・レイン』だった。

もちろんプリンスの音楽性は、連綿と継承されるソウルミュージック~ファンクを基盤としているのは明らかだが、本アルバムでは過去作にあったアバンギャルドさを希薄にして、既存のソウル、ファンクはもとよりオーソドックスなゴスペル、ロック、カントリー、グラム、ヒップホップ等々をごちゃまぜにしてプリンス流ポップに昇華させることに腐心していたようだ。

様々なエポックメイキングな流れが「パープル・レイン」を良い方向へと向かわせた


制作時20代半ばに差し掛かろうかという年齢で前向きな志と若さがあふれていた時期だったというのも功を奏していただろうし、ニューウェーブという “産業革命” を経てポストディスコ期に突入したことも追い風に、さらには、従来のソウル歌唱から逸脱したブラックミュージック全般が、ブラックコンテンポラリーの潮流に飲み込まれていったこと、そして80年代ファンクがグラデーションのようにデジタルファンクへと移行していった時期だったこと等々、大衆音楽における様々なエポックメイキングな流れが『パープル・レイン』を良い方向へと向かわせたことも、見逃せない重要なポイントだった。

生き馬の目を抜くかのようなサウンドプロデューサーが群雄割拠の様相を呈し、日々変化を余儀なくされた1980年代の大衆音楽シーンにおいて、自己の音楽ポリシーを貫きながらコンテンポラリー感満載な万人に訴求するポピュラリティを同居させることを実現したアルバムである『パープル・レイン』は1984年という時代が生んだ、奇跡的な作品に思えて仕方がない。

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