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「タサン家の食卓」とは?――タサン志麻『きょうの料理 おしえて志麻さん! お助けレシピ100』11万部突破記念イベントレポート(前編)

NHK出版デジタルマガジン

「タサン家の食卓」とは?――タサン志麻『きょうの料理 おしえて志麻さん! お助けレシピ100』11万部突破記念イベントレポート(前編)

『きょうの料理 おしえて志麻さん! お助けレシピ100』の発行部数11万部突破を記念して、タサン志麻さんのトークイベントが二子玉川 蔦屋家電にて開催されました。イベントレポート前編では、当日お話いただいた「タサン家の食卓」で大切にしていることをご紹介します。

志麻さんの食卓のルール

――お子さんたちが小さい中で、志麻さんが食卓の中で大切にしていることを教えてください。

とにかく会話を楽しむ

 私が一番大切にしていることは、どうして私がフランス料理が大好きかということと通じるんですけど、フランス料理って高級なイメージがあるじゃないですか。少しかしこまった雰囲気があると思うんですけど、現地でフランス料理の世界に一歩踏み込んだときに、こんなに素晴らしい料理があるのかと(思ったんです)。レストランの料理と家庭料理はまったく別物なんですね。日本もそうだと思うんですけど。家庭で食べているものが本当にシンプルで、簡単だし、おいしいし。
 あと、フランス人たちの食事に対する考え方が大好きだったんです。重心がどっちにおかれているか。食事というと「つくる」方に意識がいくことが多いと思うんですけど、フランス人は「食べる」方に意識がいっている。食べている時間がすごく長いんですよ、1時間とかざらで。家族でも、友人でも。友人が入ってくると、一日かけて食事しているんで(笑)長いんです。食べることだけが目的なんじゃなくて、人と交流する、人と話す、理解をする、そういう場所が食事をするところ。私はそういう文化がすごくいいなって思ったんですよね。
 食事って、何が大切かって「話して理解すること」。そういう意味ではとにかく家族で大切にしているのは会話することです。

いつもにぎやかな「タサン家の食卓」

基本は大皿や鍋ごと!

 食事の出し方も、一品一品盛るっていう日本スタイルがある中で、うちでは鍋でドーンと出して、子どもにちゃんと取り分けさせる。今日の気分で食べたいものを自分で決めて、自分の意志で食べるものを選んで、食べさせます。そうするとそこで会話も生まれるし、子どもも食に興味を持つ。今日は何だろうって自分で取り分けるわけですから、料理に何が入ってるとか考えるんですよね。
 そうして、子どもたちと食べた後に、どう思った?おいしかった?とか、学校ではどんなことがあった?とか、最近はゲームのように一人ずつ今日あったことを発表しよう!とか。フランス語の勉強にもなるのでフランス語で(話そう)、みたいな感じでやっていて。子どもが学校でお友だちがケンカしてねっていう話があれば、じゃあどうしたらよかったかな?とか、自分だったらどうする?って質問しながら家族でたくさん会話をするっていうことを一番心がけてますかね。

 だからUber Eatsでもいいんですよね。その分時間をかけて家族と食事を楽しんでますっていうのは自信を持って言えるので、これからもそういう食事をしていきたいし、そういう人がもっともっと増えたらきっと家族ともっと分かりあえたりとか、食卓を囲んだお友だちと分かりあえたりとか……社会に出て、自分の意見をちゃんと口に出して言える大人になれたり、そういうことにつながっていくんじゃないかなという風に思っています。

盛りつけなくていいから楽だし、洗い物が少ないのもうれしい

タサン志麻(たさん・しま)

大阪あべの・辻󠄀調理師専門学校、同グループ・フランス校を卒業し、有名レストランでの研修を修了。帰国して老舗フレンチレストランなどで15年間勤務したのち、結婚を機に「素朴で温かいフランスの家庭料理の魅力を伝えたい」とフリーランスの家政婦に転身。家族構成や好みに応じた料理が話題を呼び、「予約のとれない伝説の家政婦」としてメディアで注目を集める。

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