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詩森ろば作・演出、内田慈出演 「性的合意」を描く、serial number12『Yes Means Yes』の上演が決定

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(左から)詩森ろば、内田慈

2025年1月10日(金)~1月20日(月)下北沢ザ・スズナリにて、serial number12『Yes Means Yes』が上演されることが決定した。

2018年スウェーデンで、「性的合意」のない性行為を禁じた世界初の法律「Yes Means Yes法」が施行された。しかし日本では、レイプなど悪質な性加害においてさえ、被害者側が泣き寝入りせざるえない現状がある。Yesと言えば奔放と言われ、Noと言うための教育も受けていない。本作品は、そんな過酷な日本の女性の状況を解像度高く描きながら、ひとりの女性が、自分にとって望ましい性のあり方を模索する姿を通じ、「Yes Means Yes」の真の意味を問いかける。この女性を舞台・映像で活躍中の内田慈が演じ、それ以外のすべての役を男性キャストが演じることで、女性の孤独を浮き彫りにすると同時に、仄かな可能性を提示する。作・演出は詩森ろば。

内田慈



【ものがたり】
楠見佳恵は結婚5年目。DINKSで子供はいない。
佳恵は大学生の頃に性によって傷ついた体験をもっており、それがその後の人生も深く阻害している。夫ともその点であまりうまくいっていない。
ある時期からできるかぎり避けていたがある夜、業を煮やした夫によって、不本意な性交渉を持つことになり、精神的に追い詰められる。
物語は、佳恵のここまでの人生を語るモノローグを縦軸として、男たちとの記憶のドラマ、現在の夫との生活、精神科でのカウンセリング、弁護士との面談、女友達にも理解してもらえない状況など追い詰められていく佳恵の心を丁寧に追う。
イエスと言えば性に奔放と思われ、ノーと言っても拒否と思ってもらえない。日本の女性が抱える性的合意に関する現状が浮かび上がる。
ある日、佳恵は、やはり性によって傷ついた年下の男と出会う。
彼との会話によって少しづつ回復していく佳恵。
そして、佳恵は夫との対話を試みる。
詩森ろば コメント

詩森ろば

「性的合意」という言葉はわたしが20代の頃には存在しませんでした。なので当時のわたしは、不自由であることにも、侵害されていることにも、侵害したかもしれないことにも、気づきませんでした。「Yes Means Yes」「No Means No」は、これからの性のあり方で、それを無視した性行為は行ってはならないということです。スウェーデンでは「Yes Means Yes法」というものが制定され、新しい価値観に基づいた時代が始まっています。それを知ったときに、わたしは、なにか胸が苦しくなったことを覚えています。それは、昔のほうがよかったなんていうシンプルな話ではありません。取り戻せない何か、間に合わない何かを強く思い知らされると同時に、そんな世界で生きるほどの準備が日本人にあるのか、という憤りにも似た感情に揺さぶられたのです。わたしはある時期から性教育についていつかは書かないといけないと思って世界の性教育を調べているのですが、日本は先進国として圧倒的な遅れです。
「恋人から上半身ヌードの写真を送って」と言われたらどうするかをディスカッションする小学校がこの世にあるということを、子供たちが手を使ってディープキスを疑似体験できる教育施設がある国があるということを、いったいどれだけの人が知っているでしょうか。結局、何もかも丸投げの中、か弱きものたちの戦いが始まっています。わたしは書きます。孤独の中に、戦い、愛を見つけるひとりの女性の物語を。ぜひお立合いください。

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