「一番やっかい」と医師が話す“後遺症”…帯状ほう疹の予防策のあれこれを聞いてみた
加齢とともに発症リスクが高まるといわれる…『帯状ほう疹』。この4月から、65歳以上が対象の予防ワクチン定期接種が始まります。
「痛くてかゆい」
「ちくちく針に刺されたような痛み」
マチで聞いても、50代以上の方は経験者も多い様子…。
耳の後ろから首にかけて赤くはれあがり、強い痛みとともに出る発疹や水ぶくれが特徴の『帯状ほう疹』です。
加齢とともに発症リスクが高まるというこの病気に対し、札幌市をはじめ全国の自治体で新年度から、65歳以上が対象の予防ワクチン定期接種が始まります。
期待される効果は?あらためてどんな病気なのか?札幌市の専門医、桑園オリーブ皮膚科クリニックの米田明弘院長に聞きました。
そもそも、帯状ほう疹の原因は子どものころに身近なあのウイルスです。
「水ぼうそうのウイルスに一度かかったら、免疫力が低下したときにそのウイルスがぶり返して、発症するのが帯状ほう疹」
子どものころにかかった“水ぼうそう”。
その原因となる『水痘・帯状ほう疹ウイルス』は、体の中に潜み続けます。
数十年の時を経て年齢を重ね、体内の抗体や免疫力が下がるタイミングで『帯状ほう疹』として発症します。
痛くてかゆくて…発疹が出て…。かかったときの症状ももちろん大変ですが、米田院長が「やっかい」と話すのが後遺症です。
ずっと痛みが残る“後遺症”は高齢者ほど
帯状ほう疹の一番の問題点として米田明弘院長があげるのがその「後遺症」です。
「“帯状ほう疹後神経痛”といって、ずっと痛みが残る状態になるのが問題。これがやっかいです。高齢者ほど帯状ほう疹になりやすく、後遺症も残りやすい」
そんな発症や後遺症のリスクを下げるのが、予防ワクチンの接種です。
ワクチンは現在2種類あり、これまでは50歳以上が任意で受けることができました。
今年の春からは65歳以上への「補助金」がつく定期接種が始まります。
米田院長は「高齢者は予防ワクチンを打った方がいい」と話しています。
「発症リスクを抑えて、重症化のリスクも抑える。帯状ほう疹になってしまってからではどうしようもないので、予防できるものに関してはしておいた方がいい」
帯状ほう疹予防ワクチンの効果は?
予防ワクチンは「生ワクチン」と「組換えワクチン」の2種類があります。予防効果などについて、どんな違いがあるのかまとめました。
①【生ワクチン】の予防効果
・接種後1年で約60%、5年後で約40%。
・免疫抑制の治療を受けている人や妊娠中の女性は選ぶことができない。
②【組換えワクチン】の予防効果
・接種後1年で約98%。接種から10年後でも約70%と高い数字。
・2回の接種が必要となり、費用は割高。
気になる料金は…
医療機関ごとに異なりますが、取材した皮膚科では現在【生ワクチン】で8800円。
【組換えワクチン】は1回の接種が2万2000円で、2回必要なので4万4000円となっています。
ただ4月にスタートする定期接種には“補助”がありますので、実際の費用負担が、どれくらいになるかは、これから詳細が発表されることになっています。
予防ワクチン定期接種の対象者は?
全国の自治体で4月1日から『帯状ほう疹』予防ワクチンの定期接種が始まります。
対象者は、新年度に65歳になる方、つまり生年月日が、1950(昭和25)年4月2日から1961(昭和36)年4月1日までの方です。
そして新年度に70歳、75歳、80歳…といった具合に、5歳刻みで、100歳になる方までを対象としています。
そのほかにも、対象となる方がいますが、今回の5歳刻みの接種を5年続けて実施することで、現在の高齢者に行きわたらせることを想定しています。
なお、こうした取り組みが終わってからは、新しく65歳になる人が『帯状ほう疹』予防ワクチンの接種対象となります。
文:HBC報道部
編集:Sitakke編集部あい
※掲載の内容は「今日ドキッ!」放送時(2025年2月26日)の情報に基づきます。