【LIVE REPORT】脱がないAT系ーーTHE DO DO DO‘s主催イベントでアダム、LiVSが示した新しいムーブメントの火種
THE DO DO DO‘s主催によるライブイベント〈Peachy!〉が2025年3月3日(月)、東京・新宿red clothにて開催された。
新宿red clothは、THE BAWDIESをはじめ、毛皮のマリーズ、OKAMOTO’S、挫・人間ら多数のバンドを輩出してきた由緒正しきロックンロールの聖地。そんなred clothが最近、新しいムーブメントの発信地としても注目のハコとなっている。
今回の主催バンド、THE DO DO DO‘sも、その発信の中心にいるバンドの1つだ。千葉県出身の3ピースバンドである彼らの音楽を一言で表すと、THE ロックンロール。ギターウルフやキングブラザーズ直径のガレージロックを鳴らす、注目の新世代のロックンロールバンドと言える。
そんな彼らは、新宿red clothで定期的に主催イベントを開催。この日は、アダム、LiVSを迎えての3マンライブとなった。
アダム
一番手で登場したのは、アダム。SUNNY CAR WASHのヴォーカル/ギターであり、ズットユースで活動している岩崎優也が、弾き語りとして登場。THE DO DO DO‘sメンバーが高校時代に大きな影響を受け、ギターのクハラディ・クハラダが最初にギターでカバーしたのもSUNNY CAR WASHの「キルミー」だったという。アダムはソロ楽曲をはじめ、SUNNY CAR WASHの楽曲も弾き語りで披露していく。その歌詞は、世の中への反骨心もありつつ、ロマンティックで美しい。その言葉をより魅力的にしているのがアダムの歌声であり歌い方だ。儚く、強く、純真だ。1曲歌うたびに、フロアで見ていたTHE DO DO DO‘sメンバーが歓声を上げているのもまた美しい光景だった。
LiVS©伊藤洸太
続けて登場したのは、”人間最高”をコンセプトに活動を続けるアイドルグループ、LiVS。以前、LiVSメンバーがTHE DO DO DO‘sのライブを見に行ったことがきっかけで接点が生まれ、この日出演することになったという。LiVSは、アイドルではあるが、いわゆるロック楽曲をベースにしたサウンドを中心にライブハウスで叩き上げてきたグループでもある。1曲目の「Don’t Look Back」から、いつも以上にロック楽曲を中心としたセットリストで、初めて彼女たちを見る観客たちを引き込んでいった。メンバーたちも、ロックバンドさながらのシャウトや煽りをしながらも、アイドルらしい笑顔を見せ、会場を熱くした。
THE DO DO DO‘s©ごろ
そして最後に登場したのが、THE DO DO DO‘sだ。ヒノ・ヨーコ、クハラディ・クハラダ、アカリンゴスターによるベースレスの3ピースバンドである彼らの楽曲はガレージロックだが、非常にキャッチーで、ヒノ・ヨーコのメインヴォーカルとクハラディ・クハラダの男女のヴォーカルの混ざり合いもフレッシュだ。なにより、ライブで彼らは一層輝く。エレキギターをはじめてアンプを通して爆音で弾いてみたときの感動。そんなワクワクする瞬間を一瞬で再現する。その後ろでにこやかにビートを刻むアカリンゴスター。この3人のバランスもとてもよい。中でも、ハラディ・クハラダのギターソロは衝動に満ちており、何の衒いもなく「ロックンロール!」と叫ぶ姿に胸が熱くなる。前の2組が最高だったと語りつつ、そのハードルを超えていく!と宣言したとおりのロックンロールショーとなった。
ハラディ・クハラダ©ごろ
そして、この日のサプライズは、アンコールだ。THE DO DO DO‘sに加え、アダム、LiVSが一同に会し、SUNNY CAR WASHの代表曲「キルミー」をセッションしたのだ。ジャンルも世代も関係なしに、音楽を愛するという点で共通した3組の純粋なセッション。この光景はあまりに美しく、ただただ音楽は素晴らしいなと思う瞬間となった。
筆者は今年にはいり、「AT系」という記事を書いた。「AT系」とは、決まったジャンルに括られることを好まないアーティストたちのことで、ロック、パンク、ヒップホップ、エレクトロ……さまざまな要素を持ちながら、どこにも属さず、独自のスタンスを確立していること。そして、音楽制作会社ATフィールドが手がけるイベントに出演していることを、ひとつの括りとして提唱した。
そういう意味で、THE DO DO DO‘sは、ATフィールド主催の<BAYCAMP>の注目アクトとして連続して出演しているバンドだ。同じく、アダムもSUNNY CAR WASH時代から現在に至るまで出演し続けている。LiVSは出演こそないが、どこにも属さず、独自のスタンスを確立しているという点ではAT系と近しいものを感じる。
そんな3組が一同に会した本イベント。新しいムーブメントの火種を感じる一夜だったと、この一夜を目撃して実感した。
ちなみに、AT系は脱衣をするアーティストという誤解があるが、そんなことはない。誰も脱がないAT系バンドたちによる素晴らしい邂逅の夜だった。
取材&文:西澤裕郎
©ごろ
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