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矢部町・善了寺 能登の料理人招き講演 被災地の現状に「寄り添う」

タウンニュース

避難所の現状について話す冨成さん(右)(スクリーンには避難所などで作った料理の写真)

矢部町の善了寺が10月8日、石川県輪島市の日本料理「富成」の冨成寿明さんらを招いた催しを開いた。冨成さんは「大雨被害で今はボランティアが不足。受け入れ態勢も民間で整えました」として協力を呼びかけた。

「心折れそうに」

「1月の大地震からみんなで力を合わせ、ようやくこれからというところに9月の大雨で。心が折れそうでした」。そう話す冨成さんはミシュランガイド北陸2021特別版で1つ星を獲得した料理人。輪島市内の自身の店も被災し、営業再開のめどは立っていない中、避難所などでの炊き出しを続けている。

同寺はこれまでも大震災や水害の被害に遭った全国の被災地に駆けつけてきたが、1月に能登半島地震が発災してからは定期的に現地でのボランティアに携わってきた。その縁で冨成さんと出会い、今回の講演が実現したという。

成田智信住職は「悲しい時ほどご飯を食べることは大事。だからこそ食べ物なら何でもいいわけではない」と語る。

講演は同寺の仏事「報恩講」に合わせて行われ、講演会では冨成さんが写真を示しながら輪島市町野町の現状を説明。「住宅の7割は全壊で残りの3割も半壊。知人も10人以上亡くなってしまった」と明かし、「料理人の自分にできることを」と炊き出しに携わるようになったという。

コミュニティの大切さ

「日々なるべくちがうメニューに。栄養も考えて、家族の健康を考えるお母さんの代わりになれたらって」。味付けも同じものが続かないように工夫してきた。食事を取りに来た住民が野菜などの食材を持ってきてくれることもあったといい、「2000人くらいの地域でみんな親戚みたいな人ばかり。コミュニティの大切さを改めて感じた」と語った。

あり方考えるきっかけに

今後について冨成さんは「住民は地震前の半分ほどになった。人がいないと経済が回らず、能登がこれからどうなるかは分からない。だからこそ僕ら世代が何とかしないと」と話した。

主催した成田住職は「能登の震災復興は戸塚の防災を考えるうえでも重要。支援を続けながら、他人事ではなく、暮らしの姿や地域の在り方を考えるきっかけにもしないといけない」と思いを語った。

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