村尾信尚「石破政権は103万円の壁の引き上げと不要不急な支出のカットはワンセットで考えるべき」
衆院選の時に国民民主党が掲げ、今や連日各メディアで報道されている“103万円の壁”。11月12日の「くにまる食堂(文化放送)」では、関西学院大学教授の村尾信尚と野村邦丸アナウンサーが“103万円の壁”をどうすべきか語り合った。
村尾「手取りが減るから働くのを辞めようというような方が非常に多い。これが“103万円の壁”の議論をする時に重要な問題。日本はこれからどんどん労働力不足に陥っていくというのに、この壁がネックになって働かない人がいるというのは適切ではないと思います。そういう意味では壁の引き上げはもっと積極的に議論すべきです。ただ、そう思う一方で問題点は税収が減ってくる。現在103万円を超えると税金を納めなくてはならない。その分、国には税収が入ります。その壁の高さが高くなるほど国の税金は減ってくる。その際、地方も影響を受けるんですね。その分は国債、つまり借金してやればいいじゃないかという議論だけは避けてほしい。それは子どもや孫たちにツケを回すことになるので、そうであれば不要不急なものへの支出をカットしていかなくてはいけない。103万円の壁の問題と不要不急なものへの支出のカットはワンセット、壁を上げるのはいいんだけど、税収が減った分、どう対応するのかっていうことを併せて議論してほしいと思いますね」
邦丸「今、時給がアップしていますよね。時給がアップするのは本当にいいことだと思うんです。ところが時給がアップすると今まで6時間働いていたけど、あっという間に103万円超えちゃうから労働時間を5時間、4時間にせざるを得なくなります。雇い主からすると『もうちょっと働いてよ』って言うと、労働者に『だって税金が高くなっちゃう』と言われる。時給アップの問題も関わってくるんです。これから自民党、公明党、国民民主党の間で103万円の壁の議論が本格的に始まりますが、一朝一夕に済む話ではなく調整が難しいですね」