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神戸どうぶつ王国で舞台『銀牙 -流れ星 銀-』のヒントを探るーー新連載『神戸セラボ探検日誌』初回は津山晄士朗と田中幸真がおでかけ

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『神戸セラボ探検部~活動日誌~』津山晄士朗、田中幸真

神戸のまちを、神戸を拠点に活躍中の演劇ユニット・神戸セーラーボーイズがナビゲートする新連載『神戸セラボ探検日誌』。彼らが8月2日(金)〜11日(日・祝)にAiiA 2.5 Theater Kobeにて上演する、高橋よしひろによる不朽の犬漫画を原作にした定期公演vol.2 舞台『銀牙 -流れ星 銀-』にちなみ、初回は動物を間近に感じられる「神戸どうぶつ王国」へ! 向かったのは、ともに高校1年生になったばかりの津山晄士朗と田中幸真。同舞台で主役の「銀」を演じる津山と、銀のライバル「ジョン」を演じる田中が、動物たちとの触れ合いで掴んだ演技のヒントとは? 高校生らしいフレッシュな感想と共に舞台の見どころもお届けする。

神戸どうぶつ王国

イヌにネコに、かわいい動物に笑顔とろける

津山と田中がやって来たのは、今年設立10周年を迎えた神戸どうぶつ王国。約150種800頭羽の動物たちが生活する同園に初めて来園したふたりは終始興奮しっぱなし。

津山は自宅でウサギを、田中は親戚の家で歴代4匹のネコを飼っていて、家族でもよく動物園に行くほど動物が大好き。最近いつ動物園に行ったかを聞くと、どちらも「今年のゴールデンウィークに行きました!」と、嬉しそうにパンダやライオンの写真を見せてくれた。

ココ&ナッツが津山&田中をお出迎え

到着したふたりを出迎えてくれたのは、ゴールデンレトリバーの「ココ」とラブラドールレトリバーの「ナッツ」。ネコ派と断言した津山と田中だったが、ココ&ナッツに出会うと「うわ〜! かわいい〜!」と歓声を上げる。「まて」をしていた2匹が、津山がしゃがんで目線を合わせた瞬間、いっぺんに飛びついて思い切り甘える場面も。まっすぐな感情表現にメロメロになったふたりは、「イヌもかわいいですね」とすっかり虜になっていた。

マヌルネコの愛らしい親子の姿を見ようという人たちで連日大賑わい

そしていざ、園内へ! 真っ先に向かったのは、4月19日(月)に生まれたマヌルネコの子どもたちがいるブース。津山と田中は目を輝かせてマヌルネコに近寄り、とろけるような笑顔で子猫同士で転げ回って遊ぶ様子を眺める。

子猫ながら獰猛なマヌルネコ。目の前にいるレッサーパンダを目で追うハンターの姿は凛々しく、堂々たる佇まいを見てふたりは「狩りの世界や!」「百獣の王や!」とはしゃいでいた。

イヌと触れ合い、熱心に研究「大型犬の背筋が勉強になる」(田中)

レッサーパンダと目が合うほど近い

神戸どうぶつ王国は「花と動物と人とのふれあい共生パーク」をコンセプトにしていることから、野生や自然にこだわった展示場作りが特徴だ。ガラスで区切られているのは、マヌルネコやライオン、トラ、クマなど猛獣のみで、他は柵や檻がなく、動物たちとの距離が驚くほど近い。

間近でみられるハシビロコウに「よく見るやつや!」と興味津々

さらに触れあいコーナーも充実。この日、大きさも種類もさまざまなイヌたちとの触れ合いを堪能し、ニコニコの津山と田中。イヌたちが見せる表情を観察しつつ、頭や背中を優しく撫でてコミュニケーションをとったり、一緒に自撮りをしたり、同じポーズをとってみたりと、共に過ごす時間を楽しんでいた。

「改めて見てみると、やっぱり大型犬と小型犬では歩き方や身のこなしが違いますね」と感想をこぼした津山。田中はスタッフにイヌたちの動画を撮ってほしいと頼んでおり、「あとで皆に共有しようと思います」と研究熱心な一面を窺うことができた。

「ジョンのイメージにぴったり」と自分たちでも撮影をしていた

8月上演の舞台『銀牙 -流れ星 銀-』の物語は、秋田犬・銀の子犬時代からスタートする。銀を演じる津山に役作りについて聞いてみると「未熟な銀の成長を、皆さんに感じていただけるように頑張ってます」と話してくれた。一方「どちらかというと僕が演じるジョンの方が強い役です」と話す田中は、「ジョンは銀の良きライバルで狩猟犬なので、強く見せられるように背筋を伸ばして、軽やかでクールな雰囲気を意識しています」と言う。同園にいるシンリンオオカミを見た時も、その逞しい存在感に感嘆の声を上げて、役作りの参考にするためスマホで動画を撮っていた姿が印象に残る。

芝居が大好きな津山、アンサンブルキャストからアドバイスも

津山晄士朗

同公演は、2019年と2020年に舞台化した際の『銀牙 -流れ星 銀-』のスタッフが再集結することにも触れておきたい。脚本・演出の丸尾丸⼀郎(劇団鹿殺し)、振付の辻本知彦(※辻本知彦の<辻>は1点しんにょうが正式表記)、音楽の伊 真吾(OVERCOME MUSIC)が引き続き、「犬(おとこ)」たちの物語を紡ぐ。現在、膝にサポーターを付けながら稽古真っ最中という津山に聞いてみると「丸尾さんの演出は、プレッシャーはあるけど楽しみが勝っちゃってて。長い稽古時間でも全然疲れません。昨年11月の定期公演vol.1『ロミオとジュリアス』『Water me! ~我らが水を求めて~』の時もそうで、自分とは全く違う役を演じられるお芝居が好き」と笑顔で答えてくれた。

田中幸真

田中も「定期公演vol.1で演出していただいた古谷大和さんは、どちらかというとクールな方で、冷静に物事に対するアドバイスをしてくださいました。でも丸尾さんは陽気な方で、僕らと同じくらいのテンションで見ていただいていて、楽しく明るい雰囲気でお稽古しています」と続けた。

また田中は「それぞれの役のイヌらしさで演じてとおっしゃるんです。キャラやイヌの種類によって個性があるので、難しくて皆で苦戦しています。それも神戸セラボならではのセミフィクションが前提にあるので、等身大の僕たちを投影した別人格として演じるんですよ。例えばこうちゃん(津山晄士朗)の場合はこうちゃんらしさのある「摂津士郎」が「銀」を演じるとどうなるか。僕の場合だと「田中幸真」としてではなく「中田颯真」が「ジョン」を演じるとどうなるかまで考えて役作りをしています。各々の役になれるように、いっぱい研究してます」と、犬種の性格とキャラの性格、それをセミフィクションの役柄で演じる二段構えの難しさを口にしていた。

それぞれのキャラらしくポーズ!

舞台の上演が決まりふたりとも「原作をしっかり読みこみました」と気合いたっぷり。好きなキャラクターは、田中が「ベン」(演:明石侑成)、津山が2020年の舞台『銀牙 –流れ星 銀-』~牙城決戦編~で登場した「紅桜」なのだそうだ。田中は「ベンは存在感があって、漢という感じがしてカッコ良い。這い上がっていく力強さや泥臭さがあります。僕もベンの漢らしさとジョンのクールさ、どっちも持っていたいです」と語り、津山は「紅桜の自分を犠牲にして敵を倒したり、仲間を助けるところに憧れます。僕にはそんな勇気がないからカッコ良いと思います。前作で紅桜を演じられていた北代(高士)さんがゲスト出演してくださるので、ワクワクしています」とそれぞれ内面に強く惹かれたと話していた。

また先日解禁されたメインビジュアルでも、メンバーの新たな一面を見せてくれている。ビジュアル撮影をして「すごく気持ちがアガった」(田中)「ウィッグをつけた時はずっとニヤニヤしてました」(津山)のだそう。ひとりずつ撮影をしたため他のメンバーのビジュアルは完成してから見たそうだが「るきあくん(中川月碧)はヤバかったです。カッコ良い。美しい」と口を揃えていた。

今回はメンバー以外に、4名のアンサンブルも参加する。「優しい方ばかりで、イヌの動きのアドバイスをいただきました。わかりやすく教えてくださって、嬉しいし楽しいです」(津山)、「僕たちはそれぞれの役を演じる側ですけど、アンサンブルの方はメインのキャラを立ててくださる役割。すごく刺激をもらうし、学ばせてもらうことも多いです」(田中)と雰囲気良く稽古に励んでいることを教えてくれた。

クマは銀たちの天敵、でも「かわいい!」

餌を求めてぐいぐい寄ってくるカピバラに「僕たちが食べられそう(笑)」

イヌは雑食動物……ということで草食動物も観察することに。カピバラやカンガルーに餌をやりながら「こんなに近くで会うのは初めて」と言う津山。餌を求めてぐいぐい寄ってくるカピバラに「結構どっしりしてるからちょっと怖い。毛がトゲトゲですね」と緊張しながらも、次第に打ち解けていた。

「目がうるうるでかわいい!」とカンガルーと触れ合う
雨が降ってテンション高めなアンちゃん

7月で12歳になったフタコブラクダの「アンちゃん」ともご対面。一瞬で餌を食べ終わったアンちゃんに服もかじられそうになった田中だったが、すんでのところでかわしていた。「さすがに今のは怖かったです(笑)。でも、「赤カブト」に対する恐怖心に活かせそう」と目を輝かせていた。

「どれくらい大きいんかな」と観察も欠かさない

赤カブト、というのは銀たちの宿敵である凶暴なクマのこと。同園にはアメリカクロクマもいて、生で見るクマの姿に「おおお」と驚きの声を上げる。しかしアメリカクロクマは木の実を主食とすることからのんびり木の上で休む姿はどこかユーモラスで、田中は「思ったより大きいですね。かわいい!」と嬉しそうだった。

躍動感たっぷり! 鳥たちとの共演

カラフルなインコとともに

最後は、開園10周年を記念して内容がリニューアルされた「Wings~フリーフライトバードパフォーマンス」へ。広々とした草原で大きな羽を羽ばたかせ、颯爽と現れた猛禽類の姿にワクワクを隠しきれない。

あまりのカッコ良さに前のめりになるふたり

特にオナガハヤブサの狩りの姿はダイナミックで大迫力。何度も獲物にアタックし、確実に獲物を仕留めるハヤブサを気に入り、「一番カッコ良かったです!」(田中)「僕も!」(津山)「やんなぁ!」(田中)と今日一番の興奮を見せた。

見事なパフォーマンスに会場全体が大盛り上がり

さらに観客参加型の、キバタンによるパフォーマンスでは、なんと津山と田中が「元気なお兄さんたち!」と呼びこまれ参加することに! 観客の拍手に迎えられたふたりは照れくさそうにスタンバイ。ひとつめのフラフープから田中の持つフラフープにキバタンが目がけて飛んできて、結果は……見事大成功!! 弾けんばかりの笑顔で万歳をするふたりにつられて客席も万歳! 

弾けんばかりの笑顔!

小走りで戻ると完全にふたりの世界へ。「フープを通る時に、羽からの風を感じた!」と息をあげながら語り合い、等身大の学生らしく瞳をキラキラと輝かせていた。

田中幸真

神戸どうぶつ王国で遊びつくし、さまざまな動物たちとふれあった津山と田中。田中は「動物の距離がどこも近くて、いつも檻や柵の外から見ていた動物と触れ合えたので、楽しかったしかわいかったです。イヌだけでなく、他の動物も自然界の動きを見ることができて、参考になりました」と満足げ。「一番はやっぱりマヌルネコ。猫が好きなので、本当にかわいくて」と微笑んでいた。

津山晄士朗

津山は「動物の種類がたくさんいて、距離も近くて、生き生きしていて、生きてることを感じられました。一番印象に残ったのはココとナッツ。すごく積極的に甘えにきてくれて、イヌのかわいらしいところが見れて楽しかったです。イヌも大好きになりました」と笑顔で答えてくれた。

文化庁による「劇場・音楽堂等における子供舞台芸術鑑賞体験支援事業」に採択され、18歳以下の1100名を無料招待する定期公演vol.2 舞台『銀牙 -流れ星 銀-』は8月2日(金)に開幕。同世代が多く訪れるだろう公演で、この日の体験がどのように形に落とし込まれているのか、舞台での津山と田中から目が離せない。

今回の企画でまさに聖地となった神戸どうぶつ王国。舞台鑑賞後に足を運び、ふたりが食い入るように見ていた個性的な動物とともに、公演の余韻に浸ってみよう。

取材・文=久保田瑛理 撮影=高村直希

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