東広島トップに聞く! ㈲ハイマックス社長 松原博男氏 夢は自社製品開発するメーカーに
産業用の設備製品の設計から板金加工、塗装まで一貫生産できることを武器に事業を展開するハイマックス(本社・東広島市福富町下竹仁、松原博男社長)。松原社長に会社の戦略モノづくりへのこだわりや、会社の戦略、これからの方向などについて聞いた。(日川剛伸)
産業設備を短納期に一貫生産
創業は2002年です。
創業当初から自動車部品の搬送用パレットを製造、マツダやトヨタの協力企業に納品してきました。ただ、自動車業界の取り引きだけでは、先行きに不安感もあったため、幅広いニーズへの対応を迫られました。このため、金属を正確に切断する「パンチレーザー複合加工機」や、金属を決められた角度で曲げていく「ハイブリッドベンダー」のほか、三次元設計が今後の主流になることを踏まえて3DCAD、大型製品の焼き付けも可能な乾燥炉をそれぞれ導入。設計から板金加工、塗装まで一貫生産できるようになり、短納期でより精密性の高い、高品位の製品を作り出すことを可能にしました。
先行投資は実を結びましたか。
8年前、業務用洗濯機で国内トップメーカーのY社(尾道市)との取り引きが始まりました。会社にとっては、一つめの転機になりました。業務用洗濯機のブームにも乗り、業務用乾燥器と合わせ、ピーク時には月産で300台を一貫生産で製缶加工。Y社からも高い評価を得て、弊社の売り上げの7割を占めるようになりました。
ところが、洗濯機のブームが去るにつれ、Y社との取引量も減少。Y社が外部委託から、自社で製造する内製化にかじを切ったことで、昨春、Y社との取り引きを停止しました。大きな痛手になりましたが、新規の取引先を開拓し、その後、8社と契約を結ぶことができました。「一社に特化した体制にしないこと」。Y社との出来事は、二つめの転機になりました。どの取引先が退いても影響がないよう、一社当たりの取引額は、数百万単位からでも契約するようにしました。
他社よりもワンランク上の製品を
モノづくりのこだわりは。
他社よりもワンランク上の製品を作りあげることです。ただ、ことわざにあるように「言うは易く行うは難し」。日本のモノづくりは、製品の品質に対する要求が高く、一筋縄とはいきません。思いを実現させるためには、設計から製造、塗装まで全ての工程で、今よりも品質を向上させることに尽きます。
社員に訓示していることは。
無駄を省いて効率よく仕事をすることを求めています。モノづくりは、時間をかければかけるほど、出来上がった製品の質は下がります。もう一つ、製造業としては当たり前のことですが、努力をして良い製品をつくろうと。製品の出来不出来は会社の利益を左右します。利益が上がれば、当然、社員の給与に反映します。社員には、その好循環を理解してほしい、と思っています。
これからの思いは。
時代の変化を見据えながら事業を展開していくだけです。現在は配電盤や分電盤の製缶に力を入れていますが、今後は、自然再生エネルギーの拡大を視野に入れ、蓄電池の構造物製造にも乗り出します。事業承継は、2人の息子が会社に入ってくれたお陰で、展望が開けてきました。私の時代では無理かもしれませんが、将来は下請けの町工場から脱却、自社商品を開発するメーカーにしたいのが夢。その気概だけは持ち続けていくつもりです。
【有限会社ハイマックス】
2002年創業。本社工場の他、豊栄工場(豊栄町清武)、テクニカルセンター(福富町上戸野)を持つ。現社員数は35人(2025年5月末現在)。産業設備の設計・製造・塗装までを手掛ける。主な取引先はアンデックス㈱、三工電機㈱、㈱前川製作所、北川精機㈱、㈱サンポール、㈱日本製鋼所、㈱スター精機など。
【松原博男さんプロフィル】
1955年三原市出身。高校卒業後、国の制度を使ってカナダに留学。帰国後、自動車部品メーカーに入社。20年間勤務した後起業。2002年、ハイマックスを設立する。
プレスネット編集部