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育休明けの時短勤務、社会保険料は減額できる?特例措置とは

mymo

女性のみならず男性も育児休暇を取得しやすくなる中、気になるのは育休から復帰した後のことです。しばらくは時短勤務で働く人もいるでしょう。その場合、収入は育休前の元の水準と比べていくらぐらい減るのかなど、何かと不安なこともあります。今回の「FPに聞きたいお金のこと」は、時短勤務で給料が減額されることで家計のやり繰りに不安を感じている育休復帰予定の30代女性からの相談です。時短勤務での育休復帰する人を対象に、社会保険料の支払い負担を軽減するための特例などについて解説していきます。

30代女性Tさんからの相談内容

4月から育休復帰予定です。しばらくは時短勤務にしようと思っていますが、給料が減るので今後のやり繰りがとても心配です。利用できる制度はできるだけ活用していきたいと思っていますが、先輩ママから、育休復帰後の時短勤務で社会保険料を減額できると聞きました。どのような条件で利用できるのでしょうか?注意点などがあれば教えてもらいたいです。またそれ以外に時短勤務で知っておくべき制度があれば教えてください。

健康保険料・厚生年金保険料の決まり方

社会保険料は大きく健康保険料と厚生年金保険料に分けられます。特に厚生年金は、どれだけ保険料を払ったのか?ということが、将来の年金額に影響します。保険料は事業主と従業員が折半し払っています。では、その保険料はどのように決まるのでしょうか?

定時改定

7月1日時点の被保険者の4月から6月の報酬をベースに標準報酬月額を計算することです。それに応じた保険料をその年の9月から翌年の8月まで1年間支払うことになります。
「4~6月に残業をたくさん行うと保険料が高くなる」と言われるのはこのためです。

随時改定

大幅に給与が変動した場合に定時改定を待たず標準報酬月額を改定することです。以下の3つを全て満たす必要があります。

(1)昇給または降給等により固定的賃金に変動があった。
(2)変動月からの3カ月間に支給された報酬(残業手当等の非固定的賃金を含む)の平均月額に該当する標準報酬月額とこれまでの標準報酬月額との間に2等級以上の差が生じた。
(3)3カ月とも支払基礎日数が17日(特定適用事業所に勤務する短時間労働者は11日)以上である。

引用:日本年金機構HPを参照し筆者一部編集

時短勤務復帰後の社会保険料を下げられる特例とその条件

【画像出典元】「stock.adobe.com/takasu」

では、育休復帰後、時短勤務の場合はどうなるのでしょうか?

時短勤務開始後、いわゆる「扶養の範囲内」で働く場合は社会保険料の負担は生じませんが、通常正社員の4分の3以上勤務するなど、社会保険の被保険者の条件を満たす場合は保険料を負担することになります。

時短勤務の場合、報酬が減りますが、この場合は、復帰後も復帰前の標準報酬月額で保険料を払い続けることとなり大変です。

そこで、「産前産後休業終了時報酬月額変更届」を会社に提出することで「随時改定」と同じように、減額された報酬で新たな標準報酬月額に改定してくれる特例があります。

条件の1つとして「これまでの標準報酬月額と改定後の標準報酬月額との間に1等級以上の差が生じること」があります。給与の変動幅2等級以上が条件となる「随時改定」ほど厳しくありません。

例えば厚生年金は32等級に分かれており、報酬月額が「23万~25万円」の場合16等級となります。1等級下の15等級は「21万~23万円」であるため、2万円程度報酬が減った場合に1等級下がることになります。

基本的には本人の申告により手続きを行うことになります。復職前に一度会社に確認しておくと良いでしょう。会社の協力を得ながら各種届出の提出など必要な手続きを行ってください。以下日本年金機構のホームページで手続きの流れや必要な書類を入手することができます。

日本年金機構「産前産後休業終了時報酬月額変更届の提出」

標準報酬月額が減少しても将来の年金額が減らない措置も

【画像出典元】「stock.adobe.com/Parradee」

等級が下がり保険料が下がるのは嬉しいことですが、その分、将来受け取ることができる年金額も減ってしまいます。

そこで、子どもが3歳に達するまでの養育期間中、標準報酬月額が減少しても将来の年金額に影響しないよう、その子どもを養育する前の標準報酬月額に基づいた年金額を受け取れる仕組みがあります。

つまり、時短勤務中、年金の計算上は子どもが生まれる前の標準報酬月額で将来の受取額を計算してくれるというものです。この場合も手続きが必要となりますので、以下を参考にしてください。

日本年金機構「養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置」

各種制度を使って子育てと仕事の両立を

時短勤務により給与が一定額減った場合、保険料を減額することができる産前産後終了時の標準報酬月額の変更と、それに伴い将来の年金額に影響が出ないように年金額の計算上は従前の標準報酬月額で計算してくれる養育期間の従前標準報酬月額のみなし措置は、条件を満たせばどちらも合わせて適用することができます。つまり「負担する保険料は下がり、将来の年金額は減らない」ということになるのです。

少子化や労働力不足などを背景に産休や育休を積極的に取得しやすく、職場に復帰しやすい労働環境が求められています。そのためにこのような制度もあります。上手に制度を活用しながら育児と仕事の両立を目指してください。

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