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パワーアップして東京凱旋!「ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ」(取材レポート)

アイエム[インターネットミュージアム]

イラストレーター、絵本作家として活躍するヨシタケシンスケ(1973-)。2013年に初めてとなる絵本『りんごかもしれない』の出版以来、多数の作品を生み出し人気を集めています。

2022年4月の世田谷文学館を皮切りに、これまで14か所を巡回してきた「ヨシタケシンスケ展かもしれない」が、東京にパワーアップして凱旋しました。


「ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ」会場


会場ではヨシタケシンスケの絵本ができるまでのスケッチや発想の源など、頭の中を覗き見している様な感覚にさせられます。展覧会からタイトルに追加された“たっぷり増量”された1つ目は、ヨシタケさんが日々手帳に描き溜めているスケッチです。以前までの約2,500枚からなんと7,500枚以上ものスケッチが壁一面に並んでいます。

家族に𠮟られたときや不満、愚痴があった時に細々と描いていた、手のひらサイズのスケッチの数々は、結果的に絵本のネタにもなっているそうです。


7,500枚以上ものスケッチ

手のひらサイズのスケッチ


展覧会の企画は、ヨシタケさんの絵本がどのように生まれたのか、またその過程でどんな思考が巡っていたのかを感じてもらうために始まりました。会場では、1冊の本ができるまでのメイキングを体験しているような感覚を得ることができます。


「ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ」会場


イラストと一緒につまらない顔をする顔出しパネルや口うるさい大人にリンゴを投げて黙らせる展示、トゲトゲした座りにくい椅子など、絵本になぞらえたポップでシュールな作品も並んでいます。

約10年前、40歳で絵本作家デビューを果たしたヨシタケさん。臆病だった幼い頃の自分や、自分と同じような子どもたちに、絵本を通じて明るい未来が描かれることを伝えたいというメッセージも込められています。


「うるさいおとなをりんごでだまらせよう」

「つまんないかおでしゃしんをとろう!」


2022年の最初の展覧会はコロナ禍だったため、感染防止のため制約のある中で企画がスタートしました。今回の東京会場では、もともと希望していた“触れる”企画が実現しています。

増量の2つ目は、子どもから大人までのさまざまな疑問に答える絵本『あつかったら ぬげばいい』から、「つり輪の森」コーナーが設置。つり輪を使って、足の裏を地面から離しすことで日頃のストレスを解消できるかもしれません。


「つり輪の森」


森の中には「あなただけのヒミツ」をつくれるコーナーもあります。選んだ色紙に言葉や絵を自由にかいた後、シュレッダーの中へ。何をかいたのかは、誰にも知れず、あなただけのヒミツが出来上がります。


「あなただけのヒミツをつくろう」

「あなただけのヒミツをつくろう」


ヨシタケさんのこだわりは、イラストや体験コーナーだけでなく、会場の隅々に隠れています。 例えば、会場に貼られた黄色の付箋は、開催直前に自身が書いたもので、それぞれの会場でしか味わうことができないものです。


「ヨシタケシンスケ展かもしれない たっぷり増量タイプ」会場


鑑賞後は隣接のカフェ『ヨシタケ飲食店かもしれない』へ。パスタやパフェなどのフードと共におすすめかもしれないのは「蛇口ドリンクバー」です。3種類の蛇口から出てくる紅茶やジュースを混ぜて味わうこともできます。


『ヨシタケ飲食店かもしれない』蛇口ドリンクバー


ショップでは、これまでのオリジナル商品に加えて新たなグッズも登場しています。これまでの120mlのカップに加え、展覧会に合わせて「たっぷり増量」した200mlのカップも追加されたほか、ちいさな願いごとだけ叶えてくれる「ちいさな神さま」のソフトビニールなど盛りだくさんです。

ヨシタケさんの世界観が詰まった図録も必見です。通常、図録には会場に出品されたものが載っていますが、「こっちだったかもしれない」では実現されなかった提案が掲載。展覧会が作られる過程を感じていただける、読み応えのある図録です。


ミュージアムショップ

展覧会オリジナルグッズ「ちいさな神さま」


展覧会は、この後秋田、愛媛、高知、山口、鹿児島へと巡回予定です。あなたの街でも開催されるかもしれない、ですが東京ならではの展示をぜひ会場でお楽しみください。

©Shinsuke Yoshitake

[ 取材・撮影・文:坂入 美彩子 / 2025年3月19日 ]

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