母「タクシーに乗ってひとりで帰る」住所もわからないのに、どうするのよ #母の認知症介護日記 230
アルツハイマー型認知症になった実母のことや、アラフィフ主婦の日常をあれこれ書き連ねるワフウフさん。自身の体験をマンガにしています。
ワフウフさんが母・あーちゃんに会うために施設に行くと、あーちゃんは開口一番に「ご主人様がいらっしゃいましたって言われたのよ!」と言いだし、ワフウフさんは困惑してしまいます……。姉妹以外が面会に来たら、必ず連絡を入れてもらうようにお願いしているので、父が訪ねてきたことはないはずです。そして、あーちゃんは他の日にも、すぐにわかる作り話を次々にしていました。ワフウフさんは、自分のために父が動いていてほしいという、あーちゃんの本心が見えたような気がして複雑な気持ちになったのでした。
気づかいはうれしいけれど…
あーちゃんは今のところ、施設から家に帰りたいとは言っていませんが、いつまでいるのかと口にするようになりました。そのたび、父と離れて自立して生きていかなければならないことを説明し、あーちゃんも「そうね、そうね!」と言うものの、おそらく理解はできていない様子……。さらに、何度説明しても「入院している」と思い込んでしまうのも、厄介です。それでも、あーちゃんは感謝の気持ちを毎回言葉にして伝えてくれるので、ワフウフさん姉妹はその言葉にとても救われています。
あーちゃんのところへ行くたびに、歩かせるためにいろいろな場所に行っています。
あーちゃんは、外に出られることをとても喜んでくれますが、私の子どもたちのことを気にして、私を早く帰そうとします。
こう言うのですが……。
私がタクシーに乗った後、どう説明するのか? と確認すると……。
わからないと言い、慌てています。
そこで、近くのバス停を教えてあげると……。
もう大丈夫! と笑顔になりますが……。
バスを降りてからどうするのか確認すると……。
やはり慌てています。そもそも、外出届を出して連れ出している状態なので、ひとりで帰るなんて無理な話。気づかいはありがたいのですが……現実的ではありません。
私たち姉妹は、あーちゃんのところへ行くたびに、いろいろなところへ出かけています。あーちゃんは外に出られて、たくさん歩けることをとても喜んでくれるのですが、私の子どもたちのことを気にして、なんとか早く帰そうと気づかってくれます。駅を見るたびに「ここから帰りなさい! 私はタクシーで帰るから」と言うのですが……。
そもそも、息子は部活に遊びにと忙しくてほとんど家におらず、娘も受験のため塾で毎日帰りが遅いので、私が早く帰ったところで家に子どもたちはいません。それでも、あーちゃんが孫を気づかう気持ちをまだ持ってくれているのは、素直にうれしいです。ただ、タクシーの運転手さんに何と言って帰るのかと聞くと「わからない……」とオロオロ……。バス停も、名前を教えたところでそこからどっちに向かって歩くのかがわからず、またオロオロ……。
もうひとりで帰るなんて、できるわけないのです。外出届を出して施設から連れ出しているのに、あーちゃんをひとりで帰すわけにはいきません。気づかいはありがたいですが、毎回のように非現実的なことを言うのはやめてほしいです……。
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これだけわからないことが増えているのに、孫のことはしっかり覚えていて、さらに気づかいまでできるのは、それだけあーちゃんが孫をかわいがっていた証拠なのでしょう。自分の思い通りに動けないというのは、どんな気持ちなのだろうと考えると、胸が痛くなりますね。
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