“宿敵の地”ジュビロ磐田のヤマハスタジアムで躍動も開幕連敗…サガン鳥栖の西澤健太が今、心がけること
「自分たちの努力と結果が揃わないのはこれで最後にしたいと思っています」
2月22日、サガン鳥栖の西澤健太は0−1で敗れたジュビロ磐田とのアウェーゲームを振り返りながら、こう語った。
ボールを握りながら攻撃を組み立てようとする磐田に対して、鳥栖は4−4−2のコンパクトな守備で、ある程度相手にボールを持たせながら縦パスの出しどころを消して、ボールを奪ったら素早く背後を狙う戦い方を徹底した。
磐田の右ウイングのジョルディ・クルークスに何度か危険なクロスを入れられたが、決定的なピンチはなく前半をしのぐと、後半は一転、高い位置からプレッシャーをかけて磐田のボールロストを誘い、サイドのスペースを狙う速攻に右サイドの西澤も絡む形で、ドリブルからのミドルシュートや惜しいクロスなど、何度もチャンスを演出した。
鳥栖の強みについて、西澤は「相手のウィークポイントを突いていく、相手の嫌がることをやり続けるところ」と語る。鳥栖は新監督を迎え、過半数のメンバーが入れ替わったチーム事情にありながら、やるべきことの統率は早くもピッチに反映されており、西澤も右サイドバックの上原牧人とうまく協力しながら、対面の松原后と倍井謙のホットラインを遮断して、自由を与えなかった。
流れは鳥栖に傾いているかに見えた。しかし、西澤がすでに交代で下がっていた後半37分、ハイプレスの背後を突かれる形で、磐田のリカルド・グラッサのロングボールから左ウイングの倍井に抜け出され、GKヤン・ハンビンの頭上を破るシュートでゴールに流し込まれた。
終盤には鳥栖が得たPKを川島永嗣に止められると、後半アディショナルタイムにも川島の2本のビッグセーブに阻まれて、鳥栖はホームのベガルタ仙台戦に続く、開幕2連敗となった。
「やりたいことはやれていた。ただ、これがサッカー」
「本当に自分たちのゲームプラン通りというか、やりたいことをやれていたと思います。ただ、これがサッカーなので。この現実をしっかり受け止めて、本当に1個のチャンス、1本のシュートにもっとこだわらないといけないし、それで本当に今後が変わってくるっていうところを全員が自覚してプレーしないといけない」
昨シーズンまで清水エスパルスに在籍していた西澤にとって、磐田は宿命のライバルでもある。選手紹介の時には磐田サポーターからのブーイングも浴びたが、西澤はそうした反応について「ありがたいですし、僕っていう選手を認識してくださってるっていうだけでも幸せ」と笑顔で磐田のサポーターへのリスペクトを表しながら、「その中で結果を残したかったですし、実際チャンスもあった中で決めきれなかったのは自分の実力」と語った。
「やっぱり自分のシュート、クロスを得点に繋げていくところを求められてこのチームに来たと思っています。そこで結果を残せていない2試合なので、自分も責任を感じます。ただ、やりがいはある。そこにどれだけ前向きにチャレンジできるか」
静岡でのプレーに「いやあ、楽しかった」
清水で磨いてきた右足のキックを生かして、アシストやゴールに結び付けることが西澤の大きな仕事になるが、一方で獲得の際に、直々にラブコールを贈った小菊昭雄監督からは若いチームを導くリーダーの一人としても信頼されている。J2降格もJ1昇格も経験してきた西澤だけに、チーム作りの途上でなかなか結果が出ない時期の振る舞いも心得ている。
「こういう負け方が続くと、どうしても暗くなってしまったりとか、そういう雰囲気が出てきてしまうのかもしれないですけど、幸いなことに次ホームなので。しっかり皆さんに初勝利を届けて、ここから勢いに乗りたい」
試合後にはユース年代からしのぎを削ってきた同期の上原力也と抱擁をかわすなど、静岡でのアウェーゲームを終えた西澤は「いやあ、すごい楽しかったです」と正直な気持ちを表した。
1年でのJ1復帰を目指す鳥栖にとって、早くも正念場となる。FC今治をホームに迎えての3戦目で、西澤は小菊監督の鳥栖での初勝利に貢献できるか。新天地での戦いに注目したい。