相手に落ち着いてもらうための表現 ––––ニュアンスの違いをネイティブが解説 【ラジオビジネス英語】
焦っている相手を落ち着かせる言葉はなかなか出てこないものです。ニュアンスの異なるいろいろな表現があるので、これらを自分の引き出しに入れておいて、とっさのときでもすぐに声をかけられるようになるといいですね。今回は「ラジオビジネス英語」6月号の「Lisa’s Expressions」から、「落ち着いて」という気持ちを伝える表現をいくつかご紹介します。
stay cool calm and collected
stay cool calm and collected(冷静沈着でいる、落ち着き払っている)
cool calm and collectedは、cで始まる3つの言葉が心地よくそろった言い回しです。collectedには「集められた」などのほかに、「落ち着いた、冷静な」という意味もあります。バラバラになった気持ちを1つに集める、というイメージですね。
Remember tostay cool calm and collected. Don’t throw a tantrum.
(冷静沈着でいることを忘れないで。かんしゃくを起こしてはだめだよ)
calm down
calm down(落ち着く)
「落ち着いて」と相手をなだめるときの定番表現です。calmには形容詞で「(天候などが)穏やかな」という意味もありますが、名詞としてもthe calm before the storm(嵐の前の静けさ)などと使われます。
Calm down. You’re not helping the situation.
(落ち着いて。そうやっていても、状況はよくならないよ)
settle down
settle down(平静になる、(気持ちが) 落ち着く、静かになる)
パニックのときなどには、前記のcalm downもこのsettle downも使えます。例文のように、会場に集まった人たちを静かにさせる際などにもsettle downはしばしば用いられます。
Please settle down everybody. An explanation is forthcoming.
(皆様、ご静粛に。まもなくご説明いたします)
keep a level head
keep a level head(冷静さを保つ、正しい判断ができる)
形容詞としてのlevelには「冷静な、落ち着いた」の意味があり、level headは「感情的にならない平静さ、冷静な判断力」といったことを指します。
You need to keep a level head if you want to win.
(勝ちたいのなら、平静さを失わないことです)
take it easy
take it easy([命令文で] 落ち着く、そう興奮しない)
「そんなに先走らないで」「ちょっと肩の力を抜いて」「気楽に、無理のないようにすればいいよ」といったニュアンスです。
Take it easy. You’ll make an impressive presentation. You practiced a lot.
(落ち着いて。すばらしいプレゼンができるよ。練習に練習を重ねたんだから)
Easy does it.
Easy does it.(落ち着いて。焦らないで慎重に。気をつけて)
何かをしている相手に「そーっと、ゆっくり、無理しないで」と声をかけるときにぴったりのひと言。easyが副詞のまま文の主語になっているアメリカ英語の表現です。
Easy does it.The knife is very sharp.
(落ち着いて慎重に。その包丁はとてもよく切れるから)
chill outchill out(落ち着く、冷静になる、くつろぐ) 若い人が友達どうしでよく口にする言い方で、「気にしないで、熱くならないで」といった感じです。フォーマルな場面や上司との会話などでは使いません。Come onchill out. Let’s have some tea.
(さあ、落ち着いて。お茶を飲もうよ)
★緊張したり興奮したりしている人にはこんな言葉を–––– Take a deep breath.ドキドキして気が高ぶっている人に「落ち着いて」と言っても、相手は「わかっているよ」と、カチンとくるかもしれません。そんな場面で役立つことがあるのが、take a deep breath.(深呼吸して)というひと言。具体的なアドバイスなので、相手も受け入れやすいはずです。例えば、舞台に出る直前に緊張している人には、こんなふうに言えますね。
Close your eyes andtake a deep breath.The stage is yours. Take it away.
執筆者
(目を閉じて、深呼吸をして。舞台が待っているよ。行っておいで)リサ・ヴォート
アメリカ・ワシントン州出身。メリーランド州立大学で日本研究準学士、経営学学士を、テンプル大学大学院で TESOL(英語教育学)修士を取得。専門は英語教育、応用言語学。2007年度 NHKラジオ「ものしり英語塾」で講師を務める。現在、青山学院大学非常勤講師。また、写真家としても活躍している。『知ってる英単語で広がる英会話』『CD BOOK ネイティブ感覚で もっと伝わる日常英語』(ともにNHK出版)など著書多数。
※記事公開時点での情報です■NHKテキスト ラジオビジネス英語 2024年6月号より